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第54話
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英里子の宣戦布告から数日後、マヨイガダンジョン地乃宮。その最深部にして主が鎮座する地神ノ間。
もののふとチノミヤが各々のマヨイガエレメント能力で物マヨイガエイプ、そして鳴神乃宮から修復招集された人型機械魔物デストロイメン軍団が開始時刻を今か今かと待っていた。
『レデイース・エーンド・ジェントルメン……待たせたなぁ!!』
『カミイクサ開始時刻が来たぞぉ!』
「うおおおお!!」「ウッキィィィ!!」「ハヤクハジメロ!! ハヤクハジメロ!!」
五武神ミズノミヤに実況司会者を任された上半身裸に蝶ネクタイをつけた人魚族のお祭り男、ガンモとサツマに3種族は大歓声で応える。
『まずは我らが五武神、チノミヤ様ご入場!』
照明が落とされた会場、唯一ライトアップされた東の入場ゲートから出て来たのは4体の人型ゴーレムの担ぐ輿の上に腕を組んで立ち、威風堂々と構えた五武神チノミヤだ。
「ゥッキィ!」「ゥキキキィィ!!」
主の勇姿に興奮したマヨイガエイプ達は手を打ち鳴らす
『おおっと、地乃宮の主でありながらその輿を担ぐのが眷族たるマヨイガエイプではない? ここは試合解説担当にお聞きしましょう。』
『ヒノミヤ様、ゼド村長。よろしくお願いします!』
ガンモとサツマは実況解説席に座る白狩衣&烏帽子の正装な老五武神・ヒノミヤと人魚族の長・ゼドにマイクをゆだねる。
『私が思うにあれは敢えてそうしたのだろう』
『ゼドの言う通りじゃな……儂も五武神として多くのもののふと手合わせしてきたが、石傀儡を作って戦う者は殆ど見たことがない。ましてや今回のチノモノのように巨大な人型石愧儡を作ってそれに乗り込むのは我々も前代未間の戦術……それはチノモノとて同じはずだ』
『つまリヒノミヤ殿も今回のカミイクサは予測がつかない、そういう事でございますか?』
『うむ、あれはあやつなりにごぉれむの扱いをますたぁしたと言う対戦相手に対する挑発あぴぃるなのであろうな……ふおふおふお、げほっ、げほぉっ!』
長台詞でむせこんだヒノミヤ翁は慌てて水を飲む。
『これは面白い展開となりそうです! さあ、続きましては……神に挑まんとするもののふ。
壇条学院、オカルト研究会マヨイガ探索隊チームの入場です』
「もののふ様方ぁ!」「お久しぶりです!」「ウッキイ!」「ミズノモノ……ハダカワイイ!」
「ミズノモノ、オレノヨメ!」
再び照明が落とされた会場、ライトアップされた西の入場ゲートから勇壮なBGMと共に入場して来たのは雲隠リーダーを先頭にした5人のマヨイガ紋を持つもののふ達。英里子が入場BGMに指定した『愛を取り戻せ!!』を初めて聞く異世界の住人は勇壮な音楽に大歓喜する。
「数日待ってくれ言うから何かと思えば……随分な祭りに仕立てあげたんやねぇ?」
『ROUND ONE READY』と書かれたプラカードを掲げたマーメイドラウンドガール・ツミレが腰と尾びれをくねらせながら土俵リングを周回するのを見守りつつ、五武神と対峙する英里子は挑発する。
「ふむ、ミズノミヤにデーモングッソーの件で水乃宮の再建工事を頑張っている人魚族にリフレッシュ娯楽休暇を与えたいと相談されたのでこの件を話してみたのだが……まさか地乃宮に住まうわが眷族たるマヨイガエイプのみならずナルカミノミヤとその眷族たるデストロイメン軍団まで大挙して観戦に来るとは思っていなかった」
「まあええやろ。これだけ揃えばウチらも色々考えて来たかいがあると言うものや。せやろ? 雲隠リーダー」
「ああ、そうだな……チノミヤ殿、悪いがこの勝負勝たせてもらう」
「ふふっ、そうでなくてはな。私も負けてやる気はない」
もののふ5人のリーダー、探の覚悟に応えるべくチノミヤはにやりと笑う。
『おおっと、これは熱い! どっちも譲る気はないようだなぁ?』
『さあ両者、ゴーレム搭乗願います!』
「うぉぉぉぉ!!」
チノミヤの神力に引き寄せられた数多の大岩はその高い魔力でがっちりと結合し、10数メートル四方程度の人型を形成。最終的に足腰ががっしりとしたゴリマッチョ型に仕上がっていく様に観客は目が釘付けになる。
『うぉぉ、でけぇ! 流石は五武神様、クールだぜ!』
『もののふ方のゴーレムは……どういう事でしょうか?』
チノミヤ英里子以外の4人はただ立っているだけで何もせず、その英里子が召喚搭乗したゴーレムも空飛ぶ円盤を縦にしたような直径5メートル程度の丸いボディに手足が付いただけの代物。
この舐めきった行為に戸惑う人魚族ゾーンを除く観客席からブーイングの嵐が飛んでくる。
『それで挑もうとは……何を考えている?』
『誰がコレだけで挑むと言うた? これはコアユニットやで』
4人のもののふとゴーレム搭乗済み英里子はブーイングも気にせず平然と言い返す。
『コアユニット…… ? ゼド殿、ヒノミヤ殿、何かご存知ですか?』
謎のカタカナ用語に戸惑うガンモとサツマは解説担当に話を振る。
『儂もそのような横文字は知らぬ……ゼドよ、そなたはどう思う?』
