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参の巻~平安美女と平成美男の恋話~
㊽誠実な人~By芙久子
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「うううっ、私ってば最低~」そんな私(扶久子)の呟きに親友で側近の亜里沙は慰めの言葉を繰りだしてくる。
廊下を挟んだ隣の部屋で宿直をして下さっている義鷹様に聞こえないよう小声で平成にいた時のように親し気な口調だ。
落ち込んだ私に亜里沙はどこまでも優しい。
「まぁまぁ、でも、私は嬉しいわ。義鷹様はこんな事になっても扶久姫を心配こそすれ、自分の想いを優先して怒ったりしなかったし!扶久姫の為の薬湯も自ら持ってきてくれて!本当に良い人に助けられたわね」
亜里沙はそう言いながらぱちっとウィンクして見せた。
「うん、それは…確かにそう」そう言って自分自身の顔が熱を持つのがわかった。
「正直言って、どんなに男前でお金持ちで身分があっても凛麗の君みたいな不誠実な男だったら私は応援なんて絶対しないもの」
「やだ、亜里沙ったら何言ってるの?まず、あんな色白なカバは男前じゃないしっ」
私は拳を握りしめてそう言い放つ。
「あはは、この世界でのって事よ。けど、あんなのにまで目をつけられてしまって厄介な事ね。あんなのから身を守る為にもさっさと誠実で優しい義鷹様と結婚してしまえば扶久姫の身も安全だとおもったんだけどねぇ」
「亜里沙ってば、やけに熱心に義鷹様を推してくると思ってたらそこまで考えてたの?」
本当に同い年かと疑いたくなるよ。
「当たり前じゃないの!大事な大事な親友の幸せを願ってこそよ!それよりどぉ?紅葉様や楓様から頂いてきたお薬湯は効いてきた?」
あ…当たり前なの?
「うん、いつも芙蓉の方が飲んでらっしゃるお薬湯ですごく良く効くものだと言ってたけど、効いてきたみたい。そりゃあもうびっくりするほど苦かったけど…ね」
「ふふっ。真に良薬は口に苦し…というやつね?今宵はもう休んだ方がいいわ。義鷹様も間近な部屋で宿直を努めて下さっているし安心して…ね?」
「うん」私はこっくりと頷き布団に入った。
誠実で優しい恋人。
そして心から自分を案じてくれる親友。
ああ、私は本当になんて幸せなんだろう。
生きてきて今が一番幸せだと思う。
義鷹様には本当に申し訳なかったけれど、自分がこれほどまでに大切に思われているのだと改めて幸せをかみしめる。月のものからくる倦怠感とお薬湯から来る眠気に意識も朦朧として来て私は亜里沙に付き添われながらその日は、そのまま眠りについたのだった。
******************
(解説※ 宿直:貴人の警備を行うこと)
廊下を挟んだ隣の部屋で宿直をして下さっている義鷹様に聞こえないよう小声で平成にいた時のように親し気な口調だ。
落ち込んだ私に亜里沙はどこまでも優しい。
「まぁまぁ、でも、私は嬉しいわ。義鷹様はこんな事になっても扶久姫を心配こそすれ、自分の想いを優先して怒ったりしなかったし!扶久姫の為の薬湯も自ら持ってきてくれて!本当に良い人に助けられたわね」
亜里沙はそう言いながらぱちっとウィンクして見せた。
「うん、それは…確かにそう」そう言って自分自身の顔が熱を持つのがわかった。
「正直言って、どんなに男前でお金持ちで身分があっても凛麗の君みたいな不誠実な男だったら私は応援なんて絶対しないもの」
「やだ、亜里沙ったら何言ってるの?まず、あんな色白なカバは男前じゃないしっ」
私は拳を握りしめてそう言い放つ。
「あはは、この世界でのって事よ。けど、あんなのにまで目をつけられてしまって厄介な事ね。あんなのから身を守る為にもさっさと誠実で優しい義鷹様と結婚してしまえば扶久姫の身も安全だとおもったんだけどねぇ」
「亜里沙ってば、やけに熱心に義鷹様を推してくると思ってたらそこまで考えてたの?」
本当に同い年かと疑いたくなるよ。
「当たり前じゃないの!大事な大事な親友の幸せを願ってこそよ!それよりどぉ?紅葉様や楓様から頂いてきたお薬湯は効いてきた?」
あ…当たり前なの?
「うん、いつも芙蓉の方が飲んでらっしゃるお薬湯ですごく良く効くものだと言ってたけど、効いてきたみたい。そりゃあもうびっくりするほど苦かったけど…ね」
「ふふっ。真に良薬は口に苦し…というやつね?今宵はもう休んだ方がいいわ。義鷹様も間近な部屋で宿直を努めて下さっているし安心して…ね?」
「うん」私はこっくりと頷き布団に入った。
誠実で優しい恋人。
そして心から自分を案じてくれる親友。
ああ、私は本当になんて幸せなんだろう。
生きてきて今が一番幸せだと思う。
義鷹様には本当に申し訳なかったけれど、自分がこれほどまでに大切に思われているのだと改めて幸せをかみしめる。月のものからくる倦怠感とお薬湯から来る眠気に意識も朦朧として来て私は亜里沙に付き添われながらその日は、そのまま眠りについたのだった。
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(解説※ 宿直:貴人の警備を行うこと)
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