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とまあ、そんな事もあったけど、当のルアンさんはもう平然としている。
「シエル殿! 他になにか手伝うことはありますか? 」
「じゃあ罠の確認を手伝って」
「はい、森の中ですか? 」
「うん、目印をつけてあるから・・・」
「シエル殿! 薪割り終わりました! 」
「もう? 」
「これでよろしいですか? 」
「うん、助かる」
「シエル殿! これでいいですか? 」
「うん、沸騰したらオッケー」
「なぜ沸騰させたのですか? 」
「煮沸消毒だけど、知らない? 」
「しゃふつしょうどく、ですか? 」
「やっぱり知らないよね~。こうしたら水がもっときれいになるんだよ」
「そうなんですか」
「シエル殿! 罠にホーンラビットがかかってました! 」
「お、いいね。今日の晩御飯だよ」
「おお! 」
「シエル殿! 言われた通りのを摘んできたのですが、合ってますか? 」
「ありがとう。うん、だいたいオッケーかな」
「良かったです」
「あ、待って。これ毒草だよ。あとこれも毒キノコだ。よく似てるんだよ、このカラギ草とこっちのニセカラギ草」
「確かに」
「ニセカラギ草は花弁の数が五つでね、カラギ草より多いんだよ」
「どうするんですか? 」
「サラダにする予定」
あれ・・・・・・。私今日なんかした?
薪も割ってくれたし、罠の確認もしてくれたし、水の煮沸だってしてくれた。私がやった事と言えば、ご飯作りだけだ。
ヤバい、暇すぎてヤバい。
「あー、暇」
「もう今日ずっとそれね」
「なんかやることなくなった瞬間につまんなくなるんだよね」
「わかるわ」
あれ、クラックさんも暇っぽい。・・・そうだ!
***
「お願いします」
「どうぞ」
今、私とクラックさんは剣を持って向かい合っている。
タンっと軽やかな音とは裏腹に、私は力強く蹴り込んだ。
「はっ! 」
掛け声と共に、クラックさんに向かって剣を突き出す。それをひらりと避けたクラックさんは、そのまま上から大きく一振り。体を横に反らして避けた所で、今度は素早く手首を返して横から切り込んできた。
なぜこうなったか。
私がクラックさんに手合わせをお願いしたのだ。剣はルアンさんのものを借りた。ついでにティリアネがくれた身体能力も試してみたい。真剣だから、お互い手加減をする決まりだ。
急いで後ろに下がり、剣先が顔の前を通過していった。すぐにクラックさんが踏み込んでき、素早い連撃が繰り出される。
まずい!
「!」
その瞬間、私は驚愕した。
今まで剣など触ったことなんてないはずだったのに、なぜか全てに対応できるのだ。一撃一撃、流れるように体が動いて、確実に受け止められる。
それでもそのスピードは常人のものではない。
これで手加減、か。
さすが騎士団長だ。だけどその速さによる隙も生じる。
どんどん剣を持つ高さを、腹の位置から顔の位置にまで、更には頭上にまで上げていく。
そしてクラックさんが次の攻撃に移った瞬間。
すっと体を下げて、足払いをかけた。
「!?」
とっさの反応が僅かに遅れたクラックさんは、慌てて大勢を立て直そうとする。が、その僅かな遅れが致命的だ。
ガキン!
金属がぶつかり合う音がして、クラックさんが自身の首に迫った剣を防いだ。
「シエル殿! 他になにか手伝うことはありますか? 」
「じゃあ罠の確認を手伝って」
「はい、森の中ですか? 」
「うん、目印をつけてあるから・・・」
「シエル殿! 薪割り終わりました! 」
「もう? 」
「これでよろしいですか? 」
「うん、助かる」
「シエル殿! これでいいですか? 」
「うん、沸騰したらオッケー」
「なぜ沸騰させたのですか? 」
「煮沸消毒だけど、知らない? 」
「しゃふつしょうどく、ですか? 」
「やっぱり知らないよね~。こうしたら水がもっときれいになるんだよ」
「そうなんですか」
「シエル殿! 罠にホーンラビットがかかってました! 」
「お、いいね。今日の晩御飯だよ」
「おお! 」
「シエル殿! 言われた通りのを摘んできたのですが、合ってますか? 」
「ありがとう。うん、だいたいオッケーかな」
「良かったです」
「あ、待って。これ毒草だよ。あとこれも毒キノコだ。よく似てるんだよ、このカラギ草とこっちのニセカラギ草」
「確かに」
「ニセカラギ草は花弁の数が五つでね、カラギ草より多いんだよ」
「どうするんですか? 」
「サラダにする予定」
あれ・・・・・・。私今日なんかした?
薪も割ってくれたし、罠の確認もしてくれたし、水の煮沸だってしてくれた。私がやった事と言えば、ご飯作りだけだ。
ヤバい、暇すぎてヤバい。
「あー、暇」
「もう今日ずっとそれね」
「なんかやることなくなった瞬間につまんなくなるんだよね」
「わかるわ」
あれ、クラックさんも暇っぽい。・・・そうだ!
***
「お願いします」
「どうぞ」
今、私とクラックさんは剣を持って向かい合っている。
タンっと軽やかな音とは裏腹に、私は力強く蹴り込んだ。
「はっ! 」
掛け声と共に、クラックさんに向かって剣を突き出す。それをひらりと避けたクラックさんは、そのまま上から大きく一振り。体を横に反らして避けた所で、今度は素早く手首を返して横から切り込んできた。
なぜこうなったか。
私がクラックさんに手合わせをお願いしたのだ。剣はルアンさんのものを借りた。ついでにティリアネがくれた身体能力も試してみたい。真剣だから、お互い手加減をする決まりだ。
急いで後ろに下がり、剣先が顔の前を通過していった。すぐにクラックさんが踏み込んでき、素早い連撃が繰り出される。
まずい!
「!」
その瞬間、私は驚愕した。
今まで剣など触ったことなんてないはずだったのに、なぜか全てに対応できるのだ。一撃一撃、流れるように体が動いて、確実に受け止められる。
それでもそのスピードは常人のものではない。
これで手加減、か。
さすが騎士団長だ。だけどその速さによる隙も生じる。
どんどん剣を持つ高さを、腹の位置から顔の位置にまで、更には頭上にまで上げていく。
そしてクラックさんが次の攻撃に移った瞬間。
すっと体を下げて、足払いをかけた。
「!?」
とっさの反応が僅かに遅れたクラックさんは、慌てて大勢を立て直そうとする。が、その僅かな遅れが致命的だ。
ガキン!
金属がぶつかり合う音がして、クラックさんが自身の首に迫った剣を防いだ。
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