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ところ変われば姫!時々、騎士見習い!
78.ささやかな結婚式と小さな家と幸せすぎて、ちょっと忘れられた月の石
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その後、ダルタス…ラフィルとルミアーナ…ミアは特に疑われる事もなく国境を出ることが出来た。
ここは、既にラフィリルではなく隣国のジャニカ皇国である。
ジャニカ皇国とラフィリル王国は、ほんの七年ほど前までは幾度も交戦したことのある敵国同士だったが今では平和条約が結ばれている。
(最近では交易も広がって行商人たちの行き来が増え国境はお互いの文化が交じり合う拠点となり、意外にも栄えていた)
ラフィルは冷静に考えていた。
追手も昨日の今日では、まだ手が回ってなかったと見える。
どうせ、今頃まだ会議でもしているのだろう。
将軍のいない王都軍など、剣を無くした騎士のようなものなのだ。
大体が(自分以外のだが)上層部というものはそういったもので行動が遅い。
即断即決こそが勝敗を分けるというのに…とラフィルは鼻で笑った。
国王がミアとの結婚に異を唱えてからすぐにラフィルはその場を下がり馬に飛び乗った。
その足で直ぐ様、ミアのもと、つまりネルデア邸に向かったのだ。
その時は一瞬の迷いもなくである。
ミアをさらってしまった後に多少、迷いもしたが、それもこれもミアが一蹴してくれた。
自分の側にいる事こそ幸せなのだと言ってくれた。
そしてドレスも宝石もなくても全然大丈夫だとも…。
こんなに幸せで良いのだろうかと、思うくらいである。
その気持ちが嬉しいではないか!
勉強家で努力家なミアは、きっと頑張れば何とかなると思っているのだろう。
本当にいじらしくて可愛らしいと思う。
そうそう簡単には、いかないだろうから掃除も食事の支度も全部、自分がすべきだろうと思う。
細かい所まで気配りできるかは分からないがミアの為に花くらいは飾ろうかとか色々と考えるラフィルだった。
二人は国境を越えるとすぐ近くの小さな小さな教会で結婚式をあげた。
少し離れた大通りにはもっと大きな教会もあったが、二人は敢えて小さな教会をえらんだ。
教会に入ると年老いた老神父が一人で出迎えた。
老神父に結婚式をすぐにでも挙げてほしいとラフィルが言うと老神父はラフィルの風貌を見て怪訝な顔をした。
なんだ?この男…この見るからに戦士と思われる鍛え抜かれたような体躯に、この顔の傷…どう見ても堅気には見えない。
しかも小物らしからぬ迫力があり、どう考えても只者ではないと直感出来た。
こんな男が家庭など望むのだろうか?
しかもこんな小さな教会で結婚?
こういう男が結婚などするときは、やたらと大っぴらにひけらかすのではないのか?
もしや、その気もない娘をどこぞから浚ってきたのではあるまいな?と、訝しんだ。
老神父は、そんな事を思い、後ろに寄り添う花嫁らしき娘に目をやる。
するとどうだろう!その娘は花がほころぶような笑みで、その男をみていたのだ。
それも、うっとりと恋する乙女の眼差しである。
(はぁぁぁっ?な!なんと!)
