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というわけで言われた通り正門で待っていると、カラカラと見るからにお高そうな馬車がやってきて、すでに中に座っていたアルシュさんと、もう一人の騎士さん、エリネさんがいた。
「お迎えにあがりましたよ」
「こんにちは、シエルちゃん」
エリネさんは第二騎士団の事務を担当してくれている人で、そのお姉さん気質ゆえに、いろいろと気にかけてくれている。
「エリネさんも来てたの? 」
「ええ、朝呼ばれてね」
「やはり女性の方が一人はいた方がいいでしょう? 」
そこの気遣いができるんだったら、もっと早く言うってう気遣いもして欲しかったな。
「では出発しましょうか、詳しいことは中で」
「はいはい」
カラカラと馬車が動き出し、ガタゴトとする慣れない感覚に、なんとも言いようのない違和感に襲われる。
「これから行くクレアトーンですが、筆頭デザイナーの予約を取り付けています」
「クレアトーン? 」
「我が国でも最高峰のブティックよ」
最高峰!? 完全にユニクロに行く感覚だったのに、まさかのディオールのVIP対応レベルのところだったか。
「そんないいとこ、めちゃくちゃ高いんじゃないの? 」
「それは問題ありません。しっかり貴賓接待費として請求しますから」
「もう書類は作ったから、あとは金額と領収書を付けるだけよ」
しっかり国のお金でしたか・・・。それにエリネさん仕事早いな。
かつて消費税を払う側だったからか、大事な税金をこんなことに使っちゃっていいのかと、少し申し訳なくなった。
「今回の主な目的は夜会でのドレスを購入することですが、もし店内に展示されているものや、カタログに載っている既製品でも気になるものがあったらおっしゃってください」
「はーい」
そう言って渡されたのは分厚い雑誌。デジタルゼロな分、アナログ技術はやっぱり発展しているようで、すごく手触りのいいサラサラとした紙が使われている。
中身は写真ではなくイラストが載っていて、一ページに一つという随分と贅沢な使い方だ。
前世ではコスプレでしか見たことのないプリンセスドレスから、私には到底着こなせないスレンダーなラインのものまで、めくればめくるほど、華やかな色彩が目に飛び込んでくる。
そうやって一枚一枚ページを捲っていると、当然酔ってくるわけで・・・。
「う、頭が・・・痛い・・・」
「大丈夫? 」
「全然大丈夫・・・じゃない・・・」
「窓を開けましょうか? 」
「お願い、します」
「毎回馬車移動となると大変ね。何か別の移動方法を考えたほうがいいかしら? 」
「考えてみましょう」
「う~・・・」
窓を全開にして半ば倒れかけていると、馬車はとあるショーウィンドウの前で止まった。
横の扉には流麗な文字でこう書いてある。「クレア・トーン メインブティック」。
「いらっしゃいませ、ご予約頂いたアルシュ・イオ・オラン様ですね。お待ちしておりました」
金色の髪をお団子で一つにまとめた綺麗な女性の人が、ペコリとお辞儀をして出迎えてくれた。
「お迎えにあがりましたよ」
「こんにちは、シエルちゃん」
エリネさんは第二騎士団の事務を担当してくれている人で、そのお姉さん気質ゆえに、いろいろと気にかけてくれている。
「エリネさんも来てたの? 」
「ええ、朝呼ばれてね」
「やはり女性の方が一人はいた方がいいでしょう? 」
そこの気遣いができるんだったら、もっと早く言うってう気遣いもして欲しかったな。
「では出発しましょうか、詳しいことは中で」
「はいはい」
カラカラと馬車が動き出し、ガタゴトとする慣れない感覚に、なんとも言いようのない違和感に襲われる。
「これから行くクレアトーンですが、筆頭デザイナーの予約を取り付けています」
「クレアトーン? 」
「我が国でも最高峰のブティックよ」
最高峰!? 完全にユニクロに行く感覚だったのに、まさかのディオールのVIP対応レベルのところだったか。
「そんないいとこ、めちゃくちゃ高いんじゃないの? 」
「それは問題ありません。しっかり貴賓接待費として請求しますから」
「もう書類は作ったから、あとは金額と領収書を付けるだけよ」
しっかり国のお金でしたか・・・。それにエリネさん仕事早いな。
かつて消費税を払う側だったからか、大事な税金をこんなことに使っちゃっていいのかと、少し申し訳なくなった。
「今回の主な目的は夜会でのドレスを購入することですが、もし店内に展示されているものや、カタログに載っている既製品でも気になるものがあったらおっしゃってください」
「はーい」
そう言って渡されたのは分厚い雑誌。デジタルゼロな分、アナログ技術はやっぱり発展しているようで、すごく手触りのいいサラサラとした紙が使われている。
中身は写真ではなくイラストが載っていて、一ページに一つという随分と贅沢な使い方だ。
前世ではコスプレでしか見たことのないプリンセスドレスから、私には到底着こなせないスレンダーなラインのものまで、めくればめくるほど、華やかな色彩が目に飛び込んでくる。
そうやって一枚一枚ページを捲っていると、当然酔ってくるわけで・・・。
「う、頭が・・・痛い・・・」
「大丈夫? 」
「全然大丈夫・・・じゃない・・・」
「窓を開けましょうか? 」
「お願い、します」
「毎回馬車移動となると大変ね。何か別の移動方法を考えたほうがいいかしら? 」
「考えてみましょう」
「う~・・・」
窓を全開にして半ば倒れかけていると、馬車はとあるショーウィンドウの前で止まった。
横の扉には流麗な文字でこう書いてある。「クレア・トーン メインブティック」。
「いらっしゃいませ、ご予約頂いたアルシュ・イオ・オラン様ですね。お待ちしておりました」
金色の髪をお団子で一つにまとめた綺麗な女性の人が、ペコリとお辞儀をして出迎えてくれた。
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