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第6章 一蓮托生
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しおりを挟む「いつも悪いな」
「あ、ありがとうございます」
結永先輩にも用事があるからと急ぎ目で送ってもらって、帰ってきた僕のアパート。
こっちに寄ってもらったから本当に時間がギリギリらしく、僕たちを下ろしたらすぐ行ってしまった。
結永先輩には本当にたくさん助けてもらっている。
その度に申し訳ないと思っていたけど、さっき本心を聞いてもう感謝しかない。
今も時間がギリギリなのにうちまで送ってくれて、本当に助かった。
静先輩が一緒だから電車に乗れないこともないはずだけど、乗らずに済むならその方がいい。
それなのにどうしてだろう。
静先輩と二人で家に帰ってきたのに、何故か落ち着かない。
いつもはどんなに怖いことがあっても、家に静先輩と二人でいれば大丈夫だって思えるのに。
体の震えや涙が収まるのには時間が掛かるとしても、もう大丈夫だって無意識に安心出来るのに。
何故かまだ手を離しちゃダメだって、静先輩から離れたらダメだって。
落ち着かない。
「弥桜・・・・・・?」
静先輩の声に、無意識に握っていた手に入っていた力が抜けて、その代わりぎゅっとその体に抱きついた。
別に何かあったわけじゃない。
ちょっと絡まれたりしたけど実害があったわけじゃないし、雪藤も静先輩も助けてくれた。
ちょっとヤなことを思い出しちゃったくらいで、ちょっと気分が悪くなっちゃったくらいで、出掛けるのは無理かもしれないけど、こんな不安になる程のことはなかったんだ。
「弥桜、どうした?」
「・・・・・・わかんない」
本当に自分でも何に怯えているのか、何がこんなに不安なのか、全然見当がつかない。
でも本能が静先輩から離れちゃダメだって言ってる。
だからこの体は絶対に離しちゃダメなんだ。
「そっか、わかんないか」
静先輩の言葉にびくっと体が反応して、抱きしめる腕に力が入る。
曖昧な言葉しか返せない僕の態度に、今度こそ嫌気がさして捨てられるかもしれない。
そんなことないってわかってるのに、自分でもなんでこんなに不安なのかわかんないこんな状態だから、嫌なことが頭を過ぎる。
そうやってガチガチに固まってる僕を、静先輩は優しく抱きしめ返してくれた。
「大丈夫だよ」
頭の上から降り注がれるようなその言葉が、まるで魔法みたいに全身に広がって無闇に緊張していた体の力を抜いていく。
自分でも理由の分からない不安や恐怖が、静先輩の言葉ひとつで簡単になくなっていくのがわかる。
僕のことなのに僕よりわかっている静先輩には、このわけの分からない不安の正体がわかっているのかもしれない。
静先輩に任せておけば本当に『大丈夫』なんだって、自分のことなのにもう全部静先輩に明け渡してしまいたかった。
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