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第78話
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「あれ、そういやアニキはどうしたんだ?」
ようやくオカルト研究会の喫茶店に辿り着き、一息入れた5人。
メニューを見つつ隠れ処レトロカフェの雰囲気といつものマヨイガ装備や壇条学院制服とは違うクラシックメイド姿の3人、そして美味しそうなスイーツのメニューを堪能していた須田丸はマヨイガガールズメイドさん3人組と共に御鐵院家から借りて来た男性用正装でここにいるはずの探が居ない事に今更気づき、2テーブルしかない店内を見回す。
「HAHAHA、相変わらずの脳筋っぶりだねえナルカミノモノ君!! お客さんの君を除くオカルト研究会メンバーは4人、そして男女比は男1の女3だ。 この素敵なメイドお嬢さんたちが女性なのは明らかだろ?」
「ああ、そうだぜ?」
「じゃあ君はどうなんだい? 受付のメイドさん?」
ナルカミノミヤの指摘に受付スタンバイ中の黒ロングヘアな長身メイドさんはビクッと反応する。
「……んっ? そういやぁ……まさかとは思うが……」
「須田丸君、そこから先はアカン!! 企業トップシークレットやで!」
『神域結界生成』
ミズノミヤノミコトが呟いた瞬間、長方形のオカルト研究会部室全体をカバーする光の壁が出現。
「チノモノよ、これなら何人たりとも入れぬし聞かれぬぞよ。あまぁい茶菓子のつまみにその『とっぷしいくれっと』とやらを聞かせてもらおうかのう。……ほほほ」
ミズノミヤノミコトは神とは思えぬ妖しげな笑みを浮かべながら舌なめずりする。
「ご配慮ありがとうございます、ミズノミヤ様」
諸般の事情があってロングヘアのウイッグを被り、『茜が生徒会長権限で欠員補助として連れて来た壇条学院受験予定の親戚』に化けていた探。
壇条学院生全体でも上位10%に入る美少女・美香ちゃんと同等のクール系スーパーイケメンだとは分かっていたが女物のスカートなメイド服を違和感なく完璧に着こなし、堂々とクールに立ち振る舞うその様にお茶中の5人は驚嘆する。
「……かのヤマトタケルノミコト殿ではないが、実に似合っておるのう」
「ああ、私のようなゴリゴリ筋肉マンは真似できないな」
女性的とも言える中性的な顔立ちのイケメンである事は前々から分かっていたヒノミヤとチノミヤの二神。ウイッグを取っても尚ショートヘアメイドさんとして成り立つその美しさに2人は思わず見惚れてしまう。
「雲隠殿、一晩でよいからその衣装でわらわの祀り屋に来ぬか? 女神たるわらわ自ら極上の……」
「ミズノミヤ様、お待たせしました! ガトーショコラと紅茶のセットでございます!」
愛しの雲隠先輩を恋人たる自分の前で堂々と誘惑する女神の肉食系横恋慕に割り入った修羅の美香は口元だけにっこりと笑いつつ穏やかにお盆を置く。
「ナイスだミズノモノ……そして自業自得だよ、 ミズノミヤ殿。それはさておき、ヒノモノ君のその恰好はミズノモノ殿の趣味なのかな? それとも何かやむを得ぬ事情があるのかな?」
スジャータとコーヒーシロップをたっぷり入れたアイスコーヒーを吸うナルカミノミヤはオカルト研究会メンバーに問う。
「ああ、ナルカミノミヤ。昨日は学院関係者のみの公開日だったのは知ってるよな?