くわっと目を見開き老神父は驚いた。
聖なる女神か天使の降臨か?とみまごう美少女が心から愛しむなまなざしをこの『悪鬼のごとき風貌の男』に向けているのである。
まさか何か魔法でもかけられたのか?と一瞬疑った。
そうであれば救わなければ!と…。
だが、その少女を見つめ返す男の表情をみて老神父はすぐに自分の考え違いに気づき、見た目で判断しかけた自分を恥じた。
男の少女を見つめるまなざしは、本当に温かく優しかった。
そう!少女を心から愛しむ眼差しだったのである。
老神父は二人の願いを快く引き受け式を執り行った。
たまたま、祈りを捧げにきていた老婆が花嫁衣裳すらないというミアを気の毒がり、せめて…と野の草花で小さな可愛らしいブーケを作ってくれた。
「まぁ、何て可愛らしいブーケ。おばあさん!ありがとうございます」とミアが素直にお礼をいうとその老婆も嬉しそうに微笑んだ。
二人はこの老神父と偶然そこに参拝に来ていただけの老婆のみに祝福をもらい結婚式をあげた。
結婚の証人はこの老婆である。
本当にささやかな式であったが、お互いがお互いを慈しみ合い、心から望んだ純粋な想いのこもった結婚式だった。
そして二人が駆け落ち者で未だ暮らす場所すらないことを知った老婆は、今はもう使われていない森番の小屋がここから半時ほど歩いたところにあるので暫くそこに身を寄せては?と勧めた。
もとはここの領主様の持ち物ではあるが、今は使っておらず、人もあまり寄り付かないので隠れ住むにはもってこいだと言うのだ。
ラフィルは『小屋』など公爵令嬢のルミアーナに…と思って断ろうとした。
慌てて出てきたとはいえ、多少の金貨といくつかの宝石を持って出てきた。
売れば小さな館くらい買えるのである。
しかし、ミアが瞳をきらきらと輝かせ「まぁあ!素敵!おばあさん!案内してくださる?」と食いついたのである。
老婆も、それはそれは嬉しそうにしていて、そんな二人の様子にラフィルは口を挟む事が出来なかった。
早速、神父に礼を言って金貨を何枚か教会に寄付し、二人は老婆に案内されてその小屋へと向かった。
「まぁっ!可愛いお家っ!」とミアは大喜びしたが、ラフィルは『マジか?』と思った。
まさしく丸太小屋…といった小屋である。
きこりか、狩人が住みそうな小屋である。
幸い中に入ってみると意外に綺麗に片付いていて、テーブルやベットもある。特に修理の必要もなく直ぐにも住めそうではあったが、ルミアーナの暮らしていた部屋の十分の一にも満たない広さである。
「ミア!姫様育ちのお前が本当にこんな狭い質素な小屋で良いのか?」とラフィルは、つい親切にしてくれた老婆の前で言ってしまった。
「まぁあ!ラフィル様ったら!こんなに可愛くて素敵なのに?それにこの広さならいつも、ラフィル様のすぐ傍にいられるもの!今までの部屋よりも何倍も素敵よ!」と、本当に幸せそうに言ったのだ。
「うぐぉっ…」と、思わずハートを鷲掴みにされ倒れそうになる(いやもう、爪が喰いこまれるぐらい掴まれた)ラフィルでは、あるが…いやいやと、根性で自分を持ち直す。
「ほ…本当に?」
と、ラフィルが疑わし気に聞くとミアは「あら、おかしなことを聞かれるのですね?こんなことで嘘なんてつかないわ!」と即座に答えた。
「わ…わかった。なら、しばらくここで暮らしてみよう」
「まぁ!ありがとうラフィル様!」
そうして、二人はその後も、老婆の案内でお布団やカーテン。その他もろもろの生活用品や、食糧を買いに街に出た。
「おばあさんのお陰で、本当に助かりました。ありがとうございます」
ミアが心からのお礼を言うと、その老婆は嬉しそうに笑い、
「自分は毎日あの教会まで散歩がてらに行って祈りを捧げて帰るのが日課だから、何かあれば、あの教会においでなさい。いつでも相談にのるから」と、言ってくれた。
ちなみにルミアーナの月の石はというと着替えたドレスのポッケの中で、なんとポーラのお店に置いてきてしまっていた。
