ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください!

千両文士

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第49話

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「よく来たな、もののふ等よ」
『地ノ神』の間、尖った岩の上で胡坐をかき、糸閉じ和装本を読んでいた地乃宮の主にして五武神の一角・チノミヤは袖内に本をしまう。
「……」
「さて、君たちがこんなに早くここに来たという事はその智策で何か私に勝てる可能性を見出したのか……はたまた全滅セーフティールーム強制帰還前提なのか?」
 鍾乳石から飛び降り、地面に着地したチノミヤは無言で対峙する5人を見回す。
「まあそんなことはどうでもいい。とにかく全力でかかってこい、以上だ」
 チノミヤは体術の構えを取る。

『氷柱ノ匣(フローズンコフィン!)』
 敵を覆うように上下左右前後を覆うように英里子と美香がマヨイガエレメント合体技で生成したされた氷と岩の混合壁は瞬時にその角々で結合して文字通りの箱となってチノミヤを閉じ込める。
「ぐっ! このっ!」
 脱出しようと中でガンガン大暴れする五武神を2人は協力して抑え込む。
「茜、ぶち抜いたれ!」
 英里子は後ろで立ち膝フォームで大弓を構え、ハイパワード強化済みの全身力で弦を引いて射出カウントダウン中の茜に叫ぶ。
「ああ、2人共感謝するぞ! 雲隠、須田丸!」
『エレメントプラス・ファイア!』『エレメントプラス・サンダー!』
『トリプルエレメントショット!!』
 エレメントプラス・ウインドにファイアとサンダーを上乗せした3種類のマヨイガエレメントの力で最大強化された魔力矢は敵を閉じ込めた匣めがけて一直線に放たれる。

「ぬぅん!!」
 まさにそれが突き刺さろうとしたその時、拘束壁を中から破壊して突き出て来た筋骨隆々の腕。
 その岩のような手に掴まれた茜の矢はそのまま運動エネルギーとマヨイガエレメントを相殺されて完全に止められてしまう。
「うむ、『敵の動きを止めて大技で仕留める』のはそなたらの十八番であったな。
 敵の手がわからぬのであれば最も得意とする戦法で早期決着をつける……兵法の基本を分かっているではないか」
 マヨイガエレメントや神の力でもない『筋肉』だけで茜の攻撃を止め『氷柱ノ匣(フローズンコフィン)』を内部からバラバラにして出てくる五武神に5人は本能的恐怖のあまり動く事すらできない。
「せめてもの情け、一撃で終わらせてやろう」
 脇をしめ、両手を開いて正面に構えたチノミヤは地面を蹴る。

『ヴォルトアクセラート!!』
 それが茜と自身の腹部を狙った失神腹パンだと察した須田丸はすぐに加速して特攻迎撃。
 その手を掴んで組み止める。
「ふむ、いい動きだな……ナルカミノモノ」
 須田丸の勘と動きにもののふとしての筋を感じ取ったチノモノはにやりと笑う。
「ありがとよ、おっさん」
 喧嘩と喧嘩と喧嘩しかないヤンキー高校生活で体得した喧嘩勘を褒められた須田丸もニヤリと笑いかえす。
「そなたらの十八番にはまったようだが……ここからどう来るつもりかな?」
 この後はおそらくその他4人がマヨイガエレメントや武具の遠距離攻撃で来る。そう予測しつつ押し合いの感覚で須田丸がハイパワード込みでギリギリ対等だと既に見抜いていたチノミヤはいざとなればぶん投げて同士討ちさせるつもりでタイミングを図る。
「タタラ、ありがとな」
「何っ!?」
 須田丸のデストロイメイル、胸部辺りに一定間隔で配置された直径数センチ程の筒。
 五武神はそこにマヨイガエレメント・サンダーのエネルギーが溜められていた事にようやく気が付く。
『デストロイバルカン!!』
 かつて半機械魔物・デストロイメンの左腕に内蔵されていた超電磁エネルギー機関砲。
 デストロイメイル胸部にそのまま組み込まれたそれは五武神に超電磁エネルギー弾を至近距離乱射でお見舞いする。
「ぐぁぁぁぁ!」
 流石の筋肉でも高圧縮されたマヨイガエレメント・サンダーの超電磁エネルギー弾を至近距離で打ち込まれてはノーダメージで済むわけが無く、バックジャンプですぐに距離を取った五武神は胸を押さえて苦しむ。
「兄貴ぃ!」
「ああ! 『ヒートオーバードライブ!!』」
 当初は『基本は手の内を探る様子見だがもしチャンスが来たら本気で行く』と決めていた5人。
 これを倒せる可能性のあるチャンスと判断した探と須田丸は本気でかかる。
「行くぞぉぉぉ!『ブレイズラッシュ!!』」
「オララララララララララララララオラララァッ!!」
「スダスダスダスダスダスダスダダダダダダダァ!!」
 ヒートオーバードライブ状態で青炎を両手に纏わせた探の火炎拳乱撃とヴォルトアクセラート超加速状態の須田丸ヘヴィパンチラッシュ。二大攻撃特化型のマヨイガエレメント使用者による最高速度ラッシュ共闘は五武神に一方的なダメージを与えていく。

【第50話に続く】
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