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ところ変われば女子高生!
105.拓也と大悟の戸惑い
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美羽と亮子が去った後の校庭で拓也と大悟は、謝るつもりが美羽に謝られてしまったことで少なからず戸惑っていた。
正直なところ、拓也も大悟も美羽は拓也のことが好きなんだろうと思っていたのである。
そして、もの凄くあの事故の責任を感じていたのだから…。
大悟は自分が冷やかしたせいで…と。
そして拓也は自分が『あんな男女…』などという失言をしたせいで…と本気で思っていたのだ。
そう思うのも仕方がないほどのタイミングで美羽は目に涙をいっぱいためて走り出し、そしてふらつき階段からころげおちたのだから…。
それが全くの勘違いだったなんて…。(結構、普通に恥ずかしい勘違いだ)
大悟は、ほっと胸をなでおろしたものの、拓也にしてみたら大困惑である!
「は…恥ずかしすぎる…」と顔を真っ赤にしてしゃがみこむ。
「あ…あああ~、でも、まぁ何だ…その、よかったじゃねぇか?俺達のせいじゃなかったんだしさ?」と大悟が慰めの言葉をかけた。
「う…ううっ…まぁ…そうなんだけどな…恥ずい…」と拓也は呻きながら答える。
自分に惚れていると思って、どうやって断ろうかとか好きになる努力をしようだなどと思っていたのだから確かに、めちゃくちゃ格好悪い。
「何だよ?ひょっとして、がっかりとかしてるのか?」という大悟の言葉に拓也は図星をさされたようにぎょっとした。
「ま、まさか」
「だよな?」と大悟が確認するように言う。
「あ、ああ!」拓也のこの返事に大悟はにやっと片方の口角をあげて悪戯っぽく笑った。
そして…、
「だけど、俺な。実はさっき、神崎の事ちょっといいなぁ~って思ったんだよな」と大悟が思いもかけない言葉を発した。
「は?何言ってんだ?」
「だって、最近の神崎って、ほんとに別人みたいに大人しくて弱々しくって思わず守ってやりてぇ~って、感じに見えるんだよな」
「そんなの、今は記憶が曖昧なせいだろ?記憶が戻ったら、また元の男前な女に戻っちまうって!」と拓也は言い切る。
「だってさ、記憶だって戻るかどうかわかんないだろ?」
「え?」
「聞いたんだけどさ、記憶喪失って一生治らないこともあるらしいんだよ。あ、もちろん戻ることもあるけどさ…それにさ、実は今の神崎が本来の神崎かもしれないじゃないか?」
「は?なんだ、そりゃ?」
「つまりさ!今の神崎は一年以上も眠り続けていたせいで、筋力もおちてるし学校へも父兄の送り迎え付きだろ?体育だって休んでるし…部活だってやってないだろ?」
「まぁ、そりゃな。でもそれが何で本当の美羽だっていうんだよ?」
「だからさぁ、周りの男子からも”男女”とか女子からは”王子様”とか言われて崇め奉られちゃってさ!前の神崎は周りの作られたイメージに合わせざるをえなかったんじゃないか?ってて事だよ」と大悟が力説した。
「って…?つまり、記憶もなくなった今の”素の神崎美羽”が本当の美羽の姿だっていうのか?」
「それだよ!」びしっと人差し指をたてて拓也の目前につきつける大悟。
「ないないない!あいつは根っからの男前だって!幼馴染の俺が言うんだから間違いないって!」と拓也がむきになる。
「そういう思いこみが神崎を追い詰めたとか思わない訳?少なくとも今の神崎だって本当の神崎な筈だせ?」
「そ、それは…そうかもしれないけど」
「まぁ、いいさ。俺は今の神崎に好意を持ってる!お前は、今の神崎にも前の神崎にも幼馴染以上の感情はない!それでいいな?」
「え?」
「”え?”じゃねぇよ、俺が万一、神崎と付き合うようになっても後から文句いうなよ?」
「はぁ~?」
「はぁ~?じゃねぇっつうの!まっ!そう言うことだから!じゃあな!」と大悟は自分が言いたい事だけ言うとさっさと先に教室に走っていってしまった。
こっちの反論を聞く耳は無いようである。
一人取り残された拓也も教室に戻ろうと歩き出す。
弁当、喰い損ねたな…とぼんやり思いながらも別の考えが口をつく。
「”今の美羽も本当の美羽”…か…」
そして、思った。
「文句なんて…言うにきまってるだろ?」と苦い顔をして呟き、卓也はとぼとぼと教室までもどるのだった。
拓也はこの時、初めて自分の中にある『幼馴染以上の気持ち』を意識したのだった。
正直なところ、拓也も大悟も美羽は拓也のことが好きなんだろうと思っていたのである。
そして、もの凄くあの事故の責任を感じていたのだから…。
大悟は自分が冷やかしたせいで…と。
そして拓也は自分が『あんな男女…』などという失言をしたせいで…と本気で思っていたのだ。
そう思うのも仕方がないほどのタイミングで美羽は目に涙をいっぱいためて走り出し、そしてふらつき階段からころげおちたのだから…。
それが全くの勘違いだったなんて…。(結構、普通に恥ずかしい勘違いだ)
大悟は、ほっと胸をなでおろしたものの、拓也にしてみたら大困惑である!
