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四の巻~平成美女は平安(ぽい?)世界で~
74.平成美女は、ときめいて②
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定近は、その後も何かと若い二人(新婚の義鷹と扶久子)の為に心を砕いてくれた。
二人の祝いだと、弓を片手に山で猪を狩ってきたりもした。
そしてその猪を自ら捌き、鍋にしてふるまってくれた。
優しい上に強くて頼もしい定近に亜里沙は思った。
義鷹様のお祖父さまと言う事だからもっとお年を召した方かと思っていたけれど…定近様自身は、あの見た目のせいでご結婚もこれまでできず、従弟だった園近様を養子にされて跡目を継がせていたなんて…。
何とおいたわしい。やんごとなきご身分でありながら…。
生まれた世界が自分や扶久子のいた平成の世界でならいかばかりにおモテになられたか分からないのに…。
今も昔も未来も…人とは見た目に翻弄されて何と哀れな生き物よ…と。
かくいう自分とて、前世、女東宮(前世の扶久子)の可愛らしさ美しさに心奪われたものである。
---亜里沙は思った。---
もしも、自分が、この世界でも美少女と呼ばれる見た目であったなら…。
そんな考えが一瞬頭をよぎったが、すぐに頭を左右にぶんぶんと振って自分のお馬鹿な考えを振り払った。
私はこの世界では大変な不細工なのだ。
分不相応な事を一瞬でも考えてしまった自分を恥じて亜里沙は赤くなりうつむいた。
私は…。
芙久姫様の側でお仕えできればそれで幸せ。
そう、美少女ともてはやされたあの平成の世界でいた頃さえ、そう思って生きてきたのだ。
今更、自分がまた醜いとされる世界に来たとて、何がかわろうか!何も変わらない!私は芙久姫様にお仕えし続けるだけである。それこそが私の至福なのだ!
ただ、あんなにも立派な定近様が、お気の毒だと…そう、思っただけの事。
でも、そうね、私のような醜女に、そのような同情などは、ご迷惑以外何者でもないわね…と、そう思うのだった。
そう、これは同情なのよ…と。
二人の祝いだと、弓を片手に山で猪を狩ってきたりもした。
そしてその猪を自ら捌き、鍋にしてふるまってくれた。
優しい上に強くて頼もしい定近に亜里沙は思った。
義鷹様のお祖父さまと言う事だからもっとお年を召した方かと思っていたけれど…定近様自身は、あの見た目のせいでご結婚もこれまでできず、従弟だった園近様を養子にされて跡目を継がせていたなんて…。
何とおいたわしい。やんごとなきご身分でありながら…。
生まれた世界が自分や扶久子のいた平成の世界でならいかばかりにおモテになられたか分からないのに…。
今も昔も未来も…人とは見た目に翻弄されて何と哀れな生き物よ…と。
かくいう自分とて、前世、女東宮(前世の扶久子)の可愛らしさ美しさに心奪われたものである。
---亜里沙は思った。---
もしも、自分が、この世界でも美少女と呼ばれる見た目であったなら…。
そんな考えが一瞬頭をよぎったが、すぐに頭を左右にぶんぶんと振って自分のお馬鹿な考えを振り払った。
私はこの世界では大変な不細工なのだ。
分不相応な事を一瞬でも考えてしまった自分を恥じて亜里沙は赤くなりうつむいた。
私は…。
芙久姫様の側でお仕えできればそれで幸せ。
そう、美少女ともてはやされたあの平成の世界でいた頃さえ、そう思って生きてきたのだ。
今更、自分がまた醜いとされる世界に来たとて、何がかわろうか!何も変わらない!私は芙久姫様にお仕えし続けるだけである。それこそが私の至福なのだ!
ただ、あんなにも立派な定近様が、お気の毒だと…そう、思っただけの事。
でも、そうね、私のような醜女に、そのような同情などは、ご迷惑以外何者でもないわね…と、そう思うのだった。
そう、これは同情なのよ…と。
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