チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ

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「疲れたー」

 あんな大人数の前に出たことなんて、前世含めても一回か二回だよ。

「我は少し寝るぞ」
「そうね私も」

 四匹も疲れたのか、ベッドを占領して寝始めた。

 勉強でもするか。前世でも今世でも逃れられないもの、それが勉強。正確には常識の勉強だ。

 騎士団の人たちが準備してくれた数々の資料をとにかく頭に叩き込む。これを覚えなければ、最低限の生活もできないのだ。


 まず、この世界での一日の長さは地球と同じ二十四時間で、一時間ごとの言い方が、一時間ではなく一刻限。分と秒は何故かそのまま分と秒。

 一年の長さや一ヶ月の長さも一緒で、年はそのままの数え方。月が、青の月、赤の月、黃の月、緑の月、紫の月、桃の月、橙の月、草の月、茶の月、金の月、黒の月、白の月、銀の月っていう呼び方になっている。子供たちはみんな「ああきみむもだきちゃしくきぎ」って覚えているらしい。

 次、お金の単位。もともとは国ごとに違っていたものの、新しい国が興るごとに新しい通貨ができてめんどくさいという理由で、七十年前に新ベル通貨に統一されたらしい。この前エウロスで買い物したときの値段を考えると、基本的には十円で一ベルぐらいの感覚良いだろう。

 で、長さの単位。これが一番めんどくさい。十センチが一ロージ。一メートル、つまり十ロージで一レージ。そして百メートル、十レージで一ルージ。一キロメートル、十ルージで一リージ。百キロメートル、十リージで一ラージだ。ちなみに一センチは一ヨジで、一ミリメートルは一ユジだ。

 そして長さと合わせて覚えないといけないのが、重さの単位。これは刻み方は日本と一緒で、単位が違うだけ。一ミリグラムは一パマ。一グラムは一パミ。一キログラムは一パム。一トンは一パメだ。まだ比較的変換しやすい。


 完全に小一からやり直してる気分。

「うーん・・・、難しい」


 あともう一つ覚えないといけないのが、今の世界情勢。これは本来小学一年生の必須知識範囲内には含まれていないものだ。


 まずこの世界には大陸が三つあって、そのうち二つの中央大陸と北大陸は地続き。ただしその地続きになっているところを横断するように山脈があるため、陸路はかなり険しい。多くの貿易商は海路を利用している。

 もう一つ西大陸があり、カルフ海洋と呼ばれる広い海に隔てられているため、海路でしか行けない。

 中央大陸には現在十六の国があり、その中でも主な七つが、中央聖皇国、ノアンデ=イス=ライデ王国、グランディオン帝国、トルファン公国、ヨルデ北方連邦国、東方諸国連合、そしてプロム王国だ。

 逆に北大陸には三つしか国がなく、グランド・エデン帝国、ウェルズ王国、フィロー王国のみが存在している。

 西大陸は大半が乾燥した砂漠であるため、オアシスごとに集落が点在しており、オアシスの状況によって移動したりもするため、具体的な国境はない。ただし、その全ての集落をまとめ上げるマルークと呼ばれる人物が代々おり、中央大陸ではマルークを実質的な王として扱っている。


 そしてこの国、プロム王国は中央大陸の西側にありカルフ海洋に面している国だ。

 カルフ海洋に面している国の中では最も大きく、港の数も多いため、西大陸との貿易の要所となっている。


「・・・ふう。あ゙ー、疲れた」

 こんな詰め込んだの前回のテスト前以来じゃない? 


 窓の外を見ると、思った以上に時間は経っていない。

「む、腹が減ったな」
「わっ! 起きてたの・・・」

 唐突に後ろから聞こえた声に振り向くと、ベッドから四匹が首をもたげてこっちを見ていた。

「じゃあ、そろそろ昼ご飯行こうか」

 そう言って、四人を連れてドアノブに手をかけたとき、


 コンコン。


「シエル殿、いますか? 」
「はい」

 クラックさんの声に、ガチャッとドアを開けた。

「今から食堂に行こうと思ったんですけど・・・」
「すみません、シエル殿に面会したいという客人がいらっしゃっているのですが・・・」
「え゙っ」

 さっきの今で!? 早くない!? せめて昼ごはん食べてから来てよ!

「アポ無しなので追い返すこともできますが、どうしますか? 」
「ちなみにどのご身分の人で? 」
「宰相殿と副宰相殿です」

 よりによって国のトップ2が一番乗りか。

「今来賓室で待たせていますが・・・」
「今から行きます」
「よろしいのですか? 」
「うん、さっさと終わらしてくる」

 後々何回も来られるよりは、ね。

「みんなは先に食べに行っといて」


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