僕とあなたの地獄-しあわせ-

薔 薇埜(みずたで らの)

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第5章 落穽下石

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夜あれだけ魘されて何回も起きたから、当然朝になってもスッキリすることはなく余計に疲れてだるさが増してる状態だった。
熱もほとんど下がらないし頭も痛い。
かといって寝るのはまた悪夢を見そうで嫌だった。
まだ一晩経って発情が収まっただけ昨日よりはましになったと言えるだろう。

「弥桜、もう寝たくないんだろ。そしたらなんか食おう。気持ち悪くはないだろ」
「ん」

「・・・・・・、・・・なぁ弥桜、用意するだけだから少し我慢してくれないか」

静先輩の言葉にいやいやと首を振る。
今の僕は寝ることも出来ずでも起きてるのも怠くて、ベッドヘッドに背を預けた静先輩の上に跨って全身だらんと完全に委ねてる状態だった。
ちゃんと布団に潜ってた方がいいんだろうけど、こっちの方が断然安心出来て休まってると感じるからやめられなかった。
「な、いい子だから」
それでも結局優しく頭を撫でられると逆らえなくて、言われるがまま手を離す。

台所にいるだけなのに動けない僕には手が届かなくて、直ぐに寂しくなってきて涙が溢れ始めた。
「風邪引くと涙脆くなるって言うけど、お前のそれはなんだろうな」
「・・・・・・手が届かなくて怖いの」
戻ってきた静先輩の腕を直ぐ捕まえて自分の頭に乗っける。
撫でてくれるのが気持ち良くて大好きなんだ。

「ほら少し起き上がれるか。おかゆだ」
静先輩に支えてもらいながら起き上がって渡されたお椀とスプーンでゆっくり食べ始める。
隣で静先輩も自分の分を食べてる。

「食べたら少し体拭いてやるから、そしたら頑張ってもう一回寝よう」

寝よう、と言われて全身に力が入る。
もうあんな夢は見たくない。
だから出来れば寝たくないけど、自分がそんな我儘を言ってられる状態じゃないこともわかってるんだ。
「さっきみたいにぎゅっとしよう。それにご飯も食べて体も拭いて、すっきりすれば大丈夫だよ」
「・・・・・・分かった」
なんだか綺麗に丸め込まれた気がするけど、静先輩が抱きしめてくれるなら本当に大丈夫かもしれない。

「ごちそうさまでした。食欲はそんなに落ちてなさそうで良かった」
一杯普通に完食したのを見て静先輩もほっとしたようだった。

また食器を置きに行ったりお風呂にお湯とタオルを取りに行ったり、手の届かないばかりか見えないところに行くって言い出すから、そんなことは絶対に嫌だと駄々をこねて、取りに行くのについて来るんだったらと、そのままお風呂場で体を拭いてもらった。
「風呂場にまでついてきたんだから疲れただろう。ほら、おいで。昼寝の時間だ」

またおんなじ体勢でくっついて目を閉じた。

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