52 / 227
ところ変われば姫!時々、騎士見習い!
52.困ったときは、とりあえず目先の事から
しおりを挟む
ひとしきり、反省と後悔を繰り返しダルタスに合わす顔がないと泣きながら二人に打ち明けると、二人からは思いもかけない言葉が返ってきた。
リゼラなどは、さほど驚いた様子も見せずしれっという。
「やはり、そうでしたか?おかしいなとは思いました。先程も、月の石を使ってルーク王子とお話しした時やはりドリーゼ様は勘違いしていたようだ…と、仰ってましたしねぇ。ドリーゼ様の企みなら、それはそれでルミアーナ様が家出でもすれば将軍もドリーゼ様との別居も考えるにでは?と思って、特に反対もせずついて参りましたが」
『何ですと?』
おいぃ、あの時、リゼラだって結構な勢いで、ドリーゼ様にくってかかっていたではないか!?とルミアーナは、叫びそうになる。
「そうですよね~!大体あれほど姫様大好きオーラ全開で他に愛人なんてありえませんものね~」と、フォーリーまでもが、追い打ちをかけるが如く言った。
ルミアーナは『フォーリー!?おまえもかっ!』と心の中で叫ぶ!
「二人とも酷いっ!どうして直ぐに言ってくれなかったの?」と、ルミアーナが言うと…、
「あら、あの時のご様子では、聞く耳もってらっしゃらなそうでしたし…ねぇ?」とリゼラはフォーリーに目配せをする。
「そう…ですね。真相はともかくそういう誤解を招くような経緯があったのなら、それだけで許せませんし!いつだって私たち姫様の従者ですもの。姫様の気のすむようにどこまでだってついていきますとも!」と姫様命!な、フォーリーはさも、当たり前の事のように言った。
「ちょっ…!怖いよ!ソレ!私が間違ってたら怒っていいから!何だったら張り倒してもいいからっ!」とルミアーナは、本気で訴えた。
「「無理ですっ!」」と二人が同時に声を大にしていった。
「そりゃ、ルミアーナ様が、命にかかわるような危険を冒そうとしているとか、人外なほどの悪事に加担しようとしているとかだったら体をはってでもお止めしますけどね?ねぇ、フォーリー」
「そうですよね!リゼラ様、私もそう思いますわ。でもうちの姫様はそんな事、絶対しませんもの。姫様は目覚める前、命を狙われる恐怖から誰も信じることが出来ず外に出ることも、ほほ笑むことすらなくなって…まるで感情のない人形のようでしたわ。私、姫様が毒におかされて眠りについてしまったときに神様に誓いましたの!もし姫様が目覚めることがあったなら、姫様の為にどんな無理でも聞いてさしあげようと!」
う、うわぁ…。
思いがけず、自分の自覚のたりなさが、周りをとんでもないことに巻き込みかねない状況に気づいて青くなった。
そして既に、巻き込んでしまっている事実に気付いて思わず目をそむけたいルミアーナであった。
二人はとにかく自分に忠実でどんなに自分が間違ってても(命にかかわったり極悪に走らなければだが)味方してくれちゃうらしいのだ…。
それが良い事なのか悪い事なのか…いや、決して良くはないと思うのだ…。
だからこそ、これからの自分を律しなければと思った。
恋に浮かれて周りを巻き込んで…そんな自分ではいけない…。
……と、反省はしたものの、今更どの面さげてダルタスに会えるだろう…とも思って困り果てる。
どんなに困っても実は答えは簡単!素直に謝って許してもらうだけなのだが…。
どうやらルミアーナは初恋を妙な具合にこじらせてしまっているようである。
素直になれない。
「どうしますか?すぐにでも戻りますか?ダルタス将軍ならきっとすぐに許してくださいますよ?」
「そうですとも姫様に夢中なんですから」と二人は簡単に言うが、ルミアーナはふるふると首を横にふる。
「二人には話してなかったのだけど、ここに来たのは目的があっての事なの…。ネルデア様がダルタス様やドリーゼ様の事をどう思っていらっしゃるのか…ダルタス様とお会いしたくないのか…。お気持ちを確かめて出来る事ならダルタス様とだけでも自由にお会いになれるようになれないかと思って…」
「まぁ、それでは愛人騒動で家出というのは案外よい口実だったのかもしれません。いきなり失踪ではドリーゼ様も納得しませんし」と、ルミアーナを慰めるつもりでかリゼラが言うとフォーリーも、うんうんと頷いた。
『いや、良くはないだろ!』と思わず心の中で突っ込むルミアーナだったが、眉をへにょりと寄せて二人をちょっとだけ恨めし気に見るにとどめた。
そして、とりあえず明日の二将軍から受けるであろう騎士見習いへの指導の為にも無理やり眠らなければと、思うルミアーナだった。
でも、一人になるとダルタスの事ばかり考えしまって眠れそうにもない。
「一人じゃ眠れない…二人とも…一緒に寝てくれない?」と潤んだ瞳の上目遣いでルミアーナが言うと、フォーリーとリゼラは激しく動揺した。
はうぅっ!何なのこれ!
かっ…可愛いっ!可愛すぎますっっ!姫様っ!
