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参の巻~平安美女と平成美男の恋話~
55 かぐや姫の凱旋?(弐)清涼殿での会話
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そして、その日は来た。
清涼殿に招かれて扶久子が宮中に上がるのだ。
帝の従弟にあたる凛麗の君が何かしらの理由をつけ扶久子を呼びつけ義鷹との婚姻に水を差したのだと右大臣家の面々は推察していた。
そして、それは真に的中していた。
宮中…清涼殿の奥まった部屋で帝とその従弟である藤中納言藤原時盛(凛麗の君)が何やらこみいった話をしていた。
「全く、困ったことよ…我らが鬼神の君(義鷹)の想い人に想いを寄せるなど…其方は鬼神の君の事を余同様、気にいっていたのではなかったか?余としては、鬼神の君の方を応援したいくらいなのだよ」
良識ある帝はこの我儘な従弟を窘めつつも噂の姫の話に興味を持って話を聞いていた。
「そんな!帝!それでは姫を見捨てよとおっしゃるのですか?姫君は助けてもらったからと、あの醜い男の求婚を断れなかったのに違いないのですよ!何より私は真実の恋に初めてであったのです。かの姫を娶れたなら今後、一切の夜遊びはいたしませんし、かの姫の為に仕事にも昼夜を問わず励む所存でおります」
「ふぅっ、やれやれ。何という言い草だ。私が聞いた噂とは随分と違うようだ。私が伝え聞いた話では姫君の方も鬼神の君の事を慕っているように思えるし、何よりこれを逃せば鬼神の君は、もう妻になってくれるような女性との出会いはないかもしれないではないか?(※何気に帝も失礼だ)仕事も出来て誠実なあの者の幸せを友である筈の其方が邪魔して何とする。それでなくとも元々、鬼神の君の許嫁に夜這いをかけかっさらった前科もあり私は身を慎むようにと言い渡してからもまだ日は浅いのだぞ?」
「そ…それは…あの三の姫は義鷹の事を侮っていましたし…私はそんな女に義鷹は任せられないと…」痛いところをつかれ凛麗の君の言葉もしどろもどろになる。
名うての色男もかたなしである。
「やれやれ…それこそ大きなお世話というものだろう。(※全くだ!)それで今度は本気で惚れたから奪いとると?そこは、鬼神の君を思いやって、其方が涙を呑んで身を引くべきではないのか?聞けば大層優しき姫で、鬼神の君を侮るような姫らしいではないか?巷ではかぐや姫と呼ばれているほどの美しき姫とか?」
「だ!だからこそ、不憫ではございませぬか!義鷹は確かに良い男です!ですか女性が一緒にいて楽しいはずがないようなあの見てくれで…」
その余りの言いように帝はキツイ口調で凛麗の君を窘めた。
「だまりなさいっ。ああ、お前と来たらいつからそのような事を言うように…多少、遊び人なところはあったが気持ちのさっぱりした良い男と思うておったのに…気分が悪くなる」普段、温厚な帝だが、この時ばかりは不愉快そうに顔をしかめた。
「そ、そんな!では、どうして私の願いを聞いて姫をこの清涼殿に招いて下さったのです?あの二人の婚姻を何とか先延ばしにしたいという私の意を汲んでくださったのではなかったのですか?」
「はぁっ。余がそんなに愚かと思うのか…?時盛(凛麗の君の本名)全く…。そんな訳がないだろう?我も一目そのかぐや姫が見てみたい…そう思っただけの事…そしてお前が言う事がどこまで確かな事か確かめるためよ」
「そ、そんな…」その帝の言葉に凛麗の君は蒼白になった。
哀れなり…自ら墓穴を掘る時盛(凛麗の君)だった。
「さぁ、あと半時もすれば、鬼神の君に付き添われて噂の姫が来られるだろう。話によっては其方には罰も考えているから首を洗ってまっていなさい」
