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ところ変われば姫!時々、騎士見習い!
36.ダルタスの家族
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午後のティータイム。
ダルタスの執務室に差し入れを持って訪れたルミアーナは、ふと思った。
あれっ?そう言えば、ダルタス様は、うちの両親と会っているけど、私はダルタスの家族の誰にも会っていないよね?
まぁ、我が家でお見合いした訳だからうちの両親が会ってるのは当然だけど…そうかダルタス様の方の付き添いはアクルス王太子殿下だったっけ?
あれ?
どうゆうことだ?これ?
「ダルタス様?」
「ん?なんだ?」
「私はダルタス様のご家族にご挨拶しなくて宜しいのですか?」
「え、ええっ?」とダルタスが何やら慌てた。
「何を驚いてるのですか?ダルタス様は私の両親にも挨拶して下さっていますけれど、私はダルタス様のご家族にお会いしてませんよね?」とつめよる。
「や、父は先の隣国との紛争で亡くなっているのだ」
「まあ、では、お母様は?」
「いや、それが、母は幼少の頃に出ていったので…」
「まあ、ではダルタス様は、お独り暮らしでしたの?」
「う、いや…じつは…祖母が…」
「まあ!おばあ様?」
「あ、ああ」
「ぜひ、会わせてくださいませ!ダルタス様のおばあ様ですもの!ご挨拶しなくては!」
「いや、しかし」
煮え切らないダルタスの様子に若干、不信感を覚えたルミアーナは、不満そうな眼差しをダルタスにむけた。
ダルタスは、ギクリとした。
まずい、また何か変な風にとられてはたまらない…。
「じつは…」とダルタスは祖母について語りだした。
祖母がダルタスの母親の身分が低かったことを疎んでいたこと。
そして自分の怪我を理由に責め立てて追い出した事。
幼いながらも自分を理由に責められている母親が可哀想で、出ていったと聞かされたときにはむしろ良かったとさえ思った事を正直に話した。
「そ、それはまた…なかなか、大変そうな…」と、ルミアーナは顔をひきつらせた。
「ううう…出来れば大事なそなたに会わせたくはない…」とダルタスは呻きながら言った。
「いや、でも、ダルタス様と一緒に住んでらっしゃるのですよね?しかもダルタス様のおばあ様とゆー事は、王妃様のお母様?…ですよね?」
避けて通る訳にも…ルミアーナは思った。
「まあ、とりあえず、いつかは会わないといけないならさっさと済ませてしまいませんか?」
ダルタスの心配をよそにあっさりとそう言うルミアーナだった。
***
その日、ダルタスは、屋敷に戻ると家令ブラントに相談をもちかけた。
「ルミアーナを祖母に会わせるべきだろうか?出来れば俺は会わせたくはないんだが、同じ屋敷に住む以上そういう訳にも行くまいしなあ…」
実に困りきった表情で頭を抱えながらダルタスが言った。
「っていうか本当に、またもや婚約されたのですねぇ…」と、呆れた口調でブラントがそれに答えた。
「全く何を考えてるんだか…世間で旦那様の事を何と言ってるのか、ご存じないんですか?」
「知らん。どうでもよかろう!」
「ちょっとは、気にしてくださいよ!」
「どうでも良い」
「どうでも良いわけありませんから!鬼畜将軍ですよ!?鬼畜ですからね?鬼将軍どころか鬼畜将軍なんて呼ばれちゃってるんですからね!」
「大差なかろう?」
「大分、違いますからっ!」
ブラントは呑気な主に食ってかかる。
それもこれも、みんなルミアーナ嬢のせいだとブラントは思っている。
最初こそ、公爵令嬢などと、主の身分に釣り合いの取れたご縁だと喜んだものの、ものの一週間で婚約を破棄したり、国王夫妻に取り入ったり!(←別に取り入った訳ではないが、ブラントは勝手にそう思い込んでいる)
挙げ句の果てにまた婚約などと!
ダルタス一人を悪者にして自分は悲劇のヒロインに収まっているなど、どれほどずる賢い隠れ悪辣令嬢なのかと憤りを押さえる事ができない。
なんとか主の目を覚まさせて、今度は主からこの婚約を破談にさせなければと思っている。
はっ!とブラントは、ある事に気づく。
ダルタスの祖母に会わせれば悪辣令嬢など、ひとたまりもあるまい…と!
主の祖母に対して随分な思いようではあるが、あれほど根性のひんまがったババアはいない!とブラントは思っている。
悪女には悪女!
ドリーゼにかかればひよっこの悪女など完膚なきまでに叩きのめされるに決まっている。
今回ばかりは自分もドリーゼの味方についてルミアーナを敵として追い出してやろうと思い立った。
悩み顔の主人を背に、片手を顎に添えてニヤリと悪戯でも思い付いたように片方の口角をあげる。
そしてくるりと向き直り、主に進言する。
「旦那様、旦那様が本当にルミアーナ様を奥様に迎えたいのなら、やはり祖母であり現在この屋敷の女主人であるドリーゼ様を避けて通る訳にもまいりませんよ。私からもご令嬢のことはなるべく良い印象をもたれるように話をしておきますから、出来るだけ早くに紹介されては?」と、ブラントが真面目な顔をして言った。
勿論、ドリーゼには、ルミアーナのことを良く言うつもりなど全く無い。
ありったけの令嬢の悪口を言うつもりなのだが…。
「そうか…そうだな…おまえがそう言うのなら…」と、一抹の不安を感じながらもダルタスは頷いた。
ダルタスの執務室に差し入れを持って訪れたルミアーナは、ふと思った。
あれっ?そう言えば、ダルタス様は、うちの両親と会っているけど、私はダルタスの家族の誰にも会っていないよね?
