ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください!

千両文士

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第75話

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「さて、皆様……落ち着かれましたか?」
 四次元腰巻から白虎模様の敷物を取り出して草の上に敷いてオカルト研究会メンバーと姉を座らせ、続いて取り出したキャンプ用三脚ガスバーナーとケトル、水がなみなみと入った手桶と柄杓、ほうじ茶のティーバッグを用いて温かいほうじ茶を7人分滝れた式神ライはそれをゆっくりと飲む5人に聞く。
「ありがとう、ライさん。美味しいよ」
「まぁ、そんな……ありがとうございます、ヒノモノ様!」
 探の爽やかイケメンスマイルにライは思わず顔を赤らめる。
「雲隠さん、あんたも罪作りな男やねぇ…… 2人目はとにかく3人目はやめといた方がええよ」
「?」
 じいっと何か言いたげな眼で探を凝視する美香と茜。英里子の言わんとする事が分からない探は真顔で考え込む。
「ええと、ライさん。アンタさっきさ『話せることは無い』って百っていたけど……それってゴブガミに呪術的に口止めされてる的なサムシングなのか?」
 そんな空気の中、ほうじ茶を飲み終えた須田丸は式神姉妹に尋ねる。
「ナルカミノモノさん、そうじゃねぇんだ。そもそも論になっちまうけど……主が御自ら真の姿でお相手なさるのはアンタらが最初なんだよ」
「はいっ?」
 フウの予期せぬ回答に5人の疑間形構文が重なり合う。
「いや、初めてってどういう事なの? そもそも100チームぐらいがこの宮でゴブガミ先生に挑んで倒し、先に進んだんですよね?」
 美香は思考パニックのあまり急きこむように式神姉妹に問う。
「……ええミズノモノ様。試練に挑みし者がタメシヤノミコト様にカミイクサを挑むには通過点としてこの宮の試練を終えねばなりませぬ。しかしながらもののふ様、私はそれらのもののふ様方が戦った相手が主様であると一言でも申し上げましたでしょうか?」
「……ゴブガミじゃない? じゃあ誰と? ってまさか!!」
 謎かけのような婉曲的表現で2人が言わんとする事に気が付いた茜は、思わず目の前の式神姉妹を指さしてしまう。
「その通りでございます、カゼノモノ様。
 主はかつてチノミヤノミコト様と並ぶ能力を持つ武神として五武神長の座も打診された大いなる存在。その強大すぎる力故に宮主としてもののふと直接対決を禁じられてしまい、代わりに我ら2人が宮主代理として風乃宮の試練運営を任されたのでございます」
 宮の最深部を目指すもののふ達が行き詰まらないような浮島ルートの設定や、ほどほどの妨害行為、魔物の戦力配備……それらを全て2人で行っていたと言う情報と全てが繋がった茜は色々な意味で納得する。
「なるほどなぁ……あの戦闘力やべぇチノミヤさんと同等なら色んな意味で納得だわ」
「そう言えばチノミヤさん、人の姿でもノーダメだったんですよね……あの人があんな巨大な真の姿になったら私達どうなっちゃていたんでしょうか?」
「さあ、としか……でもごぉれむ相撲で良かったとしか言えない」
 仮にシン・ゴブガミを倒せたとしても最終カミイクサで待ち構えるタメシヤノミコトとはそれよりも強い。突如目の前に降ってわいた超えられそうにない二重の壁に5人の心が折れそうになる。

「まあまあ、そう悲観せずにさぁ……ポジティブに行こうよ、君達!!」
「主様!」「ゴブガミ先生!?」
 五武神としての白狩衣&烏帽子姿ではなくYシャツにネクタイ、スーツ上着とズボン姿で書類クリアーファイルを持った壇条学院歴史クラス教師の姿でセーフティルーム浮島に現れたゴブガミに7人は式神ライの大事なホワイトタイガー敷物にお茶をこぼしそうになる。
「君達が連日作戦会議を頑張ってボクに挑んでくれるのは嬉しいんだけどさぁ……『ゴブガミ立ち入り禁止!!』なんて意地悪な張り紙を部室ドアにしているせいで渡さなきゃいけない物も渡せないのよ?……もう時間があんまりないけど2週間後に迫ったこれの件、どうする?」
ゴブガミ顧間はクリアーファイルから取り出したプリントを5人に渡す。
『壇条学院祭部活動出店申請書:部活動出店枠』
「学園祭……そう言えばそんなのもありましたね!!」
 オカルト研究会が歴史研究会の部室乗っ取り状態から正式な部活動に昇格したのはつい数か月前。それにより得られた壇条学院学園祭への部活動枠出店権。
「へえ、ウチがこんなもんもらえる日が来るなんてなあ……長生きはしてみるもんやね!」
 英里子は(自称)反権威主義者である事も忘れて書類の質感と堅苦しい文言を一字一句愛でる。
「へえ、文化部はこういう申請を行うんすね……俺、運動部だったから初めて見るっすよ」
 元壇条学院生とは言え、ラグビー部所属だった須田丸は初めて見る書類を周回読みする。
「学園祭か……。ゴブガミ先生、悪いが私達にはもう時間がないから……」
「新入りヒラ部員の御鐵院くん! キミが資本主義の神だとしても決定権はオカルト研究会部長たるウチにあるんやで?」
「新入リヒラ!?」
 もはや矯正しようのない罵詈雑言女だと諦めてはいたが、予期せぬ新罵倒パワーワードに茜は言い返す言葉を失う。
「皆、今日のマヨイガダンジョンは終わりや! 各自お家に帰って明日までに学園祭の企画と出し物を考えてくること! ええな!」
「了解!!」

【第76話に続く】
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