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第4章 同甘共苦
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しおりを挟む「思ったより、大丈夫そうだな」
「ぃや、・・・・・・ぁ、う、うん」
静先輩の顔なんか絶対に見れなくて、視線をさ迷わせて曖昧な返事を返す。
体のことについて言われるのは嫌だ。
自分の汚らわしさを痛感して、静先輩にバレやしないかと怯えている自分がいる。
あからさまに挙動不審な反応だったと思う。
「ん、弥桜? ちょっとこっちおいで」
おかしな行動をする僕に、静先輩が呼べば無視するわけにもいかず、重い足を向けた。
今日の朝ごはんはサンドイッチなのだろう、包丁を置いた静先輩がこっちに向かって手を伸ばしてくる。
「やっぱり無理して・・・・・・っ」
「いやっ!」
触られる、と思ったら咄嗟に静先輩の手を叩き落としてしまった。
「ぁ・・・・・・」
拒絶されるとは思っていなかっただろう静先輩が、訳の分からないような傷ついた顔をして僕を見ていた。
「っ・・・・・・、もういやだ、こんなこと・・・・・・」
「・・・・・・弥桜」
1歩ずつ後ずさって静先輩から離れる。
静先輩にバレるかもしれない恐怖もそうだけど、なにより静先輩を拒絶した自分の行動がショックだった。
あれだけ嫌だと、離れなきゃいけないと、思っていたけど、それでも今まではどこかで自分の気持ちが揺れたままだから、静先輩に流されてなんとかなるって心のどこかで可能性を捨てきれずにいた。
でも、今のは明らかな拒絶だった。
自分が静先輩に、・・・・・・こんなに好きな人に対して、心から触られたくないと思っていることがショックだった。
それに、やっぱり静先輩の隣にこんな身体の僕なんかが、居るべきじゃないんだ。
「・・・・・・静先輩、もう帰って。それから二度と、僕のところには来ないで。今まで、本当にありがとうございました。静先輩の隣に居られなくて本当にごめんなさい・・・・・・」
下がっていた足がベッドにぶつかって、そのまま腰を下ろして下を向いたまま言い放つ。
「み、みおう・・・・・・⁉︎ 何、言ってんだよ。まだ、気にしてんのか。それならほら、俺のせいにすればいいし、俺が弥桜といたいからで・・・・・・」
「もう‼︎ それじゃあダメなんだよ‼︎ いくら静先輩がそう言ってくれてても、僕が耐えられないんだ。それにあの手紙にもそう書いてあって、やっぱり僕なんかが隣にいちゃダメなんだよ‼︎」
「おい、あの手紙ってなんだ、それ」
「ぁ・・・・・・っ」
静先輩の勢いに乗せられて、ばぁーっと一気に出てきた言葉を言っていたら、余計なことまで口に出ていた。
そのことに気付いたところで、もうすでに遅かった。
こんな大事なことを黙っていたことに、静先輩が激怒しているのが伝わってくる。
「弥桜」
「いや、・・・・・・えっと、ちが・・・・・・っ」
僕が言おうとしないから、また静先輩が手を伸ばしてきた。
今僕が口を開いたところで、上手い説明は絶対に出来ない。
余計墓穴を掘るだけだ。
「っ‼︎」
「あ、おい、弥桜‼︎」
静先輩の手から逃げるようにしてベッドから脱すると、テーブルの上に置きっぱなしにしていた携帯で、結永先輩に電話をかけた。
この事態は、僕一人じゃどうしようもなかった。
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