しかもエプロンドレスを購入した後、脱いだドレスは荷物になるからと捨ててくれと頼んでいた。
幸いにもポーラは人が良く、大事に取っておくからお城の皆様に結婚が許されたら帰りに、また是非、立ち寄ってほしいと言って預かってくれたので石も無事ではあるのだが…。
いかんせん、無くしたことにすら気づいてないのでどうしようもない。
(振り返ってみれば、美羽時代も、運動も勉強もできたが、うっかりは意外と多かった。)
勝手にラフィルに愛人がいると誤解し(ドリーゼに聞いたせいではあるが)、家出までしてしまった自分はもう、愛想をつかされたのではないかと本気で悩んでいたこともあるミアである。
それが、いきなり"駆け落ちだ!"と愛するラフィルにさらわれたルミアーナは喜びと、ときめきにとても平静でいられる筈もなく、もうラフィルとの逃避行以外細かい事は眼中になかったのだろう。
薄情かと思われるかもしれないが、リゼラやフォーリー、ルークの事も綺麗さっぱり忘れていた。
一言連絡しようと思えば通信手段である"月の石"の事を直ぐに思い出せただろうが、今は二人の世界に酔いしれている。
恋の副作用でちょっとばかり(大分)おバカさんなルミアーナだが、月の石などなくても本当に幸せな気持ちに包まれた二人だった。
そして月の石の精霊も主の幸せを敢えて壊そうとは思わない。
例え自らの存在を忘れ去られていたとしてもである。
そして、その日、二人は結ばれた。
ダルタスはルーク王子と共に神殿を暴き神殿長や神官達も救い、ルミアーナの命を狙う者達、実際は邪気を放出する黒魔石に操られた小物達の仕業であることを突きとめ、その石を砕きルミアーナの命を護った。
そして、ルミアーナの為に生まれた沢山の”月の石達”もラフィリル王国と神殿を邪気から守った。
ルミアーナは…正確には生まれた月の石達は…であるが、この国…この世界の始まりの場所ラフィリル王国を救ったのだ。
十分、使命は果たしただろう。
二人には幸せになる権利があるというものである。
王城では二人を迎える準備が着々と進んでいる。
帰れば盛大な式が執り行われるだろう。
そのうち月の石の事も思いだすだろう。
精霊たちもルミアーナ自身が幸せならば特に気にもしない。
だが二人はまだ、国王からも結婚を許された事を知らない。
でも、そんな事知らなくても幸せなので大丈夫なのである。
数日後かはたまた数か月後かはたまた数年後なのかは分からないが、子供でもできれば、お忍びでひょっこり実家に顔を見せてもいいのだから。
そう!これから、どんな事が待ち受けていたとしても!
何といっても二人は最強の夫婦なのだから!
ここは、既にラフィリルではなく隣国のジャニカ皇国である。
ジャニカ皇国とラフィリル王国は、ほんの七年ほど前までは幾度も交戦したことのある敵国同士だったが今では平和条約が結ばれている。
(最近では交易も広がって行商人たちの行き来が増え国境はお互いの文化が交じり合う拠点となり、意外にも栄えていた)
ラフィルは冷静に考えていた。
追手も昨日の今日では、まだ手が回ってなかったと見える。
どうせ、今頃まだ会議でもしているのだろう。
将軍のいない王都軍など、剣を無くした騎士のようなものなのだ。
大体が(自分以外のだが)上層部というものはそういったもので行動が遅い。
即断即決こそが勝敗を分けるというのに…とラフィルは鼻で笑った。
国王がミアとの結婚に異を唱えてからすぐにラフィルはその場を下がり馬に飛び乗った。
その足で直ぐ様、ミアのもと、つまりネルデア邸に向かったのだ。
その時は一瞬の迷いもなくである。
ミアをさらってしまった後に多少、迷いもしたが、それもこれもミアが一蹴してくれた。
自分の側にいる事こそ幸せなのだと言ってくれた。
そしてドレスも宝石もなくても全然大丈夫だとも…。
こんなに幸せで良いのだろうかと、思うくらいである。
その気持ちが嬉しいではないか!
