私のブルースター

くびのほきょう

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「ありがとう。私のブルースター」

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夏真っ盛りの今日は私の16歳の誕生日。頭には6年前の誕生日にお父様にもらったブルースターの髪飾り。壊れたり汚すのが怖くて大切にしまっていたその髪飾りを、独りぼっちの誕生日を慰めるためにつけてみました。

街では夏祭りが開催されてます。眩しい日差しを避けるように並んだ色とりどりのテントの下で、ジュースやお肉、フルーツからアクセサリーやブローチなど様々な屋台が並んでます。毎年ヒューと巡っていた夏祭りを今年は1人で眺めています。屋台を一通り眺め、もう家に帰ろうかと噴水のある広場で休んでいました。

「アイラ」

後ろからいきなり声を掛けられました。驚いて振り返ると、屈託のない笑顔で私に微笑むポロックの第三王子殿下がいます。

「ありがとう。私のブルースター」

なぜかお礼を言われてますが、何がなんだかわかりません。美しくあからさまに高貴な見た目をしている第三王子殿下を見た周りの人たちがこちらを見てざわめき出しました。殿下の護衛の方々がその人混みをかき分けて走ってきます。

「殿下! いきなり走り出さないでください! 何回やらかしたら学習するのですか! ほら、退散しないと! 人混みで事故が起きます」
「アイラ、一緒に行こう」

そう言って第三王子殿下は私に手を差し出しました。いきなり一緒に行こうと言われても意味がわかりません。

「あの、私は家に帰ります」
「そうか、では家のものによろしく伝えておいてくれ。私からも追って連絡する」

そう言って第三王子殿下は護衛を1人残し足早に去って行きました。嵐のような方です。
おそらく帰宅する私のために1人残してくれたのであろうこの護衛の方に、よろしく伝えておいてとはどういうことなのかと問いかけましたが「末端の私にはわかりません」と言われてしまいました。

そしてその翌日、ポロック国の第三王子ルパート殿下からフラメル伯爵家に婚約の打診が来たのです。
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