池尻産婦人科

ユヅキ

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四話

辛さと葛藤

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自宅に帰ると理恵が料理の下準備をしていた。
『どうしたの？そんなに疲れちゃって。』
『うん••仕事疲れで••』
心配する理恵をよそに亜矢はうとうと寝かかり、
そして理恵は優しく毛布をかけた。
『今日は亜矢の大好物•肉じゃがでーす。』
彼女の耳にそっと囁いだ。

その頃、ある女性が妊娠検査薬を見て
怯えた顔をしていた。
『嘘••』
陽性だった。
『どうしよう••このまま彼に見捨てられて
しまったら••』
翌日、妊婦は初めての検診で産婦人科を
訪れていた。
『妊娠3ヶ月ですね。』
しかし妊婦は暗い表情をしたままだった。
『どうしたんですか？』
『えぇ••私、彼から暴行を喰らわれて••
以前はちゃんと仕事をこなしていたんですが••
ある日、突然会社がリストラになった
知らせを聞いて••』
彼女によると以前、
勤めていた会社が突然リストラにしてしまい、
そのストレスを彼女はぶつけていた。
『それ以来、妊娠した事を言えずにいて••
隠すしか方法はなかったんです.』
あまりにも辛すぎる体験だった。
亜矢は彼女の悲しそうな顔を見て
悲しそうに同感し始めた。
その日の夜、
亜矢は吉峰の悲しそうな顔が頭から離れ
られずにいた。
『彼女••本当に悲しそうだったな••』
『何があったの？』
『うん••今日担当した妊婦の事なんだけれど••
その患者さん、辛すぎる体験わ私に語って••』
『そうなの••』
『暴行を彼女に喰らわしたトラウマで
妊娠を告げなかったんだって••』
翌朝、吉峰の健診をしようとすると
ある光景が見られた。
『あれ••旦那さんと二人••何しているんだろ？』
『ごめんな、郁美。今までの事
全て謝る！許してくれ••!』
『正樹。そんな事も考えていたんだ••』
『これからは三人で力を合わせて頑張ろう。』
『うん。』
診察室
『あ！今日は旦那さんも？』
『はい。旦那も一緒に頑張るって言ったので
つれてきたんです。』
『いつも妻がお世話になります。先生。』
『あらあら！ずいぶんやる気で••!』
こうして二人の力は一つに。

そして予定日当日。
陣痛に苦しむ郁美を必死に支える正樹。
『あと少しです。
頑張ってください。』
『もう一踏ん張り！』
分娩室に新しい命が輝いた。
『よく頑張ったな！』
『ありがとう。』
『吉峰さんよく頑張りましたね••!』
『有難うございます。先生。』
そして亜矢は赤ちゃんを二人の元に連れて来た。
『か～わい～！誰に似てる？』
『やっぱり僕だね！』
『え～！でもこの二重、私に似てない？』
『そうか～？僕似なんじゃないか～？』
アハハハ••!
夫婦に満面の笑みが溢れた。
『僕のために頑張ってくれて有難う。』
『こちらこそ。
立ち会ってくれてありがとう！
正樹っ••!大好きっ！』
こうして二人は仲を取り戻した。
その光景を見ていた亜矢も思わず笑みが溢れた。

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