チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ

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「ずっと思ってたんですよ。世界を巡りたいなって」
「はあ・・・」

 突然の話に、王子様も目を瞬かせている。

「今までは森で暮らしていたせいで、正式な身分証がなくて何もできなかったんです」
「まあ、国を出るのも入るのも身分証が必要だからな」


 そこでギルドカード!


「実は先日、冒険者ギルドと商業ギルドで登録してきたんですよ」

 すっと二枚、机に並べて見せる。どうだ、この輝きは! 全世界共通で使えるというのだから、ビザを取らないといけないパスポートよりも遥かに強い。しかも滞在期間制限なし!

「冒険者として旅をするなら、装備など資金がかかりますが・・・」
「それも解決しそうです。森で過ごしていたときに、用途もわからずきれいだったので、この小さな石ころを大量に貯めていたんです」
「これは魔結石だね」

 殿下はコトッと机に置いた直径三センチぐらいの赤い魔結石を手に取り、光に当てながら眺めている。真偽の確認でもしているのだろう。

「随分と質がいいものみたいだけど・・・」

 そう言うやいなや、魔結石を持っていた殿下の手から突然ボッと炎が飛び出し、私はギョッとした。

「!? なにしてっ・・・! 」
「うん、やっぱりね。何の影響かはわからないけど、通常の魔結石よりも魔録の変換効率が優れている。何か心当たりはある? 」

 すぐに火は消え、平然と話を続ける殿下だけど、こっちはきれいなきれいな第一王子様の手を火傷させてしまうんじゃないかとめちゃくちゃビビった。ほんと心臓に悪い。

「もしかしてシエルが持ってったっていうのに関係があるんじゃない? 」
「紅羽、どういうこと? 」
「正確に言えばシエルが放出する魔力に影響を受けたのよ。ほら、シエルずっと魔法の練習をしてたでしょ? そのときにシエルの体内を通って魔法として放出された魔力が、この魔結石たちに触れたのよ。シエルの体は神が直接作ったから・・・」
「ちょっと待て!? 」
「!? 」

 紅羽がまだ話している途中で、急に三人が声を揃えて立ち上がった。

 え、なになに!?

「今神が直接作ったと言ったか!? 」
「え、ええ・・・。あ! 」
「あ、」

 ようやく私も紅羽も失言したのに気づいて慌てて手で口を押さえるが、もう遅い。

「シエルは神が直接作った存在だというのか!? 」
「まさかそんなことが・・・」

 驚愕した表情を隠せない殿下と、唖然としたまま思考に沈んでいくストラーノさん。ラックさんはもう思考停止して固まっている。その向かいでこそこそと話す私たち。

「ねえシエル、もうここはバラすしかないんじゃない? 」
「うーん、まあこの体がティリアネの作ったものだってことぐらいなら話せるか。それ以上は多分推測できないだろうし」

 転生者だっていうことは伝えないでおこう。説明しても余計混乱するだろうし。

「その通りです。私のこの体は神の手によって直接作られているんです」

 あ、カミングアウトの衝撃でラックさんが解凍した。

「ですが、このことは秘密にして欲しいんです」
「なぜだ? 今神獣と共に公表すれば、実質全ての国の支配者よりも上に立てるんだぞ? 」
「でも大々的に公表すればするほど、私の身の安全が脅かされる可能性が大きくなるじゃないですか」
「それはそうだが・・・」
「もし公表したことで誘拐でもされたら、私はそれに着いていくつもりですからね。そうなると、あなたたちはともかく、この国自体の評判もガタ落ちしますよ? 」

 さあ、どうする? そりゃあ公表することで得られる外交上の有利さや経済効果はあるだろうけど、国の信用というものを天秤にかけてまで必要なものだろうか。

「これはどうやら丸め込まれたようだな。なあラック」
「そのようですね・・・」



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