涼しい顔をして帝はそう言い放ち、にっこりと微笑むのだった。
清涼殿に招かれて扶久子が宮中に上がるのだ。
帝の従弟にあたる凛麗の君が何かしらの理由をつけ扶久子を呼びつけ義鷹との婚姻に水を差したのだと右大臣家の面々は推察していた。
そして、それは真に的中していた。
宮中…清涼殿の奥まった部屋で帝とその従弟である藤中納言藤原時盛(凛麗の君)が何やらこみいった話をしていた。
「全く、困ったことよ…我らが鬼神の君(義鷹)の想い人に想いを寄せるなど…其方は鬼神の君の事を余同様、気にいっていたのではなかったか?余としては、鬼神の君の方を応援したいくらいなのだよ」
良識ある帝はこの我儘な従弟を窘めつつも噂の姫の話に興味を持って話を聞いていた。
「そんな!帝!それでは姫を見捨てよとおっしゃるのですか?姫君は助けてもらったからと、あの醜い男の求婚を断れなかったのに違いないのですよ!何より私は真実の恋に初めてであったのです。かの姫を娶れたなら今後、一切の夜遊びはいたしませんし、かの姫の為に仕事にも昼夜を問わず励む所存でおります」
「ふぅっ、やれやれ。何という言い草だ。私が聞いた噂とは随分と違うようだ。私が伝え聞いた話では姫君の方も鬼神の君の事を慕っているように思えるし、何よりこれを逃せば鬼神の君は、もう妻になってくれるような女性との出会いはないかもしれないではないか?(※何気に帝も失礼だ)仕事も出来て誠実なあの者の幸せを友である筈の其方が邪魔して何とする。それでなくとも元々、鬼神の君の許嫁に夜這いをかけかっさらった前科もあり私は身を慎むようにと言い渡してからもまだ日は浅いのだぞ?」
「そ…それは…あの三の姫は義鷹の事を侮っていましたし…私はそんな女に義鷹は任せられないと…」痛いところをつかれ凛麗の君の言葉もしどろもどろになる。
名うての色男もかたなしである。
「やれやれ…それこそ大きなお世話というものだろう。(※全くだ!)それで今度は本気で惚れたから奪いとると?そこは、鬼神の君を思いやって、其方が涙を呑んで身を引くべきではないのか?聞けば大層優しき姫で、鬼神の君を侮るような姫らしいではないか?巷ではかぐや姫と呼ばれているほどの美しき姫とか?」
「だ!だからこそ、不憫ではございませぬか!義鷹は確かに良い男です!ですか女性が一緒にいて楽しいはずがないようなあの見てくれで…」
その余りの言いように帝はキツイ口調で凛麗の君を窘めた。
「だまりなさいっ。ああ、お前と来たらいつからそのような事を言うように…多少、遊び人なところはあったが気持ちのさっぱりした良い男と思うておったのに…気分が悪くなる」普段、温厚な帝だが、この時ばかりは不愉快そうに顔をしかめた。
「そ、そんな!では、どうして私の願いを聞いて姫をこの清涼殿に招いて下さったのです?あの二人の婚姻を何とか先延ばしにしたいという私の意を汲んでくださったのではなかったのですか?」
「はぁっ。余がそんなに愚かと思うのか…?時盛(凛麗の君の本名)全く…。そんな訳がないだろう?我も一目そのかぐや姫が見てみたい…そう思っただけの事…そしてお前が言う事がどこまで確かな事か確かめるためよ」
「そ、そんな…」その帝の言葉に凛麗の君は蒼白になった。
哀れなり…自ら墓穴を掘る時盛(凛麗の君)だった。
「さぁ、あと半時もすれば、鬼神の君に付き添われて噂の姫が来られるだろう。話によっては其方には罰も考えているから首を洗ってまっていなさい」
涼しい顔をして帝はそう言い放ち、にっこりと微笑むのだった。
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