ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください!

千両文士

文字の大きさ
上 下
46 / 94

第46話

しおりを挟む
 鳴神乃宮、肆の回廊。
『デストロイキャノン』
 背丈2メートル以上はある骸骨のような見た目をした半機械魔物・デストロイメンは右腕に内蔵された超電磁砲エネルギー充填開始。4人のもののふにその砲門を向ける。
『ウィンドボール!』
『エレメントプラス・ファイア!』
 茜が射出したマヨイガエレメントの葉巻型のエネルギー球は探のエレメントプラスで熱火を帯び、周囲の空気を熱旋風で切り裂きながら砲門に突入。
 その回転力で砲内の電磁エネルギーを無茶苦茶に掻きまわし、加熱させていく。
『緊急解除システム作動……冷却開始……』
『ファィァージェット!』
『ヴォルトアクセラート!』
 敵の右腕を熱暴走で封じた隙に正面から切り込む探と須田丸。それに対しデストロイメンは左腕を突き出す。
『デストロイバルカン』
 その左腕に内蔵された機関砲の超電磁エネルギー弾は探と須田丸の前に一分の隙も無い弾幕となって立ちはだかる。
『エレメントプラス・サンダー!』『ハイディフェンス!』
 須田丸は鎧に雷属性を纏わせてエレメント耐性を上げつつ、サポートスキルで防御力を大幅に底上げ。フアイアージェットで飛ぶ探の前に出て超電磁弾を引き付けて受け止めながら直進する。
『神紋刀、ヒートオーバードライブ!』
 須田丸タンクの後ろで火神紋を発動させた探は右に旋回して飛び出し、蒼炎を帯びた神紋刀を左に構えたまま突撃。
『神紋一閃!!』
 敵の右腕をその刃で焼き切る。

『デストロイレーザー』
『スライディングキック!!』
 頭部に内蔵された光学兵器でデストロイメンが探にカウンター反撃しようとしたその時、須田丸は加速状態の滑り込みで足にタックル。攻撃を外してバランスを崩したデストロイメンが正面に転んだのを逃さず、その背中に飛び乗る。
『須田丸クラッチ!!』
『ギッ……ギガガガガ! アババババ……ジガガガガ!』
 英里子直伝の凶悪プロレス技・キャメルクラッチをアレンジしたオリジナル技でヘッドロックと上半身版逆エビ固めを力任せにかけられたデストロイメンは最後の抵抗で放電するが、須田丸には全く効かない。
『ガピッ……』
 最後の力を使い果たした魔物はそのまま機能停止し、雲散霧消する。
「よしっ、これで奴はあっちに行ったはずだ……英里子部長、聞こえますか」
 目の前からデストロイメンが雲散霧消したのを確認した探はステータス画面を開き、英里子に通信する。
『ほいほい、こちら英里子。聞こえてますよ?』
「そっちはどうですか?」
『ああ、でっかいのありがとうな! こいつ1体でかなり削れるからホンマ助かるわあ。そろそろこっちの魔物が強うなって数匹行くかもしれん、気を付けるんやで!』
「了解、モニタリングを続けてください」
「先輩! 来ましたよ!!」
 4人の目の前に現れた黒い渦。
「ゥギッ……ギギギィ」
 そこから出て来たのは全身を黒い剛毛で覆われ、黒曜石の槍を持った数匹の類人猿だ。
「あれはブラックランスエイプ……茜さん、倒しますよ!」
「了解!」
 槍のリーチ外から戦える遠距離戦担当の美香と茜は武器を構え、須田丸と探は援護態勢に入る。

「こいつらは何をやっているのかしら?」
 和ろうそくの灯る暗い板張りの間、大型銅鏡で鳴神乃宮の様子を見ていた3人の五武神。ミズノミヤとチノミヤ、ナルカミノミヤは鳴神乃宮の4つのボタンを押し終えたにも関わらず宮内でも最強クラスの魔物がわんさか出る回廊でサポートスキル『フェロモン』を使って魔物を呼びよせ、ひたすらそれを倒すと言う奇行に走りだしたもののふ達に首をかしげる。
「あれほど時間が無いと言っていたにも関わらず……私やナルカミノミヤに挑む前に装備強化でもするつもりなのだろうか?」
「いや、そんなのが無意味だとわからぬほど馬鹿ではあるまい……そもそもこれはどういう事だ?」
 ナルカミノミヤは銅鏡モニターを操作し、映像を地乃宮の大広間に変更。
 地乃宮の原生魔物と鳴神乃宮の強化魔物の大群が『地神之間』を開ける鍵となる巨大魔物・テラケラトプスに大挙して襲いかかっていく様に首をかしげる。
「テラケラトプスの近くに身を潜めたチノモノを倒さんと……いや、それは無いな」
 鳴神乃宮から強化魔物転送されたスーパーデストロイメンがスーパーデストロイミサイルとスーパーデストロイキャノンをテラケラトプスに容赦なく撃ち込んでいく様を確認したチノミヤは自身の推測を否定する。
「そもそもなぜ魔物があの場所に転送されるのだ? 宮内のもののふの最も近くに転送されるはずなのだが……チノモノはどこに居るのだ?」
 チノミヤは自身の管理する宮内の映像を切り替えて英里子を探す。
「セーフティルームに居ないと言う事は……おそらくあの大広間のどこかだろう。
 だが、どこにいるんだ? あそこまで魔物がわちゃわちゃだと感知するのも難しいなぁ」
 チャラ男神・カゼノミヤとの交渉で『片方が陥落したら魔物強化連動は廃止。またテラケラプトスの強化復活は無し』と言う条件を認めたのはさておき、『トンデモ災厄女の異名を持つチノモノの策にはめられた』と言う事実を言い出せない自意識過剰な3人の神は黙り込んでしまう。

「『ボムボムのアイアンナックル!』 いやぁ何度見てもかっこええなぁ!!」
 そんな神々をあざ笑うかのようにセーフティルームからマヨイガエレメント技・アースチェンジで地面を掘り進み、テラケラトプスの陣取る地乃宮の広間天丼近くの壁内に設けた秘密基地内で英里子はスマホ漫画を周回読みしつつ固定済みアイテムスキャナー画面を見ている。

 討伐魔物の素材アイテム回収に欠かせないマヨイガ探索サポートシステム『アイテムスキャナー』。
 前々からノリと勢いと知的好奇心の赴くままにサポートスキルを手当たり次第に習得しまくっていた英里子は習得済みのアイテムスキャナー専用アップグレードスキル『ライフゲージ』(魔物の残り体力を視覚的に確認できる)と『コレクター』(討伐魔物の素材・アイテムを自動回収する)さらには『ウォッチャー』(遠隔操作で定点観測する)を使用。仕上げにスキャン範囲を拡大する『広範囲化・大』を利用して大広間を定点観測。
 小さなゴーレムを利用して巨大なテラケラトプスの全身に『狂化の香』を散布し魔物を同士討ちさせて魔物素材を大量収集しつつ地乃宮最大の強敵をじわじわと弱らせていく。
「この調子だと……もうすぐやろなぁ? 強化魔物として逝っちゃう奴らもおるやろしそろそろ雲隠さん達に連絡せんと!」
 エアディスプレイの向こうで大乱闘する魔物達を見ていた英里子は仲間に連絡すべく通信システムを起動させる。

【第47話に続く】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...