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第61話
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迷処町、朝7時。壇条学院生で賑わうバス車内。
(今更だけど……私、マヨイガではほぼ裸の際どい恰好してたんだなぁ)
隣町からバスに乗って登校中に数日前のごおれむ相撲祝勝会の写真を見返していた美香はへそチラピチピチ衣装のラウンドガールマーメイド3人との記念撮影写真にセルフツッコミしてしまう。
(これで残るマヨイガダンジョンは2つ! 最後の1つである風の宮はとにかくとして雷の宮はすぐにボス部屋に入れる状態だし頑張らないと!)
ポジティブガール美香が兜の緒を締め直していたその時、スマホのチャットアプリ新着通知が入る。
「先輩からだわ……何ですって!! あっ、ごめんなさい。ついびっくりしちゃって……」
バス車内で思わず叫んでしまった美香は周囲に謝りつつチャット開始する。
……それからしばらくして、壇条学院高等部1年B組教室。
「美香ちゃん、良かったなぁ……バカは風邪ひかんっちゅうやろ? 雲隠さんが風邪ひけたっちゅうことはアンタの玉の輿系彼ピッピが天に二物を与えられたインテリイケメンっちゅう動かぬ証拠やで?」
美香と同じくグループチャットで探から風邪をひいて39度の熱が出ていると連絡を受けていた英里子は朝食のBIG焼きそばパンを頬張りつつ美香に言う。
「英里子ちゃん、今のは親友の情けで聞かなかった事にしてあげるけど……次は教室の窓から突き落とすからね?」
「あっ、はい。すみませんでした」
修羅の圧を感じ取った英里子は焼きそばパンを呑み込む。
「どうしよう、先輩アパートで一人暮らしだって言ってたし……お母さまやお父様に助けを求めたとも言ってないし…… 39度の熱だなんて……常備薬とかあるのかしら?
お水はあるのかしら?」
「……」
机に突っ伏して起こりうる最悪の事態に思考を巡らす美香を前に焼きそばパンを食べ終えた英里子は無言でスマホ操作する。
「先輩!?」
しばらくして、チャット着信音に気が付いた美香は飛び起きてスマホを掴む。
『華咲さん、今日は午前早退にしていいぞ』
『1-B組の担任にはゴブガミと私から話を通しておいた』
『生徒会長として申請書類は代筆しておくから早く雲隠の所に行ってやれ』
『須田丸がバイクで学院前まで迎えに来てくれるらしい。乗せてもらえ』
『ちなみに探は桃缶に無糖ヨーグルトをかけるのが好みだ、今後の為に覚えておけ』
「茜さん……」
オカルト研究会仲間の優しさに胸が熱くなった美香は目の前でスマホゲームを始めた英里子に目をやる。
「英里子ちゃん、さっきは乱暴な事言ってごめんね! 今度お礼するから!」
「ウチも言いすぎたからイーブンや。それより早う彼ピッピの所へ行かんと干からびてまうで?」
「うんっ!」
鞄を掴んだ美香はすぐに教室を出て行く。
迷処町内にあるアパート1室。
「げほっ、げほっ、39度3分……まだ効かないみたいだな」
風邪薬を飲み、冷え冷えシートを額に貼って安静にしていた探は体温計の数値を裏紙にメモしつつ咳き込む。
「とりあえず何か食べて飲まないと。アルミパウチお粥は……ええと」
ベッドから立ち上がった探が毛布を全身に巻いて寒気に対抗しつつ、台所に向かおうとしたその時、インターホンが鳴る。
「……誰だ? 華咲さん!? どうしてここに?」
壇条学院制服姿で紙袋を持って扉前に立つマスク装着済み美香に探は慌てて玄関に向かう。
「先輩! 大丈夫そうで何よりです!」
桃缶と無糖ヨーグルトにスポーッドリンクのペットボトル、薬類。
そしてお粥レトルトパウチとアルミ鍋焼きうどんにその他もろもろの食べ物が入った袋を持ったマスク美香はにっこりと微笑む。
「美香さん、大荷物で来てくれたんだね。ありがとう……」
「須田丸君がここまでバイクに乗せてくれたんです! ただ、ピンポンする直前に仲間がゲームセンターで余所のヤンキー集団と乱闘してるって連絡が入っちやって…… 1時間ぐらいで喧嘩両成敗して戻ってくるって言ってました!」
「はは、そうなんだ。須田丸君にも今度お礼をしておかないと……ゲホッ、ゲホッ!」
マスクをしていなかった探は慌てて毛布の端で口を覆う。
「先輩、無理しちゃだめですよ! とりあえず入っても……いいですか?」
「ああ、はい。どうぞ」
パジャマ姿の探は美香をアパートに招き入れる。
【第62話に続く】
(今更だけど……私、マヨイガではほぼ裸の際どい恰好してたんだなぁ)
隣町からバスに乗って登校中に数日前のごおれむ相撲祝勝会の写真を見返していた美香はへそチラピチピチ衣装のラウンドガールマーメイド3人との記念撮影写真にセルフツッコミしてしまう。
(これで残るマヨイガダンジョンは2つ! 最後の1つである風の宮はとにかくとして雷の宮はすぐにボス部屋に入れる状態だし頑張らないと!)
ポジティブガール美香が兜の緒を締め直していたその時、スマホのチャットアプリ新着通知が入る。
「先輩からだわ……何ですって!! あっ、ごめんなさい。ついびっくりしちゃって……」
バス車内で思わず叫んでしまった美香は周囲に謝りつつチャット開始する。
……それからしばらくして、壇条学院高等部1年B組教室。
「美香ちゃん、良かったなぁ……バカは風邪ひかんっちゅうやろ? 雲隠さんが風邪ひけたっちゅうことはアンタの玉の輿系彼ピッピが天に二物を与えられたインテリイケメンっちゅう動かぬ証拠やで?」
美香と同じくグループチャットで探から風邪をひいて39度の熱が出ていると連絡を受けていた英里子は朝食のBIG焼きそばパンを頬張りつつ美香に言う。
「英里子ちゃん、今のは親友の情けで聞かなかった事にしてあげるけど……次は教室の窓から突き落とすからね?」
「あっ、はい。すみませんでした」
修羅の圧を感じ取った英里子は焼きそばパンを呑み込む。
「どうしよう、先輩アパートで一人暮らしだって言ってたし……お母さまやお父様に助けを求めたとも言ってないし…… 39度の熱だなんて……常備薬とかあるのかしら?
お水はあるのかしら?」
「……」
机に突っ伏して起こりうる最悪の事態に思考を巡らす美香を前に焼きそばパンを食べ終えた英里子は無言でスマホ操作する。
「先輩!?」
しばらくして、チャット着信音に気が付いた美香は飛び起きてスマホを掴む。
『華咲さん、今日は午前早退にしていいぞ』
『1-B組の担任にはゴブガミと私から話を通しておいた』
『生徒会長として申請書類は代筆しておくから早く雲隠の所に行ってやれ』
『須田丸がバイクで学院前まで迎えに来てくれるらしい。乗せてもらえ』
『ちなみに探は桃缶に無糖ヨーグルトをかけるのが好みだ、今後の為に覚えておけ』
「茜さん……」
オカルト研究会仲間の優しさに胸が熱くなった美香は目の前でスマホゲームを始めた英里子に目をやる。
「英里子ちゃん、さっきは乱暴な事言ってごめんね! 今度お礼するから!」
「ウチも言いすぎたからイーブンや。それより早う彼ピッピの所へ行かんと干からびてまうで?」
「うんっ!」
鞄を掴んだ美香はすぐに教室を出て行く。
迷処町内にあるアパート1室。
「げほっ、げほっ、39度3分……まだ効かないみたいだな」
風邪薬を飲み、冷え冷えシートを額に貼って安静にしていた探は体温計の数値を裏紙にメモしつつ咳き込む。
「とりあえず何か食べて飲まないと。アルミパウチお粥は……ええと」
ベッドから立ち上がった探が毛布を全身に巻いて寒気に対抗しつつ、台所に向かおうとしたその時、インターホンが鳴る。
「……誰だ? 華咲さん!? どうしてここに?」
壇条学院制服姿で紙袋を持って扉前に立つマスク装着済み美香に探は慌てて玄関に向かう。
「先輩! 大丈夫そうで何よりです!」
桃缶と無糖ヨーグルトにスポーッドリンクのペットボトル、薬類。
そしてお粥レトルトパウチとアルミ鍋焼きうどんにその他もろもろの食べ物が入った袋を持ったマスク美香はにっこりと微笑む。
「美香さん、大荷物で来てくれたんだね。ありがとう……」
「須田丸君がここまでバイクに乗せてくれたんです! ただ、ピンポンする直前に仲間がゲームセンターで余所のヤンキー集団と乱闘してるって連絡が入っちやって…… 1時間ぐらいで喧嘩両成敗して戻ってくるって言ってました!」
「はは、そうなんだ。須田丸君にも今度お礼をしておかないと……ゲホッ、ゲホッ!」
マスクをしていなかった探は慌てて毛布の端で口を覆う。
「先輩、無理しちゃだめですよ! とりあえず入っても……いいですか?」
「ああ、はい。どうぞ」
パジャマ姿の探は美香をアパートに招き入れる。
【第62話に続く】
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