勉強家で努力家なミアは、きっと頑張れば何とかなると思っているのだろう。
本当にいじらしくて可愛らしいと思う。
そうそう簡単には、いかないだろうから掃除も食事の支度も全部、自分がすべきだろうと思う。
細かい所まで気配りできるかは分からないがミアの為に花くらいは飾ろうかとか色々と考えるラフィルだった。
二人は国境を越えるとすぐ近くの小さな小さな教会で結婚式をあげた。
少し離れた大通りにはもっと大きな教会もあったが、二人は敢えて小さな教会をえらんだ。
教会に入ると年老いた老神父が一人で出迎えた。
老神父に結婚式をすぐにでも挙げてほしいとラフィルが言うと老神父はラフィルの風貌を見て怪訝な顔をした。
なんだ?この男…この見るからに戦士と思われる鍛え抜かれたような体躯に、この顔の傷…どう見ても堅気には見えない。
しかも小物らしからぬ迫力があり、どう考えても只者ではないと直感出来た。
こんな男が家庭など望むのだろうか?
しかもこんな小さな教会で結婚?
こういう男が結婚などするときは、やたらと大っぴらにひけらかすのではないのか?
もしや、その気もない娘をどこぞから浚ってきたのではあるまいな?と、訝しんだ。
老神父は、そんな事を思い、後ろに寄り添う花嫁らしき娘に目をやる。
するとどうだろう!その娘は花がほころぶような笑みで、その男をみていたのだ。
それも、うっとりと恋する乙女の眼差しである。
(はぁぁぁっ?な!なんと!)
くわっと目を見開き老神父は驚いた。
聖なる女神か天使の降臨か?とみまごう美少女が心から愛しむなまなざしをこの『悪鬼のごとき風貌の男』に向けているのである。
まさか何か魔法でもかけられたのか?と一瞬疑った。
そうであれば救わなければ!と…。
だが、その少女を見つめ返す男の表情をみて老神父はすぐに自分の考え違いに気づき、見た目で判断しかけた自分を恥じた。
男の少女を見つめるまなざしは、本当に温かく優しかった。
そう!少女を心から愛しむ眼差しだったのである。
老神父は二人の願いを快く引き受け式を執り行った。
たまたま、祈りを捧げにきていた老婆が花嫁衣裳すらないというミアを気の毒がり、せめて…と野の草花で小さな可愛らしいブーケを作ってくれた。
「まぁ、何て可愛らしいブーケ。おばあさん!ありがとうございます」とミアが素直にお礼をいうとその老婆も嬉しそうに微笑んだ。
二人はこの老神父と偶然そこに参拝に来ていただけの老婆のみに祝福をもらい結婚式をあげた。
結婚の証人はこの老婆である。
本当にささやかな式であったが、お互いがお互いを慈しみ合い、心から望んだ純粋な想いのこもった結婚式だった。
そして二人が駆け落ち者で未だ暮らす場所すらないことを知った老婆は、今はもう使われていない森番の小屋がここから半時ほど歩いたところにあるので暫くそこに身を寄せては?と勧めた。
もとはここの領主様の持ち物ではあるが、今は使っておらず、人もあまり寄り付かないので隠れ住むにはもってこいだと言うのだ。
ラフィルは『小屋』など公爵令嬢のルミアーナに…と思って断ろうとした。
慌てて出てきたとはいえ、多少の金貨といくつかの宝石を持って出てきた。
売れば小さな館くらい買えるのである。
しかし、ミアが瞳をきらきらと輝かせ「まぁあ!素敵!おばあさん!案内してくださる?」と食いついたのである。
老婆も、それはそれは嬉しそうにしていて、そんな二人の様子にラフィルは口を挟む事が出来なかった。
早速、神父に礼を言って金貨を何枚か教会に寄付し、二人は老婆に案内されてその小屋へと向かった。
「まぁっ!可愛いお家っ!」とミアは大喜びしたが、ラフィルは『マジか?』と思った。
まさしく丸太小屋…といった小屋である。
きこりか、狩人が住みそうな小屋である。
幸い中に入ってみると意外に綺麗に片付いていて、テーブルやベットもある。特に修理の必要もなく直ぐにも住めそうではあったが、ルミアーナの暮らしていた部屋の十分の一にも満たない広さである。
