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ところ変われば女子高生!
116.美羽の涙
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あちらの世界…ラフィリルにいる自分との交信を無理矢理立ち切った美羽は自室で泣いていた。
声を必死でこらえながらも嗚咽が漏れる。
美羽の事が心配だった仁は、ちょうど美羽と話をしようとドアの前に立っていた。
そして、漏れ聞こえてくる美羽のすすり泣く声を聞き驚いて入っていった。
「どうしたんだ!美羽!」
「あ、お兄ちゃん…な、何でもないわ」と顔を覆い下を向く。
「何でもない訳ないだろ?泣いてるじゃないか!」と美羽の両腕をつかんで顔を覆う手をどけさせた。
美羽の頬から止めどない涙がつたう。
仁は頭の中が真っ白になってしまった。
小さい頃はともかく、美羽の涙など小学校にあがる位から見たこともなかったのだから。
仁は咄嗟にどうしていいか分からなくて美羽の手を自分に引き寄せて抱きしめた。
「お、お兄ちゃん?く、苦しい…」
「あっ…す、すまん」
美羽は思った。
私を抱きしめたりしないで!
優しくしないで!
そんな綺麗な顔で私を心配そうに見ないで!
自分がひどく滑稽で悲しくなる。
兄なのに…兄であるという記憶が自分にはない。
まだ、ラフィリルでの自分、ルミアーナの記憶のほうがたくさん残っている…。
そう、私はいま、この日本の仁の家族としてここにいるが、もともとは異世界ラフィリル王国の公爵令嬢ルミアーナだった。
この世界の美羽、私の魂の半身と入れ替わったのだ。
お互い死にかけていた命を”月の石”力で救われた。
その代償がこの入れ替わりだった。
魂が異界を超えることで生きる力を得たのだ。
それは、あちらいる半身の私が”月の石の主”となるためにも必要な儀式でもあった。
現在、美羽は私でルミアーナはラフィリルにいる彼女がルミアーナ本人だ。
ルミアーナは、月の石を生み出しあちらの世界までも救ったというのに…。
あっちにいる、もう一人の自分、ルミアーナはどうやって乗り越えたのだろう。
彼女だってこちらでの記憶のほうがまだ勝っていたはずなのに…
恋をして結婚までして…。
ああ、でも、そうよね…彼女の恋した相手は少なくとも、禁忌すべき人ではなかった…でも私は…。
胸が苦しい…痛い…
さっさと美羽の記憶と混ざり合えばいいのに仁との事だけが曖昧なままである。
あるいは…恋してしまったせいで仁との関係性を認めたくなくて記憶があいまいになるのか…?
父や母、姉のことだって、もはや家族としか思えないというのに…。
美羽が黙ってうつむいていると仁は、慌てて声をかけてきた。
「どうしたっていうんだ?悩んでるだったら俺に言え!まさか亮子に何か言われたのか?」
「亮子ちゃんは、何も!優しくしてくれました」
美羽は首をふる。
「だって、帰ってから何だかおかしいぞ?」
「いいの!私の事など放っておいて下さい」
美羽はそう言って仁を部屋から閉め出したのだった。
声を必死でこらえながらも嗚咽が漏れる。
美羽の事が心配だった仁は、ちょうど美羽と話をしようとドアの前に立っていた。
そして、漏れ聞こえてくる美羽のすすり泣く声を聞き驚いて入っていった。
「どうしたんだ!美羽!」
「あ、お兄ちゃん…な、何でもないわ」と顔を覆い下を向く。
「何でもない訳ないだろ?泣いてるじゃないか!」と美羽の両腕をつかんで顔を覆う手をどけさせた。
美羽の頬から止めどない涙がつたう。
仁は頭の中が真っ白になってしまった。
小さい頃はともかく、美羽の涙など小学校にあがる位から見たこともなかったのだから。
仁は咄嗟にどうしていいか分からなくて美羽の手を自分に引き寄せて抱きしめた。
「お、お兄ちゃん?く、苦しい…」
「あっ…す、すまん」
美羽は思った。
私を抱きしめたりしないで!
優しくしないで!
そんな綺麗な顔で私を心配そうに見ないで!
自分がひどく滑稽で悲しくなる。
兄なのに…兄であるという記憶が自分にはない。
まだ、ラフィリルでの自分、ルミアーナの記憶のほうがたくさん残っている…。
そう、私はいま、この日本の仁の家族としてここにいるが、もともとは異世界ラフィリル王国の公爵令嬢ルミアーナだった。
この世界の美羽、私の魂の半身と入れ替わったのだ。
お互い死にかけていた命を”月の石”力で救われた。
その代償がこの入れ替わりだった。
魂が異界を超えることで生きる力を得たのだ。
それは、あちらいる半身の私が”月の石の主”となるためにも必要な儀式でもあった。
現在、美羽は私でルミアーナはラフィリルにいる彼女がルミアーナ本人だ。
ルミアーナは、月の石を生み出しあちらの世界までも救ったというのに…。
あっちにいる、もう一人の自分、ルミアーナはどうやって乗り越えたのだろう。
彼女だってこちらでの記憶のほうがまだ勝っていたはずなのに…
恋をして結婚までして…。
ああ、でも、そうよね…彼女の恋した相手は少なくとも、禁忌すべき人ではなかった…でも私は…。
胸が苦しい…痛い…
さっさと美羽の記憶と混ざり合えばいいのに仁との事だけが曖昧なままである。
あるいは…恋してしまったせいで仁との関係性を認めたくなくて記憶があいまいになるのか…?
父や母、姉のことだって、もはや家族としか思えないというのに…。
美羽が黙ってうつむいていると仁は、慌てて声をかけてきた。
「どうしたっていうんだ?悩んでるだったら俺に言え!まさか亮子に何か言われたのか?」
「亮子ちゃんは、何も!優しくしてくれました」
美羽は首をふる。
「だって、帰ってから何だかおかしいぞ?」
「いいの!私の事など放っておいて下さい」
美羽はそう言って仁を部屋から閉め出したのだった。
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