と、二人は目を見開いた。
ルミアーナは、自業自得とはいえ、ダルタスに会えないことが寂しくて寂しくてたまらないのである。
二人はそのルミアーナの可愛らしさに悶絶しそうになるが、必死で平静を装う。
「仕方ありませんね。本当は従者が姫様と同じベッドで眠る等と許される事ではありませんが…」
「そ、そうですね!明日は将軍様がたとの立ち合いもございますし、寝不足はいけませんね」
…と、言いつつも内心きゅんきゅうんしながら二人は(大喜びで)ルミアーナを挟んで川の字で眠りについたのだった。
とりあえず、明日の二将軍との立ち合いを頑張る事にしたルミアーナだった。
リゼラなどは、さほど驚いた様子も見せずしれっという。
「やはり、そうでしたか?おかしいなとは思いました。先程も、月の石を使ってルーク王子とお話しした時やはりドリーゼ様は勘違いしていたようだ…と、仰ってましたしねぇ。ドリーゼ様の企みなら、それはそれでルミアーナ様が家出でもすれば将軍もドリーゼ様との別居も考えるにでは?と思って、特に反対もせずついて参りましたが」
『何ですと?』
おいぃ、あの時、リゼラだって結構な勢いで、ドリーゼ様にくってかかっていたではないか!?とルミアーナは、叫びそうになる。
「そうですよね~!大体あれほど姫様大好きオーラ全開で他に愛人なんてありえませんものね~」と、フォーリーまでもが、追い打ちをかけるが如く言った。
ルミアーナは『フォーリー!?おまえもかっ!』と心の中で叫ぶ!
「二人とも酷いっ!どうして直ぐに言ってくれなかったの?」と、ルミアーナが言うと…、
「あら、あの時のご様子では、聞く耳もってらっしゃらなそうでしたし…ねぇ?」とリゼラはフォーリーに目配せをする。
「そう…ですね。真相はともかくそういう誤解を招くような経緯があったのなら、それだけで許せませんし!いつだって私たち姫様の従者ですもの。姫様の気のすむようにどこまでだってついていきますとも!」と姫様命!な、フォーリーはさも、当たり前の事のように言った。
「ちょっ…!怖いよ!ソレ!私が間違ってたら怒っていいから!何だったら張り倒してもいいからっ!」とルミアーナは、本気で訴えた。
「「無理ですっ!」」と二人が同時に声を大にしていった。
「そりゃ、ルミアーナ様が、命にかかわるような危険を冒そうとしているとか、人外なほどの悪事に加担しようとしているとかだったら体をはってでもお止めしますけどね?ねぇ、フォーリー」
「そうですよね!リゼラ様、私もそう思いますわ。でもうちの姫様はそんな事、絶対しませんもの。姫様は目覚める前、命を狙われる恐怖から誰も信じることが出来ず外に出ることも、ほほ笑むことすらなくなって…まるで感情のない人形のようでしたわ。私、姫様が毒におかされて眠りについてしまったときに神様に誓いましたの!もし姫様が目覚めることがあったなら、姫様の為にどんな無理でも聞いてさしあげようと!」
う、うわぁ…。
思いがけず、自分の自覚のたりなさが、周りをとんでもないことに巻き込みかねない状況に気づいて青くなった。
そして既に、巻き込んでしまっている事実に気付いて思わず目をそむけたいルミアーナであった。
二人はとにかく自分に忠実でどんなに自分が間違ってても(命にかかわったり極悪に走らなければだが)味方してくれちゃうらしいのだ…。
それが良い事なのか悪い事なのか…いや、決して良くはないと思うのだ…。
だからこそ、これからの自分を律しなければと思った。
恋に浮かれて周りを巻き込んで…そんな自分ではいけない…。
……と、反省はしたものの、今更どの面さげてダルタスに会えるだろう…とも思って困り果てる。
どんなに困っても実は答えは簡単!素直に謝って許してもらうだけなのだが…。
どうやらルミアーナは初恋を妙な具合にこじらせてしまっているようである。
素直になれない。
「どうしますか?すぐにでも戻りますか?ダルタス将軍ならきっとすぐに許してくださいますよ?」
「そうですとも姫様に夢中なんですから」と二人は簡単に言うが、ルミアーナはふるふると首を横にふる。
「二人には話してなかったのだけど、ここに来たのは目的があっての事なの…。ネルデア様がダルタス様やドリーゼ様の事をどう思っていらっしゃるのか…ダルタス様とお会いしたくないのか…。お気持ちを確かめて出来る事ならダルタス様とだけでも自由にお会いになれるようになれないかと思って…」
「まぁ、それでは愛人騒動で家出というのは案外よい口実だったのかもしれません。いきなり失踪ではドリーゼ様も納得しませんし」と、ルミアーナを慰めるつもりでかリゼラが言うとフォーリーも、うんうんと頷いた。
『いや、良くはないだろ!』と思わず心の中で突っ込むルミアーナだったが、眉をへにょりと寄せて二人をちょっとだけ恨めし気に見るにとどめた。
そして、とりあえず明日の二将軍から受けるであろう騎士見習いへの指導の為にも無理やり眠らなければと、思うルミアーナだった。
でも、一人になるとダルタスの事ばかり考えしまって眠れそうにもない。
「一人じゃ眠れない…二人とも…一緒に寝てくれない?」と潤んだ瞳の上目遣いでルミアーナが言うと、フォーリーとリゼラは激しく動揺した。
はうぅっ!何なのこれ!
かっ…可愛いっ!可愛すぎますっっ!姫様っ!
と、二人は目を見開いた。
ルミアーナは、自業自得とはいえ、ダルタスに会えないことが寂しくて寂しくてたまらないのである。
二人はそのルミアーナの可愛らしさに悶絶しそうになるが、必死で平静を装う。
「仕方ありませんね。本当は従者が姫様と同じベッドで眠る等と許される事ではありませんが…」
「そ、そうですね!明日は将軍様がたとの立ち合いもございますし、寝不足はいけませんね」
…と、言いつつも内心きゅんきゅうんしながら二人は(大喜びで)ルミアーナを挟んで川の字で眠りについたのだった。
とりあえず、明日の二将軍との立ち合いを頑張る事にしたルミアーナだった。
24
お気に入りに追加
2,776
あなたにおすすめの小説
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる