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「父と母のお導きだと思うのです」
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婚約の打診があった後日、ルパート殿下はフラメル伯爵家を訪れました。まるで恋人のように話しかけてくるルパート殿下と、訳がわからなく混乱している私。
その噛み合わない会話からルパート殿下の従者や私の叔父がしびれを切らし情報を整理した結果、なんと、ルパート殿下は王家の夜会で、信じられないことに、私に一目惚れをしていたと言うのです。
「周囲に笑われているドーマーを助け、あんなくたびれたおじさんのドーマーに優しく笑いかける君の笑顔に愛おしいという気持ちが爆発してしまったのだ」
と、照れながら説明しているルパート殿下の後ろ、従者や護衛の方達の中で、“くたびれたおじさん”と言われたドーマー様が苦笑いしております。
夜会の後、私の事を調べた殿下は独り暴走して孤児院のバザーへ乗り込み、周囲の騒ぎで話せなかった事で咄嗟に求婚を伝えるお手紙を書いたそうです。
まさかその手紙を私が読んでいないなどとは思わず、求婚のお返事をもらえるまで自分をアピールするために付きまといのようなことをしてしまっていたのだと、そして、夏祭りで求婚の花の髪飾りをつけている私を見て舞い上がってしまったのだと、一生懸命に説明してくれてます。
「すまない。私は求婚に応えてもらえたのだと思ったのだが、勘違いだったようだ。貴方に婚約を無理強いするようなことはしたくない。もう一度、貴方に私の気持ちを知ってもらえるところからやり直させて欲しい」
隣国の王族からの婚約者の申し込みを伯爵令嬢が断れるわけがないと、ルパート殿下は私に深く頭を下げてます。
「ルパート殿下は私をブルースターに例えてくれたのですね」
「あぁ。貴方のそのつぶらな青い瞳はブルースターのようでとても可愛らしい」
嬉しい。単純で飾らない言葉だからこそルパート殿下の本音だと感じます。こんなにも心が温かになるのは久しぶりです。お父様から『あなたはブルースターのように可愛らしい』と言われたお母様は、今の私と同じような気持ちだったのでしょうか。
正直、ルパート殿下は出会って間もない方です。でも、平民の研究者のドーマー様とも親しそうなその様子、何度も護衛を撒いて突撃してくる向こう見ずなところ、求婚されてると思っていなかった私を慮って一旦婚約の話を取り下げると言ってくれる誠実さ、そして何よりお父様とお母様のお導きのような出会い。
私は、お父様とお母様の代わりに見守って欲しいとポケットの中に忍ばせていたブルースターの髪飾りを取り出しました。
「このブルースターは、父と母の求婚の花なのです。ルパート殿下とのご縁は父と母のお導きだと思うのです」
そう言って私はブルースターの髪飾りをつけました。
その噛み合わない会話からルパート殿下の従者や私の叔父がしびれを切らし情報を整理した結果、なんと、ルパート殿下は王家の夜会で、信じられないことに、私に一目惚れをしていたと言うのです。
「周囲に笑われているドーマーを助け、あんなくたびれたおじさんのドーマーに優しく笑いかける君の笑顔に愛おしいという気持ちが爆発してしまったのだ」
と、照れながら説明しているルパート殿下の後ろ、従者や護衛の方達の中で、“くたびれたおじさん”と言われたドーマー様が苦笑いしております。
夜会の後、私の事を調べた殿下は独り暴走して孤児院のバザーへ乗り込み、周囲の騒ぎで話せなかった事で咄嗟に求婚を伝えるお手紙を書いたそうです。
まさかその手紙を私が読んでいないなどとは思わず、求婚のお返事をもらえるまで自分をアピールするために付きまといのようなことをしてしまっていたのだと、そして、夏祭りで求婚の花の髪飾りをつけている私を見て舞い上がってしまったのだと、一生懸命に説明してくれてます。
「すまない。私は求婚に応えてもらえたのだと思ったのだが、勘違いだったようだ。貴方に婚約を無理強いするようなことはしたくない。もう一度、貴方に私の気持ちを知ってもらえるところからやり直させて欲しい」
隣国の王族からの婚約者の申し込みを伯爵令嬢が断れるわけがないと、ルパート殿下は私に深く頭を下げてます。
「ルパート殿下は私をブルースターに例えてくれたのですね」
「あぁ。貴方のそのつぶらな青い瞳はブルースターのようでとても可愛らしい」
嬉しい。単純で飾らない言葉だからこそルパート殿下の本音だと感じます。こんなにも心が温かになるのは久しぶりです。お父様から『あなたはブルースターのように可愛らしい』と言われたお母様は、今の私と同じような気持ちだったのでしょうか。
正直、ルパート殿下は出会って間もない方です。でも、平民の研究者のドーマー様とも親しそうなその様子、何度も護衛を撒いて突撃してくる向こう見ずなところ、求婚されてると思っていなかった私を慮って一旦婚約の話を取り下げると言ってくれる誠実さ、そして何よりお父様とお母様のお導きのような出会い。
私は、お父様とお母様の代わりに見守って欲しいとポケットの中に忍ばせていたブルースターの髪飾りを取り出しました。
「このブルースターは、父と母の求婚の花なのです。ルパート殿下とのご縁は父と母のお導きだと思うのです」
そう言って私はブルースターの髪飾りをつけました。
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