49 / 94
第49話
しおりを挟む
「よく来たな、もののふ等よ」
『地ノ神』の間、尖った岩の上で胡坐をかき、糸閉じ和装本を読んでいた地乃宮の主にして五武神の一角・チノミヤは袖内に本をしまう。
「……」
「さて、君たちがこんなに早くここに来たという事はその智策で何か私に勝てる可能性を見出したのか……はたまた全滅セーフティールーム強制帰還前提なのか?」
鍾乳石から飛び降り、地面に着地したチノミヤは無言で対峙する5人を見回す。
「まあそんなことはどうでもいい。とにかく全力でかかってこい、以上だ」
チノミヤは体術の構えを取る。
『氷柱ノ匣(フローズンコフィン!)』
敵を覆うように上下左右前後を覆うように英里子と美香がマヨイガエレメント合体技で生成したされた氷と岩の混合壁は瞬時にその角々で結合して文字通りの箱となってチノミヤを閉じ込める。
「ぐっ! このっ!」
脱出しようと中でガンガン大暴れする五武神を2人は協力して抑え込む。
「茜、ぶち抜いたれ!」
英里子は後ろで立ち膝フォームで大弓を構え、ハイパワード強化済みの全身力で弦を引いて射出カウントダウン中の茜に叫ぶ。
「ああ、2人共感謝するぞ! 雲隠、須田丸!」
『エレメントプラス・ファイア!』『エレメントプラス・サンダー!』
『トリプルエレメントショット!!』
エレメントプラス・ウインドにファイアとサンダーを上乗せした3種類のマヨイガエレメントの力で最大強化された魔力矢は敵を閉じ込めた匣めがけて一直線に放たれる。
「ぬぅん!!」
まさにそれが突き刺さろうとしたその時、拘束壁を中から破壊して突き出て来た筋骨隆々の腕。
その岩のような手に掴まれた茜の矢はそのまま運動エネルギーとマヨイガエレメントを相殺されて完全に止められてしまう。
「うむ、『敵の動きを止めて大技で仕留める』のはそなたらの十八番であったな。
敵の手がわからぬのであれば最も得意とする戦法で早期決着をつける……兵法の基本を分かっているではないか」
マヨイガエレメントや神の力でもない『筋肉』だけで茜の攻撃を止め『氷柱ノ匣(フローズンコフィン)』を内部からバラバラにして出てくる五武神に5人は本能的恐怖のあまり動く事すらできない。
「せめてもの情け、一撃で終わらせてやろう」
脇をしめ、両手を開いて正面に構えたチノミヤは地面を蹴る。
『ヴォルトアクセラート!!』
それが茜と自身の腹部を狙った失神腹パンだと察した須田丸はすぐに加速して特攻迎撃。
その手を掴んで組み止める。
「ふむ、いい動きだな……ナルカミノモノ」
須田丸の勘と動きにもののふとしての筋を感じ取ったチノモノはにやりと笑う。
「ありがとよ、おっさん」
喧嘩と喧嘩と喧嘩しかないヤンキー高校生活で体得した喧嘩勘を褒められた須田丸もニヤリと笑いかえす。
「そなたらの十八番にはまったようだが……ここからどう来るつもりかな?」
この後はおそらくその他4人がマヨイガエレメントや武具の遠距離攻撃で来る。そう予測しつつ押し合いの感覚で須田丸がハイパワード込みでギリギリ対等だと既に見抜いていたチノミヤはいざとなればぶん投げて同士討ちさせるつもりでタイミングを図る。
「タタラ、ありがとな」
「何っ!?」
須田丸のデストロイメイル、胸部辺りに一定間隔で配置された直径数センチ程の筒。
五武神はそこにマヨイガエレメント・サンダーのエネルギーが溜められていた事にようやく気が付く。
『デストロイバルカン!!』
かつて半機械魔物・デストロイメンの左腕に内蔵されていた超電磁エネルギー機関砲。
デストロイメイル胸部にそのまま組み込まれたそれは五武神に超電磁エネルギー弾を至近距離乱射でお見舞いする。
「ぐぁぁぁぁ!」
流石の筋肉でも高圧縮されたマヨイガエレメント・サンダーの超電磁エネルギー弾を至近距離で打ち込まれてはノーダメージで済むわけが無く、バックジャンプですぐに距離を取った五武神は胸を押さえて苦しむ。
「兄貴ぃ!」
「ああ! 『ヒートオーバードライブ!!』」
当初は『基本は手の内を探る様子見だがもしチャンスが来たら本気で行く』と決めていた5人。
これを倒せる可能性のあるチャンスと判断した探と須田丸は本気でかかる。
「行くぞぉぉぉ!『ブレイズラッシュ!!』」
「オララララララララララララララオラララァッ!!」
「スダスダスダスダスダスダスダダダダダダダァ!!」
ヒートオーバードライブ状態で青炎を両手に纏わせた探の火炎拳乱撃とヴォルトアクセラート超加速状態の須田丸ヘヴィパンチラッシュ。二大攻撃特化型のマヨイガエレメント使用者による最高速度ラッシュ共闘は五武神に一方的なダメージを与えていく。
【第50話に続く】
