チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ

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 少しずつ枯れ葉が増え始め、秋も中盤に差し掛かった頃。この森で暮らし始めて約一ヶ月。

 魔法もかなり上達し、指パッチンで発動させるなんていう、ちょっとかっこいい技も身に着けた。新しい魔法も開発し、最初の方とは違って、ロスタイム無しで発動させられるようになった。

 「これが愛し子か」って常夜が驚いていたな・・・。普通はこんなに早く上達しないらしい。「今の実力でも、その辺の宮廷魔法使いなら余裕で倒せる」っていう白氷のお墨付きももらった。

 ようやくチートが効果を発揮してきたみたいだな。ふっふっふ・・・。

「こっちも終わったわよ! 」
「ありがとう! 」

 いけないいけない、罠を直してる途中だった。

「これで全部かな」
「ええ、記憶が合っているなら」
「じゃあ帰ろうか」

 今日は鶏肉だ。なんだっけ、ミルバーチとかいう、とにかく鶏そっくりな鳥。美味しいんだけど、あんまり罠にかかってくれないんだよね~。サイズ感的には鶏の四、五倍あるから、一度捕れると一週間ぐらいはもつ。焼き以外にも蒸し焼きが超絶うめぇんだよな~!

 木を細く切って、蒸し籠を作らせてもらった。その上で火が蒸し籠のそこに当たらないように上手く調節できると、美味しい蒸し焼きが作れる。

「ごっはん! ごはーん! 」
「久しぶりのミルバーチね! 」

 ミルバーチ捌くときにも思ったけど、紅羽ってやっぱり神獣なんだな。仮にも同じ鳥類が目の前で引き裂かれてるのに、喜々として調理を眺めてるんだもん。聞いてみたら、神獣にとったら動物は格下の格下で、いくら姿が似ていてもその生死なんかに興味はないんだとよ。さすが唯一無二の存在の発言。前世だったらこれ名言集入りしてたと思う。


 そんな事情もあって、ルンルンとした足取りで歩いていたのに、あと数メートルで家に着くといったところで、私の目はある光景を捉えた。

「あれ? ねえ紅羽、あれ」
「ね、どうしたのかしら」


 家の前に一団の人間がいる。人間・・・、人間!?


 この世界で初めて人間を見たよ! うわ本当に人間だ! なんか謎の感動が湧き上がってくるんだけど。


「ただいま」
「帰ったわよ~! 」

 とりあえただいまだけ言って、その人達の前で偉そうにドンと構えている白氷に事情を聞く。実際白氷の方が偉いんだろうけど。

「私がいない間に何があったの? 」
「こやつらが家に入れろと言ってくるのだ」
「はあ・・・」

 ダメだ、簡潔すぎてわからん。直接聞いたほうがいいな。

「どうしたの? 」
「あなたがシエル殿ですか? 」
「白氷がそう言ってたの? 」
「はい、シエル殿が帰らぬ限り話はせぬと」
「白氷・・・」

 なるほど、それで今白氷と対峙していたのか。白氷、目を逸らすな、目を。

 白氷と目線で追いかけっ子をしていると、その人たちの中から一人に男が出てきて、私の前で頭を下げた。

「私は第二騎士団団長、クラック・クロスタットといいます。付近で休憩をしていたところ、グレートベアーズに群れに襲われてしまい、負傷者がたくさん出てしまったのです。すみませんが、しばらくここで休ませていただけないでしょうか? 」
「グレートベアーズ? 」
「ほら、あの赤い熊よ」

 ああ、あれか。そこそこサイズがあったっちゃあったけど・・・、でも群れなら確かに結構怖いな。









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