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「じゃあ魔結石の話に戻すわよ」
そうだその話だったんだ。
「さっき言った通りシエルの体は神が直接作っているから、少なからず気が残るのよ」
「気? 」
「そう、全てのものが持つ気配というか、雰囲気というか・・・。すごく説明が難しいのだけど、その残滓が残るわけよ。だから本当に少しなんだけど、シエルの体を通って放出された魔力は通常の魔力よりも質の良いものになるのよ。少しずつとはいえ、長期間その魔力に触れた魔結石も質が良くなっていくのよ」
「そうだったんだ」
「ほら、私たちが住んでいたところだけ、いやに植物が元気だったじゃない」
そういえば確かに。別に他のところが荒れてたっていうわけではないけど、比べると何だか小屋の周りの草たちの方が瑞々しいというか、生命力があるというか、強くなってた。
「てっきり川辺だったし、元々なのかと思ってたよ」
「何もしてないのに急に草が元気になるなんてことないわよ」
「おっしゃるとおりで」
まだ少し興奮気味ではあるものの、一応冷静を取り戻した殿下が一連の話を聞いて、そうかとカップを持ち上げた。
ちなみにこのお茶、さすが王宮のものだけあって、あまり詳しくない私でも美味しいものだっていうのがわかる。
「じゃあ、これはシエルちゃんにしか作れないのか・・・」
「そうですね。ビジネスには不向きだと思いますよ」
ビジネスという単語を出すと、殿下は少し驚いたように軽く目を見開いた。
「わかっちゃったか。実は僕の知り合いが運営している商会があるんだけど」
「卸すのは構いませんが、殿下は通しませんよ」
「僕に売ってくれたら、代わりにその紹介に卸してあげるよ」とでも言うつもりだったのだろう。そうすれば殿下のところに手数料ならぬ仲介料というお金が入ってくる。不動産屋さんみたいなものだ。
この殿下もしっかりと打算的だ。
「欲しいのなら、その人に直接交渉に来させてください。それに売るとしても一部です。基本的には冒険者ギルドに下ろすつもりですから」
もちろん商会に素材を売ることもできるが、ギルドが一番適正価格で買い取ってくれるのだ。魔結石に関わらず、冒険者ギルドのクエストによって出た素材は基本的にギルドで売ることが可能だ。いち早く希少性や需要量の変化を知れるギルドは、最も早く敵正確に調整してくれる。だから多くの冒険者はギルドで素材を売るらしく、基本的に市場での流通量もギルドが調整している。
特に魔結石は毛皮や薬草と違い高価な上に、用途ごとに加工方法が違ってライン生産方式での大量加工が不可能なため、商会では大量の取り扱いは難しいはずだ。
「わかったわかった。彼にはそう伝えておくよ」
参ったと手を上げて、仕方ないという顔をしながら殿下を笑った。
「なので、冒険者業である程度稼げるようになるまでは、残った分をちょこちょこ売りながら足しにでもするつもりです。装備を買う費用などは一昨日換金してきた分で十分ですから」
「そうか。路頭に迷うようなことはないようで安心したよ」
「もし何か助けが必要だったら、いつでも言ってくださいね」
「うん、ありがとう」
さて、話もこれぐらいだしあとはメティーナ殿下に会えたらいいな。会えなさそうだったらもうこのまま帰るか。
「というわけでして、あと一ヶ月ぐらいはこの国いるつもりなのでよろしくおねがいします」
「ああ、よろしく」
そうして私たち二人は握手を交わす。
「あ、この時間ってメティーナ殿下に会えますか? 」
「たぶん、薬師団のところに行けば見つけられるんじゃないかな? 最近はずっと実験をしてるらしいからね」
「わかりました。ありがとうございます」
「うん、迷わないよにね」
「はい。じゃあ失礼しました」
そう言って、私は宰相室を後にした。
そうだその話だったんだ。
「さっき言った通りシエルの体は神が直接作っているから、少なからず気が残るのよ」
「気? 」
「そう、全てのものが持つ気配というか、雰囲気というか・・・。すごく説明が難しいのだけど、その残滓が残るわけよ。だから本当に少しなんだけど、シエルの体を通って放出された魔力は通常の魔力よりも質の良いものになるのよ。少しずつとはいえ、長期間その魔力に触れた魔結石も質が良くなっていくのよ」
「そうだったんだ」
「ほら、私たちが住んでいたところだけ、いやに植物が元気だったじゃない」
そういえば確かに。別に他のところが荒れてたっていうわけではないけど、比べると何だか小屋の周りの草たちの方が瑞々しいというか、生命力があるというか、強くなってた。
「てっきり川辺だったし、元々なのかと思ってたよ」
「何もしてないのに急に草が元気になるなんてことないわよ」
「おっしゃるとおりで」
まだ少し興奮気味ではあるものの、一応冷静を取り戻した殿下が一連の話を聞いて、そうかとカップを持ち上げた。
ちなみにこのお茶、さすが王宮のものだけあって、あまり詳しくない私でも美味しいものだっていうのがわかる。
「じゃあ、これはシエルちゃんにしか作れないのか・・・」
「そうですね。ビジネスには不向きだと思いますよ」
ビジネスという単語を出すと、殿下は少し驚いたように軽く目を見開いた。
「わかっちゃったか。実は僕の知り合いが運営している商会があるんだけど」
「卸すのは構いませんが、殿下は通しませんよ」
「僕に売ってくれたら、代わりにその紹介に卸してあげるよ」とでも言うつもりだったのだろう。そうすれば殿下のところに手数料ならぬ仲介料というお金が入ってくる。不動産屋さんみたいなものだ。
この殿下もしっかりと打算的だ。
「欲しいのなら、その人に直接交渉に来させてください。それに売るとしても一部です。基本的には冒険者ギルドに下ろすつもりですから」
もちろん商会に素材を売ることもできるが、ギルドが一番適正価格で買い取ってくれるのだ。魔結石に関わらず、冒険者ギルドのクエストによって出た素材は基本的にギルドで売ることが可能だ。いち早く希少性や需要量の変化を知れるギルドは、最も早く敵正確に調整してくれる。だから多くの冒険者はギルドで素材を売るらしく、基本的に市場での流通量もギルドが調整している。
特に魔結石は毛皮や薬草と違い高価な上に、用途ごとに加工方法が違ってライン生産方式での大量加工が不可能なため、商会では大量の取り扱いは難しいはずだ。
「わかったわかった。彼にはそう伝えておくよ」
参ったと手を上げて、仕方ないという顔をしながら殿下を笑った。
「なので、冒険者業である程度稼げるようになるまでは、残った分をちょこちょこ売りながら足しにでもするつもりです。装備を買う費用などは一昨日換金してきた分で十分ですから」
「そうか。路頭に迷うようなことはないようで安心したよ」
「もし何か助けが必要だったら、いつでも言ってくださいね」
「うん、ありがとう」
さて、話もこれぐらいだしあとはメティーナ殿下に会えたらいいな。会えなさそうだったらもうこのまま帰るか。
「というわけでして、あと一ヶ月ぐらいはこの国いるつもりなのでよろしくおねがいします」
「ああ、よろしく」
そうして私たち二人は握手を交わす。
「あ、この時間ってメティーナ殿下に会えますか? 」
「たぶん、薬師団のところに行けば見つけられるんじゃないかな? 最近はずっと実験をしてるらしいからね」
「わかりました。ありがとうございます」
「うん、迷わないよにね」
「はい。じゃあ失礼しました」
そう言って、私は宰相室を後にした。
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