そしてオソロシ災難女の呉井がやっている喫茶店に怖いもの見たさで来た奴らがチャットアプリで雲隠に似合いすぎる執事服の事を拡散したようなんだ」
「それで昨日は学院生女子がここに押し寄せて某ネズミの王国も顔負けの大行列になると言う学園祭とは思えない異常事態になって……生徒会と学園祭実行委員会が総出で鎮圧したのよ」
「食材が無くなったのは補充できたからまだええんやけど……イケメン執事雲隠さんは女の子にもみくちゃにされ、第2ボタンはおろか上着のボタン類を全てむしり取られると言う惨劇に見舞われてなぁ。美香ちゃんが修羅の圧で黙らせたんも数回じゃ済まんかったんやで」
「へぇ、そうだったんだな……俺が居られなくてすまねえ。みんな」
須田丸はティーカップを手に取りつつ謝る。
「須田丸君が謝る事ちゃう。それで彼ピッピを弄ばれた美香ちゃんと同じぐらい激おこぷんぶん丸な生徒会と学園祭実行委員会により今回の件はオカルト研究会および雲隠さんの非ではないのは分かっているが明日は学院外のお客様も来るからトラブルは起こすなよ、ときつく言われておったんや……」
英里子はため息をつく。
「それで先輩も一緒に喫茶店を安全に続ける方法が無いかゴブガミ先生とも話し合った所、御鐵院さんが男性使用人制服とは別に用意していた先輩サイズのメイドさん服を先輩が着用して変装してもらう事になったんですけど……これが驚いた事に全くバレないんです。茜さん、ありがとうございます」
そのような物を用意していた意図はさておき、生徒会長権限で実行委員会と生徒会関係者を説き伏せてくれた茜に美香は感謝する。
(まあそうだろうなあ……今の雲隠君には五武神による幻惑の加護が一時的に与えられているようだし、あのカゼノミヤにしてグッジョブだな)
ナルカミノミヤは心の中で呟く。
「まあでもさ、俺としては久しぶりに母校に来れたしメイドアニキに会えてよかったぜ!
……華咲さん、見目麗しきメイドアニキとツーショット自撮りさせていただけないでしょうか?」
美香の本性を知っている須田丸は丁寧に問う。
「まあしょうがないわ……他ならぬ須田丸君だからいいわよ」
「ほな、ウチが撮っちゃるけん! 須田丸君に雲隠君、笑ってピースやで!」
須田丸のスマホを借りた英里子は2人にシャッターを切る。
【第79話に続く】
ようやくオカルト研究会の喫茶店に辿り着き、一息入れた5人。
メニューを見つつ隠れ処レトロカフェの雰囲気といつものマヨイガ装備や壇条学院制服とは違うクラシックメイド姿の3人、そして美味しそうなスイーツのメニューを堪能していた須田丸はマヨイガガールズメイドさん3人組と共に御鐵院家から借りて来た男性用正装でここにいるはずの探が居ない事に今更気づき、2テーブルしかない店内を見回す。
「HAHAHA、相変わらずの脳筋っぶりだねえナルカミノモノ君!! お客さんの君を除くオカルト研究会メンバーは4人、そして男女比は男1の女3だ。 この素敵なメイドお嬢さんたちが女性なのは明らかだろ?」
「ああ、そうだぜ?」
「じゃあ君はどうなんだい? 受付のメイドさん?」
ナルカミノミヤの指摘に受付スタンバイ中の黒ロングヘアな長身メイドさんはビクッと反応する。
「……んっ? そういやぁ……まさかとは思うが……」
「須田丸君、そこから先はアカン!! 企業トップシークレットやで!」
『神域結界生成』
ミズノミヤノミコトが呟いた瞬間、長方形のオカルト研究会部室全体をカバーする光の壁が出現。
「チノモノよ、これなら何人たりとも入れぬし聞かれぬぞよ。あまぁい茶菓子のつまみにその『とっぷしいくれっと』とやらを聞かせてもらおうかのう。……ほほほ」
ミズノミヤノミコトは神とは思えぬ妖しげな笑みを浮かべながら舌なめずりする。
「ご配慮ありがとうございます、ミズノミヤ様」
諸般の事情があってロングヘアのウイッグを被り、『茜が生徒会長権限で欠員補助として連れて来た壇条学院受験予定の親戚』に化けていた探。
壇条学院生全体でも上位10%に入る美少女・美香ちゃんと同等のクール系スーパーイケメンだとは分かっていたが女物のスカートなメイド服を違和感なく完璧に着こなし、堂々とクールに立ち振る舞うその様にお茶中の5人は驚嘆する。
「……かのヤマトタケルノミコト殿ではないが、実に似合っておるのう」
「ああ、私のようなゴリゴリ筋肉マンは真似できないな」
女性的とも言える中性的な顔立ちのイケメンである事は前々から分かっていたヒノミヤとチノミヤの二神。ウイッグを取っても尚ショートヘアメイドさんとして成り立つその美しさに2人は思わず見惚れてしまう。
「雲隠殿、一晩でよいからその衣装でわらわの祀り屋に来ぬか? 女神たるわらわ自ら極上の……」
「ミズノミヤ様、お待たせしました! ガトーショコラと紅茶のセットでございます!」
愛しの雲隠先輩を恋人たる自分の前で堂々と誘惑する女神の肉食系横恋慕に割り入った修羅の美香は口元だけにっこりと笑いつつ穏やかにお盆を置く。
「ナイスだミズノモノ……そして自業自得だよ、 ミズノミヤ殿。それはさておき、ヒノモノ君のその恰好はミズノモノ殿の趣味なのかな? それとも何かやむを得ぬ事情があるのかな?」
スジャータとコーヒーシロップをたっぷり入れたアイスコーヒーを吸うナルカミノミヤはオカルト研究会メンバーに問う。
「ああ、ナルカミノミヤ。昨日は学院関係者のみの公開日だったのは知ってるよな?
そしてオソロシ災難女の呉井がやっている喫茶店に怖いもの見たさで来た奴らがチャットアプリで雲隠に似合いすぎる執事服の事を拡散したようなんだ」
「それで昨日は学院生女子がここに押し寄せて某ネズミの王国も顔負けの大行列になると言う学園祭とは思えない異常事態になって……生徒会と学園祭実行委員会が総出で鎮圧したのよ」
「食材が無くなったのは補充できたからまだええんやけど……イケメン執事雲隠さんは女の子にもみくちゃにされ、第2ボタンはおろか上着のボタン類を全てむしり取られると言う惨劇に見舞われてなぁ。美香ちゃんが修羅の圧で黙らせたんも数回じゃ済まんかったんやで」
「へぇ、そうだったんだな……俺が居られなくてすまねえ。みんな」
須田丸はティーカップを手に取りつつ謝る。
「須田丸君が謝る事ちゃう。それで彼ピッピを弄ばれた美香ちゃんと同じぐらい激おこぷんぶん丸な生徒会と学園祭実行委員会により今回の件はオカルト研究会および雲隠さんの非ではないのは分かっているが明日は学院外のお客様も来るからトラブルは起こすなよ、ときつく言われておったんや……」
英里子はため息をつく。
「それで先輩も一緒に喫茶店を安全に続ける方法が無いかゴブガミ先生とも話し合った所、御鐵院さんが男性使用人制服とは別に用意していた先輩サイズのメイドさん服を先輩が着用して変装してもらう事になったんですけど……これが驚いた事に全くバレないんです。茜さん、ありがとうございます」
そのような物を用意していた意図はさておき、生徒会長権限で実行委員会と生徒会関係者を説き伏せてくれた茜に美香は感謝する。
(まあそうだろうなあ……今の雲隠君には五武神による幻惑の加護が一時的に与えられているようだし、あのカゼノミヤにしてグッジョブだな)
ナルカミノミヤは心の中で呟く。
「まあでもさ、俺としては久しぶりに母校に来れたしメイドアニキに会えてよかったぜ!
……華咲さん、見目麗しきメイドアニキとツーショット自撮りさせていただけないでしょうか?」
美香の本性を知っている須田丸は丁寧に問う。
「まあしょうがないわ……他ならぬ須田丸君だからいいわよ」
「ほな、ウチが撮っちゃるけん! 須田丸君に雲隠君、笑ってピースやで!」
須田丸のスマホを借りた英里子は2人にシャッターを切る。
【第79話に続く】
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