まぁ、我が家でお見合いした訳だからうちの両親が会ってるのは当然だけど…そうかダルタス様の方の付き添いはアクルス王太子殿下だったっけ?
あれ?
どうゆうことだ?これ?
「ダルタス様?」
「ん?なんだ?」
「私はダルタス様のご家族にご挨拶しなくて宜しいのですか?」
「え、ええっ?」とダルタスが何やら慌てた。
「何を驚いてるのですか?ダルタス様は私の両親にも挨拶して下さっていますけれど、私はダルタス様のご家族にお会いしてませんよね?」とつめよる。
「や、父は先の隣国との紛争で亡くなっているのだ」
「まあ、では、お母様は?」
「いや、それが、母は幼少の頃に出ていったので…」
「まあ、ではダルタス様は、お独り暮らしでしたの?」
「う、いや…じつは…祖母が…」
「まあ!おばあ様?」
「あ、ああ」
「ぜひ、会わせてくださいませ!ダルタス様のおばあ様ですもの!ご挨拶しなくては!」
「いや、しかし」
煮え切らないダルタスの様子に若干、不信感を覚えたルミアーナは、不満そうな眼差しをダルタスにむけた。
ダルタスは、ギクリとした。
まずい、また何か変な風にとられてはたまらない…。
「じつは…」とダルタスは祖母について語りだした。
祖母がダルタスの母親の身分が低かったことを疎んでいたこと。
そして自分の怪我を理由に責め立てて追い出した事。
幼いながらも自分を理由に責められている母親が可哀想で、出ていったと聞かされたときにはむしろ良かったとさえ思った事を正直に話した。
「そ、それはまた…なかなか、大変そうな…」と、ルミアーナは顔をひきつらせた。
「ううう…出来れば大事なそなたに会わせたくはない…」とダルタスは呻きながら言った。
「いや、でも、ダルタス様と一緒に住んでらっしゃるのですよね?しかもダルタス様のおばあ様とゆー事は、王妃様のお母様?…ですよね?」
避けて通る訳にも…ルミアーナは思った。
「まあ、とりあえず、いつかは会わないといけないならさっさと済ませてしまいませんか?」
ダルタスの心配をよそにあっさりとそう言うルミアーナだった。
***
その日、ダルタスは、屋敷に戻ると家令ブラントに相談をもちかけた。
「ルミアーナを祖母に会わせるべきだろうか?出来れば俺は会わせたくはないんだが、同じ屋敷に住む以上そういう訳にも行くまいしなあ…」
実に困りきった表情で頭を抱えながらダルタスが言った。
「っていうか本当に、またもや婚約されたのですねぇ…」と、呆れた口調でブラントがそれに答えた。
「全く何を考えてるんだか…世間で旦那様の事を何と言ってるのか、ご存じないんですか?」
「知らん。どうでもよかろう!」
「ちょっとは、気にしてくださいよ!」
「どうでも良い」
「どうでも良いわけありませんから!鬼畜将軍ですよ!?鬼畜ですからね?鬼将軍どころか鬼畜将軍なんて呼ばれちゃってるんですからね!」
「大差なかろう?」
「大分、違いますからっ!」
ブラントは呑気な主に食ってかかる。
それもこれも、みんなルミアーナ嬢のせいだとブラントは思っている。
最初こそ、公爵令嬢などと、主の身分に釣り合いの取れたご縁だと喜んだものの、ものの一週間で婚約を破棄したり、国王夫妻に取り入ったり!(←別に取り入った訳ではないが、ブラントは勝手にそう思い込んでいる)
挙げ句の果てにまた婚約などと!
ダルタス一人を悪者にして自分は悲劇のヒロインに収まっているなど、どれほどずる賢い隠れ悪辣令嬢なのかと憤りを押さえる事ができない。
なんとか主の目を覚まさせて、今度は主からこの婚約を破談にさせなければと思っている。
はっ!とブラントは、ある事に気づく。
ダルタスの祖母に会わせれば悪辣令嬢など、ひとたまりもあるまい…と!
主の祖母に対して随分な思いようではあるが、あれほど根性のひんまがったババアはいない!とブラントは思っている。
悪女には悪女!
ドリーゼにかかればひよっこの悪女など完膚なきまでに叩きのめされるに決まっている。
今回ばかりは自分もドリーゼの味方についてルミアーナを敵として追い出してやろうと思い立った。
悩み顔の主人を背に、片手を顎に添えてニヤリと悪戯でも思い付いたように片方の口角をあげる。
そしてくるりと向き直り、主に進言する。
「旦那様、旦那様が本当にルミアーナ様を奥様に迎えたいのなら、やはり祖母であり現在この屋敷の女主人であるドリーゼ様を避けて通る訳にもまいりませんよ。私からもご令嬢のことはなるべく良い印象をもたれるように話をしておきますから、出来るだけ早くに紹介されては?」と、ブラントが真面目な顔をして言った。
勿論、ドリーゼには、ルミアーナのことを良く言うつもりなど全く無い。
ありったけの令嬢の悪口を言うつもりなのだが…。
「そうか…そうだな…おまえがそう言うのなら…」と、一抹の不安を感じながらもダルタスは頷いた。
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