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「お茶をどうぞ」
「ありがとうございます」
女官さんが出してくれたお茶を一口飲んで、一息つく。
「して、本日はどんなご要件で? 」
「この前を返事をしようと思いまして・・・」
先に私が話し始めたけど、殿下の用事はいいんかな。先に来てたし。
「その前に殿下の用事は」
「僕は暇でここに来ているだけだから、気にしないでいいよ」
「わかりました」
なら遠慮せずに話させてもらおう。
「以前の王位継承権についての問題なのですが・・・」
「!? ゴホゴホ! しょ、少々お待ちください! 」
「いいの? 本人がいる目の前なのに」
「いいでしょ、本人がいいって言ったんだから」
というか、実質聞いて欲しい内容だったし。
向かいのラックさんが「今話すのか!? 」と目を剥いているが気にしない。
肝心の第一王子様はお茶を飲みながら聞くつもりのようだ。
「お二人がお帰りになったあと、第二王子・第三王子にも話を持ちかけられました」
「それはついては報告を受けた」
さすが第一王子。情報に関してはしっかりしてるな。
「お二人も継承権を狙っているようで、第一王子殿下と同じく将来の利益を対価に取引を提案されました」
情報は包み隠さず公開するのも、各勢力の均衡をとりたいたいからだ。今こうやっておおっぴらに言っておくことで、今後「そんな話聞いてません」っていうやつがいても、「別に情報は隠蔽してないので、ただの情報収集不足です」で通せるし、「誰々に贔屓した! 」とも言われずにすむ。
「そうか。二人も動き出したか」
堂々としたライバル宣告に対しても、ゆっくりと茶を飲む余裕のあるこの落ち着きよう。長年第一王子としての重みを背負ってきただけのことはある。
「だけど、僕も負けるつもりはないよ。それだけの人脈と研鑽が僕にはある」
なるほど。
この人に会ったことのない人たちからすると、現状を理解せずに驕っているだけの甘ちゃんに見えるだろう。だが、彼にはたしかにそう語れるだけのステータスがある。
第一王子というのはただの肩書でも、そこに乗せられているものは重い。しかも見えにくいので、勘違いされることだって多々あったはずだ。
そのうちその重みに負けて下を向いていたところで、ありのままの自分を認めてくれるヒロインに出会って再びやる気を取り戻す。もしここが乙女ゲームの世界ならそういうストーリーがあっても不思議ではない。
だけど目の前のこの人は耐え抜いてきた。
その分積んできた経験と人望を彼は持っている。第一王子として背負ってきた重圧を見事自身の研鑽に使ったのだ。
やはりそこは下の第二、第三王子とは風格が違う。
「それはぜひ第二、第三王子殿下に直接申し上げください。で、継承権についてですが、よくよく考えて見たら私、第二、第三王子殿下以外の実物に会ったことがないんですよ。第一王子殿下にはいま会えましたけど」
「確かに。メティーナ殿下はルーフェウス様とは違って勤勉ですからな」
「おい、ラック。まるで僕が日頃仕事をサボっているように言うな」
「なので第一王女殿下にもあとでお会いさせてください」
「そうだねえ、いけると思うよ。いまこの時間ならメティーナは研究室にいるはずだから」
和ましい光景を邪魔して申し訳ない。
「じゃあどっち陣営かの選択は中立ってことでいいんかな? 」
「いえ、今決めました」
本当はメティーナ殿下の姿も見てから決めようと思ってたんだけど・・・。
「ほう、では君はどうするんだい?」
「私は━━」
この人も、国王になる器を持っている。
「ありがとうございます」
女官さんが出してくれたお茶を一口飲んで、一息つく。
「して、本日はどんなご要件で? 」
「この前を返事をしようと思いまして・・・」
先に私が話し始めたけど、殿下の用事はいいんかな。先に来てたし。
「その前に殿下の用事は」
「僕は暇でここに来ているだけだから、気にしないでいいよ」
「わかりました」
なら遠慮せずに話させてもらおう。
「以前の王位継承権についての問題なのですが・・・」
「!? ゴホゴホ! しょ、少々お待ちください! 」
「いいの? 本人がいる目の前なのに」
「いいでしょ、本人がいいって言ったんだから」
というか、実質聞いて欲しい内容だったし。
向かいのラックさんが「今話すのか!? 」と目を剥いているが気にしない。
肝心の第一王子様はお茶を飲みながら聞くつもりのようだ。
「お二人がお帰りになったあと、第二王子・第三王子にも話を持ちかけられました」
「それはついては報告を受けた」
さすが第一王子。情報に関してはしっかりしてるな。
「お二人も継承権を狙っているようで、第一王子殿下と同じく将来の利益を対価に取引を提案されました」
情報は包み隠さず公開するのも、各勢力の均衡をとりたいたいからだ。今こうやっておおっぴらに言っておくことで、今後「そんな話聞いてません」っていうやつがいても、「別に情報は隠蔽してないので、ただの情報収集不足です」で通せるし、「誰々に贔屓した! 」とも言われずにすむ。
「そうか。二人も動き出したか」
堂々としたライバル宣告に対しても、ゆっくりと茶を飲む余裕のあるこの落ち着きよう。長年第一王子としての重みを背負ってきただけのことはある。
「だけど、僕も負けるつもりはないよ。それだけの人脈と研鑽が僕にはある」
なるほど。
この人に会ったことのない人たちからすると、現状を理解せずに驕っているだけの甘ちゃんに見えるだろう。だが、彼にはたしかにそう語れるだけのステータスがある。
第一王子というのはただの肩書でも、そこに乗せられているものは重い。しかも見えにくいので、勘違いされることだって多々あったはずだ。
そのうちその重みに負けて下を向いていたところで、ありのままの自分を認めてくれるヒロインに出会って再びやる気を取り戻す。もしここが乙女ゲームの世界ならそういうストーリーがあっても不思議ではない。
だけど目の前のこの人は耐え抜いてきた。
その分積んできた経験と人望を彼は持っている。第一王子として背負ってきた重圧を見事自身の研鑽に使ったのだ。
やはりそこは下の第二、第三王子とは風格が違う。
「それはぜひ第二、第三王子殿下に直接申し上げください。で、継承権についてですが、よくよく考えて見たら私、第二、第三王子殿下以外の実物に会ったことがないんですよ。第一王子殿下にはいま会えましたけど」
「確かに。メティーナ殿下はルーフェウス様とは違って勤勉ですからな」
「おい、ラック。まるで僕が日頃仕事をサボっているように言うな」
「なので第一王女殿下にもあとでお会いさせてください」
「そうだねえ、いけると思うよ。いまこの時間ならメティーナは研究室にいるはずだから」
和ましい光景を邪魔して申し訳ない。
「じゃあどっち陣営かの選択は中立ってことでいいんかな? 」
「いえ、今決めました」
本当はメティーナ殿下の姿も見てから決めようと思ってたんだけど・・・。
「ほう、では君はどうするんだい?」
「私は━━」
この人も、国王になる器を持っている。
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