「ミア!姫様育ちのお前が本当にこんな狭い質素な小屋で良いのか?」とラフィルは、つい親切にしてくれた老婆の前で言ってしまった。
「まぁあ!ラフィル様ったら!こんなに可愛くて素敵なのに?それにこの広さならいつも、ラフィル様のすぐ傍にいられるもの!今までの部屋よりも何倍も素敵よ!」と、本当に幸せそうに言ったのだ。
「うぐぉっ…」と、思わずハートを鷲掴みにされ倒れそうになる(いやもう、爪が喰いこまれるぐらい掴まれた)ラフィルでは、あるが…いやいやと、根性で自分を持ち直す。
「ほ…本当に?」
と、ラフィルが疑わし気に聞くとミアは「あら、おかしなことを聞かれるのですね?こんなことで嘘なんてつかないわ!」と即座に答えた。
「わ…わかった。なら、しばらくここで暮らしてみよう」
「まぁ!ありがとうラフィル様!」
そうして、二人はその後も、老婆の案内でお布団やカーテン。その他もろもろの生活用品や、食糧を買いに街に出た。
「おばあさんのお陰で、本当に助かりました。ありがとうございます」
ミアが心からのお礼を言うと、その老婆は嬉しそうに笑い、
「自分は毎日あの教会まで散歩がてらに行って祈りを捧げて帰るのが日課だから、何かあれば、あの教会においでなさい。いつでも相談にのるから」と、言ってくれた。
ちなみにルミアーナの月の石はというと着替えたドレスのポッケの中で、なんとポーラのお店に置いてきてしまっていた。
しかもエプロンドレスを購入した後、脱いだドレスは荷物になるからと捨ててくれと頼んでいた。
幸いにもポーラは人が良く、大事に取っておくからお城の皆様に結婚が許されたら帰りに、また是非、立ち寄ってほしいと言って預かってくれたので石も無事ではあるのだが…。
いかんせん、無くしたことにすら気づいてないのでどうしようもない。
(振り返ってみれば、美羽時代も、運動も勉強もできたが、うっかりは意外と多かった。)
勝手にラフィルに愛人がいると誤解し(ドリーゼに聞いたせいではあるが)、家出までしてしまった自分はもう、愛想をつかされたのではないかと本気で悩んでいたこともあるミアである。
それが、いきなり"駆け落ちだ!"と愛するラフィルにさらわれたルミアーナは喜びと、ときめきにとても平静でいられる筈もなく、もうラフィルとの逃避行以外細かい事は眼中になかったのだろう。
薄情かと思われるかもしれないが、リゼラやフォーリー、ルークの事も綺麗さっぱり忘れていた。
一言連絡しようと思えば通信手段である"月の石"の事を直ぐに思い出せただろうが、今は二人の世界に酔いしれている。
恋の副作用でちょっとばかり(大分)おバカさんなルミアーナだが、月の石などなくても本当に幸せな気持ちに包まれた二人だった。
そして月の石の精霊も主の幸せを敢えて壊そうとは思わない。
例え自らの存在を忘れ去られていたとしてもである。
そして、その日、二人は結ばれた。
ダルタスはルーク王子と共に神殿を暴き神殿長や神官達も救い、ルミアーナの命を狙う者達、実際は邪気を放出する黒魔石に操られた小物達の仕業であることを突きとめ、その石を砕きルミアーナの命を護った。
そして、ルミアーナの為に生まれた沢山の”月の石達”もラフィリル王国と神殿を邪気から守った。
ルミアーナは…正確には生まれた月の石達は…であるが、この国…この世界の始まりの場所ラフィリル王国を救ったのだ。
十分、使命は果たしただろう。
二人には幸せになる権利があるというものである。
王城では二人を迎える準備が着々と進んでいる。
帰れば盛大な式が執り行われるだろう。
そのうち月の石の事も思いだすだろう。
精霊たちもルミアーナ自身が幸せならば特に気にもしない。
だが二人はまだ、国王からも結婚を許された事を知らない。
でも、そんな事知らなくても幸せなので大丈夫なのである。
数日後かはたまた数か月後かはたまた数年後なのかは分からないが、子供でもできれば、お忍びでひょっこり実家に顔を見せてもいいのだから。
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