「は…恥ずかしすぎる…」と顔を真っ赤にしてしゃがみこむ。
「あ…あああ~、でも、まぁ何だ…その、よかったじゃねぇか?俺達のせいじゃなかったんだしさ?」と大悟が慰めの言葉をかけた。
「う…ううっ…まぁ…そうなんだけどな…恥ずい…」と拓也は呻きながら答える。
自分に惚れていると思って、どうやって断ろうかとか好きになる努力をしようだなどと思っていたのだから確かに、めちゃくちゃ格好悪い。
「何だよ?ひょっとして、がっかりとかしてるのか?」という大悟の言葉に拓也は図星をさされたようにぎょっとした。
「ま、まさか」
「だよな?」と大悟が確認するように言う。
「あ、ああ!」拓也のこの返事に大悟はにやっと片方の口角をあげて悪戯っぽく笑った。
そして…、
「だけど、俺な。実はさっき、神崎の事ちょっといいなぁ~って思ったんだよな」と大悟が思いもかけない言葉を発した。
「は?何言ってんだ?」
「だって、最近の神崎って、ほんとに別人みたいに大人しくて弱々しくって思わず守ってやりてぇ~って、感じに見えるんだよな」
「そんなの、今は記憶が曖昧なせいだろ?記憶が戻ったら、また元の男前な女に戻っちまうって!」と拓也は言い切る。
「だってさ、記憶だって戻るかどうかわかんないだろ?」
「え?」
「聞いたんだけどさ、記憶喪失って一生治らないこともあるらしいんだよ。あ、もちろん戻ることもあるけどさ…それにさ、実は今の神崎が本来の神崎かもしれないじゃないか?」
「は?なんだ、そりゃ?」
「つまりさ!今の神崎は一年以上も眠り続けていたせいで、筋力もおちてるし学校へも父兄の送り迎え付きだろ?体育だって休んでるし…部活だってやってないだろ?」
「まぁ、そりゃな。でもそれが何で本当の美羽だっていうんだよ?」
「だからさぁ、周りの男子からも”男女”とか女子からは”王子様”とか言われて崇め奉られちゃってさ!前の神崎は周りの作られたイメージに合わせざるをえなかったんじゃないか?ってて事だよ」と大悟が力説した。
「って…?つまり、記憶もなくなった今の”素の神崎美羽”が本当の美羽の姿だっていうのか?」
「それだよ!」びしっと人差し指をたてて拓也の目前につきつける大悟。
「ないないない!あいつは根っからの男前だって!幼馴染の俺が言うんだから間違いないって!」と拓也がむきになる。
「そういう思いこみが神崎を追い詰めたとか思わない訳?少なくとも今の神崎だって本当の神崎な筈だせ?」
「そ、それは…そうかもしれないけど」
「まぁ、いいさ。俺は今の神崎に好意を持ってる!お前は、今の神崎にも前の神崎にも幼馴染以上の感情はない!それでいいな?」
「え?」
「”え?”じゃねぇよ、俺が万一、神崎と付き合うようになっても後から文句いうなよ?」
「はぁ~?」
「はぁ~?じゃねぇっつうの!まっ!そう言うことだから!じゃあな!」と大悟は自分が言いたい事だけ言うとさっさと先に教室に走っていってしまった。
こっちの反論を聞く耳は無いようである。
一人取り残された拓也も教室に戻ろうと歩き出す。
弁当、喰い損ねたな…とぼんやり思いながらも別の考えが口をつく。
「”今の美羽も本当の美羽”…か…」
そして、思った。
「文句なんて…言うにきまってるだろ?」と苦い顔をして呟き、卓也はとぼとぼと教室までもどるのだった。
拓也はこの時、初めて自分の中にある『幼馴染以上の気持ち』を意識したのだった。
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