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第4章 同甘共苦
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しおりを挟むようやく、何とか、気を済ませてシャワーを止めた。
体中酷い有様だった。
皮膚が剥けて赤くなってる所や、爪を立てて血が滲んでいる所。
ますます静先輩には見せられなくなった。
徹底的に隠し通して3ヶ月以内には治さないと、次の発情期に間に合わなくなる。
多分静先輩は僕の発情期の期間を知ってる。
もう離してはくれないだろうし、そんな時に傍にいたら絶対に求めずにはいられない。
心との、体との、静先輩との、付き合い方をちゃんと考えなければいけない。
今はとにかくこの傷を隠して治さなければ。
今までも先輩たちとシた後は帰ってきてすぐ必ずお風呂に入って傷の手当をしていたから、救急箱は洗面所に常備してあった。
沁みるのも構わず薬を塗って包帯でぐるぐる巻きにする。
傷は治さなきゃいけないって思うけど、だからといって病院には絶対に行きたくなかった。
病院に行けばほぼ必ずと言っていいほど、両親の耳に入るだろうから。
だからとにかく薬さえちゃんと塗っておけば治るだろう、と素人の治療をしていた。
ほんとは新しい服に着替えたかったけど、クローゼットに取りに行くには万が一にでも静先輩に見つかる可能性があって出来ない。
持って入ったパジャマをしっかり着込んで包帯を見つからないようにして洗面所を出た。
「おはよう、弥桜」
随分長い時間入っていたから、やっぱり静先輩はもう起きていて、台所に立っていた。
羽織っただけのワイシャツから覗く身体に、ヒートの残り香と相まってまたぶわっと血が上る。
見ていられなくて視線を逸らした。
「ぁ・・・・・・、お、おはよう、ございます」
「身体の調子は大丈夫か?」
身体の、と言われてこの傷だらけのことがバレたのかと、心臓が嫌な音を立てる。
「いくら発情期だったとしても、無理させたから」
「っ、だ、大丈夫、です」
静先輩の言葉に自分が勘違いをしていることに気づいて、バレてなかったことにほっとした一方で、普通だったらまず先にそっちの可能性を考えるところで全く出てこなかったことにどれだけ自分が汚れているのかを痛感した。
静先輩は知らないから、僕が初めてだと思ってる。
そりゃ初めてなら、いくら発情期でも身体に負担がないわけが無い。
さっきちらっと日付を確認したら、あれから3日も経っていた。
それだけヤれば1歩も歩けなくなるのが普通だ。
まず普通に風呂に入りに行けてる時点で、僕の体は完全にそういうことに慣れていた。
本当の初めての時は、何かあったら先輩たちのせいになるから、と服を着させられて一通り帰れるようにはしてもらった。
でも駅まで歩いていくのも、そもそも服を着るのでさえも辛くて結局タクシーで帰ってきた。
それでもΩの体だ、次の日には何とか大学には行けるようになっていた。
そんなことが何回かあった後、僕が何とか自力で家に帰れるということが分かると、先輩たちはヤることだけヤって放置するようになった。
その頃にはもう最初のような辛さはほとんどなく、基本的にお金を使うことが嫌いな僕はタクシーなんか使わず電車で帰っていた。
そんな僕の体は、初めての発情期中のセックスで、辛いどころか発情していたお陰でいつもより負担が少なく済んでいた。
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