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序章 初会
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「・・・・・・こんなところに何の用だ」
息が詰まるようなこの空気の中で、ようやく絞り出された先輩の声が響いた。
それに対して返ってきたのは、この場には似つかわしくない少し戯けたような声だった。
「君たちこそ何してんの。俺、弱い者いじめってよくないと思うー」
あまり低くはないが、ずっしりとした重みのある声に先輩たちが更に怯む。
が、ゆっくり近づいてくる男の顔に見覚えのあった一人の先輩が、急にそわそわと慌て出す。
「おいおい、なんだってあんたなんかがこんなところに来るんだよ」
先輩の言葉にその人はふわりと一つ笑みを浮かべた。
「ちょっとその子に用があってね」
「知り合いか?」
「いえ、二階堂です」
「こいつが・・・・・・」
なんだか急に慌て始めた先輩たちは、僕のことなんかお構いなしにいきなり手を放して走り去っていく。
元々足元の覚束ない体を無理矢理立たされて、先輩の腕でバランスを取っていたから、急に支えを失ったら当たり前のように膝から崩れ落ちそうになる。
「おっと」
それを寸での所で彼が抱き留めてくれたから、地面に体を打ち付けることはなかったが、その瞬間密着した所から彼の匂いがぶわっと全身に広がった。
「おい、大丈夫か?」
耳元に聞こえる彼の声が、全身に広がる。
意識も理性も全部持っていかれるような響きに、無意識にその背に腕を回し引き寄せ、その唇に自分のそれを重ねていた。
「・・・・・・っは、弥桜、ここでは・・・・・・」
僕の行動にぴくりと身体を震わせた彼に、すぐに引き離されてしまったけれど、この時既に意識の途切れかかっていた僕に、更に後を追うことは出来なかった。
ただ聞こえてきた切羽詰まったような声に、どうして僕の名前なんかと思った所で、完全に意識は途切れた。
息が詰まるようなこの空気の中で、ようやく絞り出された先輩の声が響いた。
それに対して返ってきたのは、この場には似つかわしくない少し戯けたような声だった。
「君たちこそ何してんの。俺、弱い者いじめってよくないと思うー」
あまり低くはないが、ずっしりとした重みのある声に先輩たちが更に怯む。
が、ゆっくり近づいてくる男の顔に見覚えのあった一人の先輩が、急にそわそわと慌て出す。
「おいおい、なんだってあんたなんかがこんなところに来るんだよ」
先輩の言葉にその人はふわりと一つ笑みを浮かべた。
「ちょっとその子に用があってね」
「知り合いか?」
「いえ、二階堂です」
「こいつが・・・・・・」
なんだか急に慌て始めた先輩たちは、僕のことなんかお構いなしにいきなり手を放して走り去っていく。
元々足元の覚束ない体を無理矢理立たされて、先輩の腕でバランスを取っていたから、急に支えを失ったら当たり前のように膝から崩れ落ちそうになる。
「おっと」
それを寸での所で彼が抱き留めてくれたから、地面に体を打ち付けることはなかったが、その瞬間密着した所から彼の匂いがぶわっと全身に広がった。
「おい、大丈夫か?」
耳元に聞こえる彼の声が、全身に広がる。
意識も理性も全部持っていかれるような響きに、無意識にその背に腕を回し引き寄せ、その唇に自分のそれを重ねていた。
「・・・・・・っは、弥桜、ここでは・・・・・・」
僕の行動にぴくりと身体を震わせた彼に、すぐに引き離されてしまったけれど、この時既に意識の途切れかかっていた僕に、更に後を追うことは出来なかった。
ただ聞こえてきた切羽詰まったような声に、どうして僕の名前なんかと思った所で、完全に意識は途切れた。
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