『なるほど、そう来るか……英里子殿らしい奇策だな!』
周囲とは対照的に全てを察したゼド村長は黙ってうなずく。
【第55話に続く】
もののふとチノミヤが各々のマヨイガエレメント能力で物マヨイガエイプ、そして鳴神乃宮から修復招集された人型機械魔物デストロイメン軍団が開始時刻を今か今かと待っていた。
『レデイース・エーンド・ジェントルメン……待たせたなぁ!!』
『カミイクサ開始時刻が来たぞぉ!』
「うおおおお!!」「ウッキィィィ!!」「ハヤクハジメロ!! ハヤクハジメロ!!」
五武神ミズノミヤに実況司会者を任された上半身裸に蝶ネクタイをつけた人魚族のお祭り男、ガンモとサツマに3種族は大歓声で応える。
『まずは我らが五武神、チノミヤ様ご入場!』
照明が落とされた会場、唯一ライトアップされた東の入場ゲートから出て来たのは4体の人型ゴーレムの担ぐ輿の上に腕を組んで立ち、威風堂々と構えた五武神チノミヤだ。
「ゥッキィ!」「ゥキキキィィ!!」
主の勇姿に興奮したマヨイガエイプ達は手を打ち鳴らす
『おおっと、地乃宮の主でありながらその輿を担ぐのが眷族たるマヨイガエイプではない? ここは試合解説担当にお聞きしましょう。』
『ヒノミヤ様、ゼド村長。よろしくお願いします!』
ガンモとサツマは実況解説席に座る白狩衣&烏帽子の正装な老五武神・ヒノミヤと人魚族の長・ゼドにマイクをゆだねる。
『私が思うにあれは敢えてそうしたのだろう』
『ゼドの言う通りじゃな……儂も五武神として多くのもののふと手合わせしてきたが、石傀儡を作って戦う者は殆ど見たことがない。ましてや今回のチノモノのように巨大な人型石愧儡を作ってそれに乗り込むのは我々も前代未間の戦術……それはチノモノとて同じはずだ』
『つまリヒノミヤ殿も今回のカミイクサは予測がつかない、そういう事でございますか?』
『うむ、あれはあやつなりにごぉれむの扱いをますたぁしたと言う対戦相手に対する挑発あぴぃるなのであろうな……ふおふおふお、げほっ、げほぉっ!』
長台詞でむせこんだヒノミヤ翁は慌てて水を飲む。
『これは面白い展開となりそうです! さあ、続きましては……神に挑まんとするもののふ。
壇条学院、オカルト研究会マヨイガ探索隊チームの入場です』
「もののふ様方ぁ!」「お久しぶりです!」「ウッキイ!」「ミズノモノ……ハダカワイイ!」
「ミズノモノ、オレノヨメ!」
再び照明が落とされた会場、ライトアップされた西の入場ゲートから勇壮なBGMと共に入場して来たのは雲隠リーダーを先頭にした5人のマヨイガ紋を持つもののふ達。英里子が入場BGMに指定した『愛を取り戻せ!!』を初めて聞く異世界の住人は勇壮な音楽に大歓喜する。
「数日待ってくれ言うから何かと思えば……随分な祭りに仕立てあげたんやねぇ?」
『ROUND ONE READY』と書かれたプラカードを掲げたマーメイドラウンドガール・ツミレが腰と尾びれをくねらせながら土俵リングを周回するのを見守りつつ、五武神と対峙する英里子は挑発する。
「ふむ、ミズノミヤにデーモングッソーの件で水乃宮の再建工事を頑張っている人魚族にリフレッシュ娯楽休暇を与えたいと相談されたのでこの件を話してみたのだが……まさか地乃宮に住まうわが眷族たるマヨイガエイプのみならずナルカミノミヤとその眷族たるデストロイメン軍団まで大挙して観戦に来るとは思っていなかった」
「まあええやろ。これだけ揃えばウチらも色々考えて来たかいがあると言うものや。せやろ? 雲隠リーダー」
「ああ、そうだな……チノミヤ殿、悪いがこの勝負勝たせてもらう」
「ふふっ、そうでなくてはな。私も負けてやる気はない」
もののふ5人のリーダー、探の覚悟に応えるべくチノミヤはにやりと笑う。
『おおっと、これは熱い! どっちも譲る気はないようだなぁ?』
『さあ両者、ゴーレム搭乗願います!』
「うぉぉぉぉ!!」
チノミヤの神力に引き寄せられた数多の大岩はその高い魔力でがっちりと結合し、10数メートル四方程度の人型を形成。最終的に足腰ががっしりとしたゴリマッチョ型に仕上がっていく様に観客は目が釘付けになる。
『うぉぉ、でけぇ! 流石は五武神様、クールだぜ!』
『もののふ方のゴーレムは……どういう事でしょうか?』
チノミヤ英里子以外の4人はただ立っているだけで何もせず、その英里子が召喚搭乗したゴーレムも空飛ぶ円盤を縦にしたような直径5メートル程度の丸いボディに手足が付いただけの代物。
この舐めきった行為に戸惑う人魚族ゾーンを除く観客席からブーイングの嵐が飛んでくる。
『それで挑もうとは……何を考えている?』
『誰がコレだけで挑むと言うた? これはコアユニットやで』
4人のもののふとゴーレム搭乗済み英里子はブーイングも気にせず平然と言い返す。
『コアユニット…… ? ゼド殿、ヒノミヤ殿、何かご存知ですか?』
謎のカタカナ用語に戸惑うガンモとサツマは解説担当に話を振る。
『儂もそのような横文字は知らぬ……ゼドよ、そなたはどう思う?』
『なるほど、そう来るか……英里子殿らしい奇策だな!』
周囲とは対照的に全てを察したゼド村長は黙ってうなずく。
【第55話に続く】
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