チートな転生幼女の無双生活 ～そこまで言うなら無双してあげようじゃないか～

４２

　・・・で、はい。ついつい二本目買っちゃったけど、今日の目的は焼き鳥じゃなくてね。

「ここじゃない？　」
「ここだな」

　あの食べ物どおりを抜けてもうちょっと歩いた先。一区と二区が通称貴族街なのに対して、一般区と呼ばれる三区と四区。その中でも、三区と四区が接している所のど真ん中で円上に切り取られた地域がある。
　商工業区と呼ばれるそこは、多くの商会や工房が立ち並んでいて、商人たちの活動拠点だ。

　その円の中心にある一つの大きな建物。壁が丸くなっていて、等間隔でドアが四つ。ここはギルドだ。

　ドアが四つということはつまり、内部も均等に四つに仕切られていて、冒険者ギルド、商業ギルド、職人ギルド、雇用ギルドが入っている。

　冒険者ギルドは依頼受付、報酬の交付、冒険者の管理、素材に解体や買い取りといったことをしていて、商業ギルドの主な仕事は新規商品の承認、商人同士のトラブル仲裁や取引証人、違法な高価格や違法商品の取り締まりになっている。職人ギルドは鍛冶屋や工芸品工房といった人たちが登録していて、新規商品の承認、商人との取引証人、商業ギルド同様トラブルの仲裁、技術権の承認とかが仕事。雇用ギルドもその名の通り、各店や貴族屋敷からの求人募集受付、転職・就職希望者の斡旋、人材貸出といったことをしている。

「あ、あった」

　ぐるっと建物の周りを一周回って、探していた冒険者ギルドを見つけた。

　両開き大きな木のドアは開けっぱで放置されていて、この身長的に助かる。

  中はガヤガヤとしていて、いろんな人がいる。ローブを着た人やゴツい鎧をつけてる人、軽装備の人もいる。右と左にそれぞれ掲示板があり、なんとなくだけど左の掲示板に集まっている人たちの方が強そうに見える。

　受付は奥だ。

「こんにちは、何か御用？　」

　私の姿を見つけたベレー帽のお姉さんが声をかけてくれる。

「あ、冒険者登録はどこでしたらいいですか？　」
「それだったらこっちよ」

　そう言って一つの窓口に案内してくれた。

「冒険者登録ね。お名前を聞いてもいい？　」
「シエルです」
「シエルちゃんね。そっちの子は従魔かしら？　」
「はい。他にもあと三匹います」
「まあたくさんね！　ならあとで従魔登録もしなきゃね。シエルちゃん職業は？　」
「ええと、何がありますか？　」
「剣士、戦士、治癒士、魔法使い、従魔使い、弓使い、索敵者があるわ。シエルちゃんはまず従魔使いが一つね。あと何かあるかしら？　」
「魔法使いです」
「従魔使いと魔法使いね。シエルちゃんはソロ？　それともパーティに入りたい？　パーティっていうのはああやって何人かが集まってチームを組むことよ」
「いえ、ソロでいいです」
「わかったわ」

　サラサラと机の下から取り出した紙にペンを走らせるお姉さん。一通り書き終えて、もう四枚紙を取り出した。

「その子も登録しなきゃね。この子なんていう魔獣かわかる？　」
「グレートウルフ？　らしいです」

　神獣たちを従魔と偽っている手前、そのままフェンリルというのはまずい。それでアルシュさんが事前にどうやっていえばいいのか教えてくれたのだ。

「グレートウルフね。あと三匹いるって言ってたわね、その子たちの種類を聞いてもいいかしら？　」
「スレイプニルとレンホンチョウとスネイクドラゴンです」

「ちょっと待ってね。スレイプニルとレンホンチョウと、スネイクドラゴン！？　」

「はい」
「シエルちゃん、嘘はダメよ」
「嘘じゃないです」
「そうね、嘘はついているようには見えないもの。本当にスネイクドラゴンなのね。わかったわ。・・・シエルちゃん、本当にすごいわね・・・」

　衝撃を受けたようで一瞬疑われたものの、無事怪しまれることなくすんなりと通った。

「じゃあこれで登録するわね。少し待っててくれない？　」