『地ノ神』の間、尖った岩の上で胡坐をかき、糸閉じ和装本を読んでいた地乃宮の主にして五武神の一角・チノミヤは袖内に本をしまう。
「……」
「さて、君たちがこんなに早くここに来たという事はその智策で何か私に勝てる可能性を見出したのか……はたまた全滅セーフティールーム強制帰還前提なのか?」
鍾乳石から飛び降り、地面に着地したチノミヤは無言で対峙する5人を見回す。
「まあそんなことはどうでもいい。とにかく全力でかかってこい、以上だ」
チノミヤは体術の構えを取る。
『氷柱ノ匣(フローズンコフィン!)』
敵を覆うように上下左右前後を覆うように英里子と美香がマヨイガエレメント合体技で生成したされた氷と岩の混合壁は瞬時にその角々で結合して文字通りの箱となってチノミヤを閉じ込める。
「ぐっ! このっ!」
脱出しようと中でガンガン大暴れする五武神を2人は協力して抑え込む。
「茜、ぶち抜いたれ!」
英里子は後ろで立ち膝フォームで大弓を構え、ハイパワード強化済みの全身力で弦を引いて射出カウントダウン中の茜に叫ぶ。
「ああ、2人共感謝するぞ! 雲隠、須田丸!」
『エレメントプラス・ファイア!』『エレメントプラス・サンダー!』
『トリプルエレメントショット!!』
エレメントプラス・ウインドにファイアとサンダーを上乗せした3種類のマヨイガエレメントの力で最大強化された魔力矢は敵を閉じ込めた匣めがけて一直線に放たれる。
「ぬぅん!!」
まさにそれが突き刺さろうとしたその時、拘束壁を中から破壊して突き出て来た筋骨隆々の腕。
その岩のような手に掴まれた茜の矢はそのまま運動エネルギーとマヨイガエレメントを相殺されて完全に止められてしまう。
「うむ、『敵の動きを止めて大技で仕留める』のはそなたらの十八番であったな。
敵の手がわからぬのであれば最も得意とする戦法で早期決着をつける……兵法の基本を分かっているではないか」
マヨイガエレメントや神の力でもない『筋肉』だけで茜の攻撃を止め『氷柱ノ匣(フローズンコフィン)』を内部からバラバラにして出てくる五武神に5人は本能的恐怖のあまり動く事すらできない。
「せめてもの情け、一撃で終わらせてやろう」
脇をしめ、両手を開いて正面に構えたチノミヤは地面を蹴る。
『ヴォルトアクセラート!!』
それが茜と自身の腹部を狙った失神腹パンだと察した須田丸はすぐに加速して特攻迎撃。
その手を掴んで組み止める。
「ふむ、いい動きだな……ナルカミノモノ」
須田丸の勘と動きにもののふとしての筋を感じ取ったチノモノはにやりと笑う。
「ありがとよ、おっさん」
喧嘩と喧嘩と喧嘩しかないヤンキー高校生活で体得した喧嘩勘を褒められた須田丸もニヤリと笑いかえす。
「そなたらの十八番にはまったようだが……ここからどう来るつもりかな?」
この後はおそらくその他4人がマヨイガエレメントや武具の遠距離攻撃で来る。そう予測しつつ押し合いの感覚で須田丸がハイパワード込みでギリギリ対等だと既に見抜いていたチノミヤはいざとなればぶん投げて同士討ちさせるつもりでタイミングを図る。
「タタラ、ありがとな」
「何っ!?」
須田丸のデストロイメイル、胸部辺りに一定間隔で配置された直径数センチ程の筒。
五武神はそこにマヨイガエレメント・サンダーのエネルギーが溜められていた事にようやく気が付く。
『デストロイバルカン!!』
かつて半機械魔物・デストロイメンの左腕に内蔵されていた超電磁エネルギー機関砲。
デストロイメイル胸部にそのまま組み込まれたそれは五武神に超電磁エネルギー弾を至近距離乱射でお見舞いする。
「ぐぁぁぁぁ!」
流石の筋肉でも高圧縮されたマヨイガエレメント・サンダーの超電磁エネルギー弾を至近距離で打ち込まれてはノーダメージで済むわけが無く、バックジャンプですぐに距離を取った五武神は胸を押さえて苦しむ。
「兄貴ぃ!」
「ああ! 『ヒートオーバードライブ!!』」
当初は『基本は手の内を探る様子見だがもしチャンスが来たら本気で行く』と決めていた5人。
これを倒せる可能性のあるチャンスと判断した探と須田丸は本気でかかる。
「行くぞぉぉぉ!『ブレイズラッシュ!!』」
「オララララララララララララララオラララァッ!!」
「スダスダスダスダスダスダスダダダダダダダァ!!」
ヒートオーバードライブ状態で青炎を両手に纏わせた探の火炎拳乱撃とヴォルトアクセラート超加速状態の須田丸ヘヴィパンチラッシュ。二大攻撃特化型のマヨイガエレメント使用者による最高速度ラッシュ共闘は五武神に一方的なダメージを与えていく。
【第50話に続く】
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる