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第4章 同甘共苦
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しおりを挟む結局あの後顔色の良くない僕に、皆してあれやるからこれやるからしっかり栄養取って元気になるんだぞ、と買う予定以上のものを持って来てくれた。
さすがに全部をもらうわけにはいかないから、と元々買う予定だったものはちゃんとお代を払ったけど、それ以外のものは皆の好意をそのままもらうことにした。
そうやって他人から大事にされることに戸惑いつつも、そうしてくれる人がいることを認識するところからはじめることにして、その日はそれで家に帰って来た。
1時間も経たずに帰って来たのに心身はかなり疲れていて、帰って来てからはベッドでごろごろしながら、静先輩と話したり料理をしている後ろ姿を眺めているだけで、あっという間に時間が過ぎていた。
でも、その日も泊まっていくのかと思っていたら、静先輩は夕食を作り終えると僕がお風呂に入る前に帰ってしまった。
次の日朝から大学に行かなければいけないから、ということだったが、それなら何回かここから行ったこともあるのにどういうことなんだろう。
何か予定があってその準備でもしなければいけなかったのかと思ったら、次の日お昼過ぎには大学の用が済んだからと普通にうちに来た。
そしてその日も夕食を作って僕がお風呂に入る前に帰ってしまった。
次の日から大学全体が春休みに入って1ヶ月程大学に行く予定がなくなった。
そうすると去年までは朝すこし遅く起きるところから始まって、三食ご食を食べること以外は読書か掃除、買い物ぐらいしかやることがなかった。
でも今はもう一人じゃない。
だからこの休みは静先輩とずっと一緒にいられるのかと思っていたら、何か様子がおかしい。
昨日も予定がないからと目覚ましを掛けずゆっくり起きたら、既に静先輩がいて朝ご食を作ってその爽やかな笑顔でおはようと迎えられた。
・・・・・・うっかりその笑顔に見惚れてしまったのはナイショだ。
一瞬なんでいるんだろう、とちゃんと頭を過ぎったものの作ってもらった朝ご飯を食べて、部屋の掃除をしたりベッドでごろごろしながらおしゃべりしたり、はたまた一緒に料理をしたりして甘やかされてるうちに、そんなことはきれいさっぱり忘れ去ってしまっていた。
そして案の定静先輩は夕食を作り終えると、僕がお風呂に入る前に帰ってしまった。
そして今、また昨日とほぼ同じ時間に目が覚めたところなのだが、今日はちょうど今静先輩がうちに着いたところだった。
「おはよう、弥桜。今から朝ご飯作るから、ゆっくり顔洗っておいで」
当たり前のように部屋に入ってきてうちの台所を使っている静先輩の後ろ姿を寝起きのぼーっとした頭で眺める。
というか昨日も一昨日もその前もそうだけど、静先輩は気づけばうちにいたりいなかったりする。
この部屋の鍵は僕とお母さんと雅兄しか持ってないはずなのに、いつの間に用意したんだろう。
そんなことを考えているうちにご飯の用意が出来たようで、今日も今日とて二人で食べる。
それから掃除は昨日したから、今日はその代りに少し長い時間おしゃべりしてちょっと読書をしたりもして、二人きりでも静かな時間が心地いいなって思ったりしてるうちに、すっかり日が暮れてしまった。
「今日もそろそろ帰るな」
また夕食を作り終えて僕がお風呂に入る時間になったから帰ると言って帰り仕度をし始めた。
「あっ、待って!! 今日は先に夕飯食べるから、静先輩も一緒に食べてきませんか?」
「・・・・・・風呂じゃないならいいか。わかった、弥桜がそう言うなら食べてから帰ろうかな」
いつも同じ時間に帰っちゃうから何かあるのかもしれないとも思ったが、やっぱり少しでも一緒にいたい。
まだ一人になるのは、怖い。
そう思って声を掛けたが、あっさり良い返事がもらえたことで、時間じゃなくてお風呂に入ることに何か問題があることがわかった。
今日こそはなんで泊まっていかなくなってしまったのか、その理由を聞き出そう、と意気込んだ。
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