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終章 経営惨憺
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しおりを挟む今は平日の18時前で、そろそろ静が仕事から帰ってくる時間だった。
もちろん雅兄の仕事も終わる時間で、病院の外来の時間も終了する。
今日は今から結永さんに会いに行って病院でちゃんとした検査を受けることになっている。
元々病院に行けば絶対両親に話がいって心配させるから、バレないように結永さん伝手で朝夜病院に行っていた。
それが今でも続いていて病院に行くときは結永さんに連絡を取って、基本夕方のこの時間に静と一緒に行くことがほとんどになっている。
だから今日も同じように連絡を取ったんだけど、今回の事はまだ静に話すわけにはいかないから、産婦人科に用があって詳しい話は今日するけど静にだけは伝わらないようにしてほしいと言ってあるのだ。
当の静にも出掛ける事は言わなきゃいけないわけで、病院に行くなんて言ったらどうしたのかって絶対聞かれるし、ついて来るに決まってる。
だから今日は雅兄と遊ぶんだ、と少しズラしたことを言っておいた。
基本的にはどこに行くのも静と一緒なのだが、雅兄に会いに行く時は一人で送り出してくれることがある。
実家と雅兄の所は頻繁に一人で遊びに行っていて、その時だけは静と離れて数時間過ごす。
何か静にとって僕がこの時間を過ごすことに意味があるみたいなんだけど、詳しいことはよくわかっていなかった。
でもそのおかげで今日も普通に雅兄と遊ぶだけだと思っているから、特に何も言われずに出掛けることが出来た。
病院の時間が近づいてきて、大分そわそわしているのが自分でもわかる。
こんな状態で静に会ったら絶対に隠し事してるのがバレるから、帰って来ないうちに手早く準備して家を出る。
一人で出掛ける時はいつもより殊更入念に仕度をする。
番避けは、ピアスは、抑制剤に特効薬は。
何かあった時が怖くて毎回準備にはかなり時間を掛けていた。
「行ってきます」
誰がいるわけじゃないけど外に出る時の最後の準備のようなもので、気合を入れるために声を出している。
「あら、弥桜ちゃん。今日は一人でお出かけ?」
「うん。雅兄のところに遊びに行くんだ」
駅までの道のり、この時間だと丁度みんな店仕舞いで片付けをしている所だった。
いつもこの道を通るとみんなが声を掛けてくれるから、電車に乗る前に勇気をもらえる。
今でもまだ電車は怖いから出来れば一人では乗りたくないけど、別に乗れないわけじゃなくなったからこうやって一人で出掛けることも出来ていた。
朝夜病院は2駅隣にあって、駅からもそんなに遠くない。
もう通い慣れた道のりで、特に何事もなく辿り着いた。
「いらっしゃい、弥桜くん」
着いたことを顔見知りの受付さんに伝えると、すぐに結永さんが迎えに来てくれた。
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