チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ

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 あのお姉さん、髪の結び方やら手首から襟元まできっちりと上がった紺のスレンダードレスを着ているのを見て、てっきりクールなキャリアウーマン風の人だと思ったのに・・・。


「奥にあるのも持ってきて頂戴! 」
「はい! 全部ですか!? 」
「ええ! 」


 今この空間で最も目が輝かせているのが店長である彼女だ。熱血教師タイプだったかー。

 入って早々エリネさんと一緒に奥の部屋に突っ込まれ、脱がされた。それでなんやかんやといろいろなところを測られた。三人がかりだよ? 三人でメジャー持って囲まれるんだよ。もはやVIP待遇を通り越した恐怖を感じたわ。

 もちろんアルシュさんは追い出されている。

「では次はこちらを」
「あ、はい」

 このドレス一着一着、着脱が意外にめんどくさい。ファスナーという概念がないらしく、いちいち紐を通している。これはいつかファスナーを開発すれば、たんまりと利益が出るのではないだろうか。フッフッ・・・、ンンッ。

「初めての夜会とのことですし、定番のAラインでどうでしょう」
「丈はあまり長くしない方がいいわ。ミモレかミニよ」
「装飾はやはり肩のほうがいいですよね、先輩」
「ええ、そうね。コサージュか・・・レースフリルもありね」
「シルエットはAライン。丈はミモレかミニ。肩には装飾をつけるということでよろしいでしょうか?」
「へ、あ、はい」

 ファッションの事をよく知らない私に聞かれても困るんだが・・・。

 とりあえず頷いたものの、今出てきた用語は一つもわかっていない。グーグル先生ヘルプ!

「やはり青や紫系統の色がお似合いですね。どうしましょうか・・・、今回は王妃様がラベンダーをご着用する予定だとお聞きしておりますし、青系統にしましょうか」
「具体的な色は・・・」
「そうですね~。先にシルエットデザインが決まらないことには何とも言えませんが、私的にはサイファイブルーやロイヤルブルー、オリエンタルブルーなど、比較的深めの青色でしょうか。グラデーションにするのもありですね」
「なるほど」
「ちなみに髪型などはお決まりでしょうか?」
「いえ。本人に聞いてみないと分かりませんが、こちらでは特に考えてませんね」
「でしたら、もしよろしければ、こちらで髪飾りをお取り寄せしてもよろしいでしょうか? 」
「そうですね・・・、ではお願いします」
「かしこまりました。詳しいデザインについてですが・・・」
   
 つらつらと隣で打ち合わせとしているエリネさんと店長の会話が恐ろしいスピードで発展していってる。確かに自分が着るものについて話されているはずなのに、自分が口を挟む余地が一つもなく全てが決まっていった。

 もうここまで来たら、言える感想は一つ。


 ファッションって難しいんだね。


「ではそういうことで、Aラインシルエットで前をミニ丈にして後ろをミモレ丈に。ワンショルダータイプのものにして、袖はケープスリーブにする。ベースカラーはアズライトにして、スカート部分に黒へつながるグラデーションを入れる。ウォーターモチーフの刺繍は銀で、肩には白と黒のレースフリルを装飾として飾らせる。裾には・・・・・・、髪飾りには・・・・・・」

 エリネさん、よくこれ全文聞いてられるなあ。

 我関せず思考で頑張って耐えてきたが、ようやく終わりの兆しが見えた。


「ではこれでご注文は以上でしょうか? 」
「はい」
「後日お屋敷へお届けに参ります」
「あ、貴族邸宅ではなく第二騎士団団舎に届けてください」
「かしこまりました」

 ようやく元の服に着替え、馬車に乗った

「では本日は以上になりますので、我がブティックにお越しいただきありがとうございました」


 店に入ってから約二時間。やっと出られた。

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