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四の巻~平成美女は平安(ぽい?)世界で~

68 ある日隠れ屋に迷い込み…① By隆

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 僕は秋月あきづきたかし24歳。

 この世界にきてから約2年になる。
 それは、大学を出て就職したての事だった。
 そこそこ大手の電化製品のメーカーに入り営業部の仕事を慣れない中、頑張っていたのだが、ある日、ある日、発注部のミスで大得意先の急ぎの注文が間に合わず、京都の山奥にある工場まで、新人ペイペイの僕が取りに行かされたのだ。

 豪雨の中、社用のワンボックスに商品を車いっぱいに商品を詰め込んで戻ろうとしたその時である。
 雷が僕の乗った車のすぐ側に落ちたのだ。
 車ごと、その閃光にに包まれ僕は意識を失った。

 そして、僕が目覚めた時、そこには道も工場も無かった。
 あるのは生い茂る草木ばかりだった。
 カーナビは電波を受信していないようで、位置が全く表示されなかった。
 携帯も繋がらず、僕は途方に暮れた。

 一体何があったのか?
 工場はどこに?
 落雷と共に地崩れでもあったのか?
 その割には、自分は怪我をしているわけでもないし、むち打ちとかもなさそうである。
 それもまた不可思議な現象だ。
 ガラスも割れているような様子は無いし車の中の荷物も崩れた様子もない。
 ただ車のまわりはみっしりと木々に覆われている。

 車は茂みの中に木や岩に囲まれたそこに食い込むように止まっていて、前にも後ろにも勿論、横にも動かせない状態だ。
 何とか自分一人、車に乗っていたレンチ生い茂る枝を薙ぎ払いながら出るのが精一杯だった。

 幸い、嵐のような雨は止み、僕は車の中にあったノビリティグッズ(販売促進用のおまけで配る商品)の中から磁石とLEDライトを取り出して、とにかく広い道を探す事にした。
 このときは、まさか自分が時空を超えた世界に来てしまっている等と夢にも思っていなかった。
 広い道まで出る事が出来れば携帯も電波が繋がるだろうと思っていたし

 そして道なき道を彷徨い僕はまるで時代劇に出てくるような屋敷の敷地内に足を踏み入れていた。
 そこには、大きな山門がそびえたっていたが、人のいる気配はしなかった。
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