109 / 152
第5章 落穽下石
105
しおりを挟む夜あれだけ魘されて何回も起きたから、当然朝になってもスッキリすることはなく余計に疲れてだるさが増してる状態だった。
熱もほとんど下がらないし頭も痛い。
かといって寝るのはまた悪夢を見そうで嫌だった。
まだ一晩経って発情が収まっただけ昨日よりはましになったと言えるだろう。
「弥桜、もう寝たくないんだろ。そしたらなんか食おう。気持ち悪くはないだろ」
「ん」
「・・・・・・、・・・なぁ弥桜、用意するだけだから少し我慢してくれないか」
静先輩の言葉にいやいやと首を振る。
今の僕は寝ることも出来ずでも起きてるのも怠くて、ベッドヘッドに背を預けた静先輩の上に跨って全身だらんと完全に委ねてる状態だった。
ちゃんと布団に潜ってた方がいいんだろうけど、こっちの方が断然安心出来て休まってると感じるからやめられなかった。
「な、いい子だから」
それでも結局優しく頭を撫でられると逆らえなくて、言われるがまま手を離す。
台所にいるだけなのに動けない僕には手が届かなくて、直ぐに寂しくなってきて涙が溢れ始めた。
「風邪引くと涙脆くなるって言うけど、お前のそれはなんだろうな」
「・・・・・・手が届かなくて怖いの」
戻ってきた静先輩の腕を直ぐ捕まえて自分の頭に乗っける。
撫でてくれるのが気持ち良くて大好きなんだ。
「ほら少し起き上がれるか。おかゆだ」
静先輩に支えてもらいながら起き上がって渡されたお椀とスプーンでゆっくり食べ始める。
隣で静先輩も自分の分を食べてる。
「食べたら少し体拭いてやるから、そしたら頑張ってもう一回寝よう」
寝よう、と言われて全身に力が入る。
もうあんな夢は見たくない。
だから出来れば寝たくないけど、自分がそんな我儘を言ってられる状態じゃないこともわかってるんだ。
「さっきみたいにぎゅっとしよう。それにご飯も食べて体も拭いて、すっきりすれば大丈夫だよ」
「・・・・・・分かった」
なんだか綺麗に丸め込まれた気がするけど、静先輩が抱きしめてくれるなら本当に大丈夫かもしれない。
「ごちそうさまでした。食欲はそんなに落ちてなさそうで良かった」
一杯普通に完食したのを見て静先輩もほっとしたようだった。
また食器を置きに行ったりお風呂にお湯とタオルを取りに行ったり、手の届かないばかりか見えないところに行くって言い出すから、そんなことは絶対に嫌だと駄々をこねて、取りに行くのについて来るんだったらと、そのままお風呂場で体を拭いてもらった。
「風呂場にまでついてきたんだから疲れただろう。ほら、おいで。昼寝の時間だ」
またおんなじ体勢でくっついて目を閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
運命よりも先に、愛してしまった
AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。
しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、
2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。
その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
籠中の鳥と陽の差す国〜訳アリ王子の受難〜
むらくも
BL
氷の国アルブレアの第三王子グラキエは、太陽の国ネヴァルストの第五王子ラズリウの婚約者。
長い冬が明け、いよいよ二人はラズリウの祖国へ婚約の報告に向かう事になった。
初めて国外へ出るグラキエのテンションは最高潮。
しかし見知らぬ男に目をつけられ、不覚にも誘拐されてしまう。
そこに婚約者を探し回っていたラズリウが飛び込んできて──
……王への謁見どころじゃないんだが?
君は、必ず守るから。
無防備なおのぼりα王子×婚約者が心配なΩ王子の
ゆるあまオメガバース&ファンタジーBL
※「籠中の鳥と陽色の君〜訳アリ王子の婚約お試し期間〜」の続きのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる