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階段を登ってギルドの二階まで行くと応接室のような部屋に通された。
中には、想像以上にフランクな格好をしたおじさんが出迎えてくれた。
「お、君がシエルちゃんかい? 」
ニカッと白い歯を見せて笑うこのおじさんこそが、ここのサブマスらしい。
「俺の名前はドリグだ。しばらく前まで現役冒険者としてやっていて、今はサブマスをやらせてもらってる。よろしくな! 」
「よろしくお願いします」
握手を交わして、私たちは向かい合って座った。
「で、シエルちゃん、スネイクドラゴンを従魔にしてるってのは本当なのか? 」
「本当ですけど、何か問題が? 」
もしかしてスネイクドラゴンじゃないってバレたの? どこかで失言した?
「そりゃあ、いくらスネイクドラゴンとはいえ、ドラゴンの一端だぞ? 」
「ドラゴンが問題なんですか? 」
どうやらスネイクドラゴンであること自体は疑われていないようだ。よかった。
「まさか知らずに従魔にしたのか? ドラゴンってのは他の魔獣とは決定的に違うところがあってな、まず一つ目がはっきりとした自我を持っているということ。二つ目が高いプライドを持っていることだ。そもそも自我を持っているという時点で気ままに生きる存在だから、従魔にするのは難しい。その上プライドが高いからそいつが認めた人間としか契約しないんだ。しかもドラゴンにもなると、契約するのも勝手だし破棄するのも勝手だ。通常従魔契約というのはより強い方が優勢だからな。結果、ドラゴンと契約できる人間なんて、百年に一人いるかどうかのレベルになっているんだ」
じゃあもしスネイクドラゴンと契約してるなんて公言したら、神獣云々言う前に悪目立ちしてしまうじゃないか!
今のうちにこの話聞いといてよかった~。
「それは知りませんでした。じゃあスネイクドラゴンがいることは公言しないほうがいいですか? 」
「そうだな。ましてやシエルちゃんはまだ子どもだ。スネイクドラゴンを従えている子どもなんて言ったら、バカにされて笑われるのは良い方で、十中八九従魔狩りに狙われるだろうからな」
「その、従魔狩りというのは? 」
さっきのミル串屋のおっちゃんも言ってたけど・・・。
「従魔を拐って無理矢理契約を書き換えたうえで、裏オークションに出す奴らのことだ。酷いときには契約者を殺したり、契約者を人質に従魔の方から契約を変更させようとするケースもあるから、気をつけろよ」
「わかりました」
どの世界にも裏社会ってのはあるものなんだね。
「じゃあスネイクドラゴンの代わりになんて言えばいいですか? 」
「そうだな・・・。ブラックサーペントにしておいたらどうだ?幼体だって言えば通るはずだ」
「じゃあそうします」
龍であることをカモフラージュするためにスネイクドラゴンだと言い、スネイクドラゴンであることをカモフラージュするためにブラックサーペントの幼体だと言う。まるでマトリョーシカである。
「それと、他の支部長にもこのことを伝えておこう。他の所に行ったときに、何かと役に立つはずだ」
「わかりました。ありがとうございます」
「じゃあそれだけだ。わざわざ来てもらって悪かったな、送っていくぞ」
話を終えて部屋から出ようとしたとき、ちょうどいいタイミングで向かいからドアが開けられた。顔を出したのはお姉さんだ。
「あらシエルちゃん。サブマス、お話し終わりましたか? 」
「ああ」
「あの四人なんですけど、規律を破ったってことでカード剥奪しちゃっていいですか? 」
「もちろん。好きにしていいぞ」
「じゃあ一年の無給奉仕もつけておきますね! 」
るんるんとお姉さんは戻って行った。
「あいつはああ見えても業務統括なんだ。何かと仕事はできるからな、何かあったらあいつに頼れ」
「なんていう名前なんですか? 」
「ミレイだな。ミレイお姉さんって呼んでやったら喜ぶぞ? 」
「じゃあ次はそう呼んでみますね」
道理でテキパキとしてたわけだ。最初に会ったのがお姉さんで本当に良かった。
「じゃあな、気をつけていくんだぞ! 」
「はい、ありがとうございました」
なんやかんやと時間がかかってしまったけど、次に向かうは商業ギルドだ。
中には、想像以上にフランクな格好をしたおじさんが出迎えてくれた。
「お、君がシエルちゃんかい? 」
ニカッと白い歯を見せて笑うこのおじさんこそが、ここのサブマスらしい。
「俺の名前はドリグだ。しばらく前まで現役冒険者としてやっていて、今はサブマスをやらせてもらってる。よろしくな! 」
「よろしくお願いします」
握手を交わして、私たちは向かい合って座った。
「で、シエルちゃん、スネイクドラゴンを従魔にしてるってのは本当なのか? 」
「本当ですけど、何か問題が? 」
もしかしてスネイクドラゴンじゃないってバレたの? どこかで失言した?
「そりゃあ、いくらスネイクドラゴンとはいえ、ドラゴンの一端だぞ? 」
「ドラゴンが問題なんですか? 」
どうやらスネイクドラゴンであること自体は疑われていないようだ。よかった。
「まさか知らずに従魔にしたのか? ドラゴンってのは他の魔獣とは決定的に違うところがあってな、まず一つ目がはっきりとした自我を持っているということ。二つ目が高いプライドを持っていることだ。そもそも自我を持っているという時点で気ままに生きる存在だから、従魔にするのは難しい。その上プライドが高いからそいつが認めた人間としか契約しないんだ。しかもドラゴンにもなると、契約するのも勝手だし破棄するのも勝手だ。通常従魔契約というのはより強い方が優勢だからな。結果、ドラゴンと契約できる人間なんて、百年に一人いるかどうかのレベルになっているんだ」
じゃあもしスネイクドラゴンと契約してるなんて公言したら、神獣云々言う前に悪目立ちしてしまうじゃないか!
今のうちにこの話聞いといてよかった~。
「それは知りませんでした。じゃあスネイクドラゴンがいることは公言しないほうがいいですか? 」
「そうだな。ましてやシエルちゃんはまだ子どもだ。スネイクドラゴンを従えている子どもなんて言ったら、バカにされて笑われるのは良い方で、十中八九従魔狩りに狙われるだろうからな」
「その、従魔狩りというのは? 」
さっきのミル串屋のおっちゃんも言ってたけど・・・。
「従魔を拐って無理矢理契約を書き換えたうえで、裏オークションに出す奴らのことだ。酷いときには契約者を殺したり、契約者を人質に従魔の方から契約を変更させようとするケースもあるから、気をつけろよ」
「わかりました」
どの世界にも裏社会ってのはあるものなんだね。
「じゃあスネイクドラゴンの代わりになんて言えばいいですか? 」
「そうだな・・・。ブラックサーペントにしておいたらどうだ?幼体だって言えば通るはずだ」
「じゃあそうします」
龍であることをカモフラージュするためにスネイクドラゴンだと言い、スネイクドラゴンであることをカモフラージュするためにブラックサーペントの幼体だと言う。まるでマトリョーシカである。
「それと、他の支部長にもこのことを伝えておこう。他の所に行ったときに、何かと役に立つはずだ」
「わかりました。ありがとうございます」
「じゃあそれだけだ。わざわざ来てもらって悪かったな、送っていくぞ」
話を終えて部屋から出ようとしたとき、ちょうどいいタイミングで向かいからドアが開けられた。顔を出したのはお姉さんだ。
「あらシエルちゃん。サブマス、お話し終わりましたか? 」
「ああ」
「あの四人なんですけど、規律を破ったってことでカード剥奪しちゃっていいですか? 」
「もちろん。好きにしていいぞ」
「じゃあ一年の無給奉仕もつけておきますね! 」
るんるんとお姉さんは戻って行った。
「あいつはああ見えても業務統括なんだ。何かと仕事はできるからな、何かあったらあいつに頼れ」
「なんていう名前なんですか? 」
「ミレイだな。ミレイお姉さんって呼んでやったら喜ぶぞ? 」
「じゃあ次はそう呼んでみますね」
道理でテキパキとしてたわけだ。最初に会ったのがお姉さんで本当に良かった。
「じゃあな、気をつけていくんだぞ! 」
「はい、ありがとうございました」
なんやかんやと時間がかかってしまったけど、次に向かうは商業ギルドだ。
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