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第6章 一蓮托生
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しおりを挟む静先輩にも申し訳ないし、自分でも我慢しなきゃって思ってるけど、我慢出来ない。
静先輩もそれがわかってるから無理に引き止めないでいてくれるんだと思う。
だからシャワーを浴びたとしても出来るだけ酷くしちゃわないように、気をつけて、気をつけて。
「いっ・・・・・・たくない・・・・・・?」
真夏だけど殺菌してくれそうだからって気持ちの問題で熱湯浴びてて、そんな中で傷を付けるからいつもちょっとでも痛くて、でもその痛みが自分にとっての罰のようなものだった。
それが、今は感じられない。
なんで・・・・・・。
「なんで・・・・・・っ」
なにかが、おかしい。
ただでさえこんな傷だらけで汚い身体なのに、更におかしくかったのかもしれない。
これ以上自分がおかしくなったことなんか到底受け入れられなくて、そんなことないって確かめるための傷がどんどん増えていく。
出来るだけ我慢しようって考えてたことなんか、もうすっかり頭にはなかった。
もう床が真っ赤になるほど血を流した。
でもどれだけ傷をつけても全く痛みを感じない。
「なんで、なんで・・・・・・」
「弥桜っ」
もう10分経ったのか、迎えに来た静先輩に大声で呼ばれるまで全然気づかなかった。
自分でも目を背けたくなるようなこんな惨状に、静先輩はそれ以上何も言わずに出ておいでと手を伸ばしてくれる。
「しずかせんぱい・・・・・・僕、ほんとにおかしくなったっ・・・・・・もうこんな、やだよ」
静先輩の顔を見た途端、さっきまでそれどころじゃなくて1ミリも出てこなかった涙が溢れ出してくる。
「しずかせんぱいっ」
もうこれ以上1人で抱えきれなくて、静先輩に抱きついて叫んで喚いてしまいたくて伸ばした手。
それが静先輩の手に触れた瞬間、全身に激痛が走って反射的にその手を払ってしまった。
「弥桜⁉︎」
「ちがっ・・・・・・、なに・・・・・・」
予想だにしない衝撃に、今の自分がどういう状態なのか想像もつかなくて余計混乱してくる。
やっぱり熱湯のシャワーにあたってても全く痛くない。
それどころかなんだかそのシャワーでさえもあんまりあたっている感覚がない。
何かおかしい。
もう一度、恐る恐る静先輩の手に触れてみる。
「ひっ・・・・・・なんで・・・・・・」
「弥桜、どうした」
ただでさえめんどくさい状態なのに、更に厄介になったことなんか本当は言いたくないけど、今の自分に隠し通せる気もしなかった。
「・・・・・・シャワーの熱い感覚も傷の痛いって感覚も、何も感じないんだ。でも静先輩に触ると全部わかる。ちゃんと痛い」
完全に自分ではどうなってるか理解も出来ないし、どうすることも出来なくなってしまった。
「もう自分がどうなってるのかわかんない」
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