チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ

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「第二騎士団団長クラック・イオ・クロスタット様、副団長アルシュ・イオ・オラン様、シエル様がお見えになりました」

 大きな広間の奥に玉座があり、顔がよく見えないものの、ガッシリとした体躯の筋骨隆々な王様が座っているのがわかる。

 メイドや侍従、女官といった人たちがズラッと壁に沿ってホールを囲むように点々と並んでいて、合間合間に隊服を着た騎士の人がいる。

 赤い絨毯が引かれた道があり、その両隣に貴族っぽい人たちがわんさかといる。


 ペコリと一礼した女官さんは、扉のすぐ隣で本来の配置であったであろう場所に戻って行った。

「そのまま進んでください」

 アルシュさんに言われた通り二人のあとに続いて進む。

「なんだ、あれは? 」
「保護したと聞いたが・・・」
「なんと稀有な・・・」
「あの獣はなんだ? 」
「なんと幼い・・・」

 周囲から聞こえてくる一言一言を鮮明に捉えてしまい、どうしても気になってしまう。

 ん? あれはケモミミ!?

 よく見るとひょこひょこと動く耳がついている人たちや、尖った耳を持つ人達がいるのだ。尻尾がゆらゆらしている人もいる。

 獣人か! あとで絶対仲良くなろうっと。


 心の底でのそんな歓喜悟られないよう、必死に表情を保ちながら歩いていると、前の二人が止まり、私も歩みを止める。

「偉大なる国王陛下に拝謁します」

 クラックさんがそう言うと同時に頭を膝をつき、アルシュさんが追従したのを見て、私もそれに倣った。


「面をあげよ」


 重厚感のある声が響き、隣の二人が動く気配がして私も顔を上げた。


「はるばる遠征ご苦労であったな。ヒュドラを討伐したと聞いた、さぞ大変だったろう。後ほど褒美を遣わそう」
「光栄に存じます」


 形式的な会話が行われている間にできるだけ周りを観察しておく。

 どっしりと王座に構える国王の横には、濃い化粧に赤いドレスといった気の強そうな女性、王妃が座っている。反対側には皇后とは真反対な、優しそうな雰囲気の淡緑のドレスを着た女性が座っていて、恐らく第一側妃なのだろうという予想だ。ちなみに見分け方はティアラを被っているかいないか。その一つ下の段に三人。青のドレスを着た女性と紫のドレスを着た女性がいる。第二、三側妃だろう。


 そして国王の後ろには、狸と狐がいる。


 あ、もちろん比喩ね。比喩。

 まるっとした体型に狸顔の人が国王の右後ろに立っていて、左側には狐目のイケオジがいる。右の「すぐ詐欺に引っかかりそう感」と左の「圧倒的曲者感」が拭えない。


「して、女子おなごを保護したとな」
「はい。シエルという名にございます」


 ぐるっと全員の目がこっちに向き、慌てて挨拶した。

「はじめまして、シエルといいます」


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