ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください!

千両文士

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第46話

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 鳴神乃宮、肆の回廊。
『デストロイキャノン』
 背丈2メートル以上はある骸骨のような見た目をした半機械魔物・デストロイメンは右腕に内蔵された超電磁砲エネルギー充填開始。4人のもののふにその砲門を向ける。
『ウィンドボール!』
『エレメントプラス・ファイア!』
 茜が射出したマヨイガエレメントの葉巻型のエネルギー球は探のエレメントプラスで熱火を帯び、周囲の空気を熱旋風で切り裂きながら砲門に突入。
 その回転力で砲内の電磁エネルギーを無茶苦茶に掻きまわし、加熱させていく。
『緊急解除システム作動……冷却開始……』
『ファィァージェット!』
『ヴォルトアクセラート!』
 敵の右腕を熱暴走で封じた隙に正面から切り込む探と須田丸。それに対しデストロイメンは左腕を突き出す。
『デストロイバルカン』
 その左腕に内蔵された機関砲の超電磁エネルギー弾は探と須田丸の前に一分の隙も無い弾幕となって立ちはだかる。
『エレメントプラス・サンダー!』『ハイディフェンス!』
 須田丸は鎧に雷属性を纏わせてエレメント耐性を上げつつ、サポートスキルで防御力を大幅に底上げ。フアイアージェットで飛ぶ探の前に出て超電磁弾を引き付けて受け止めながら直進する。
『神紋刀、ヒートオーバードライブ!』
 須田丸タンクの後ろで火神紋を発動させた探は右に旋回して飛び出し、蒼炎を帯びた神紋刀を左に構えたまま突撃。
『神紋一閃!!』
 敵の右腕をその刃で焼き切る。

『デストロイレーザー』
『スライディングキック!!』
 頭部に内蔵された光学兵器でデストロイメンが探にカウンター反撃しようとしたその時、須田丸は加速状態の滑り込みで足にタックル。攻撃を外してバランスを崩したデストロイメンが正面に転んだのを逃さず、その背中に飛び乗る。
『須田丸クラッチ!!』
『ギッ……ギガガガガ! アババババ……ジガガガガ!』
 英里子直伝の凶悪プロレス技・キャメルクラッチをアレンジしたオリジナル技でヘッドロックと上半身版逆エビ固めを力任せにかけられたデストロイメンは最後の抵抗で放電するが、須田丸には全く効かない。
『ガピッ……』
 最後の力を使い果たした魔物はそのまま機能停止し、雲散霧消する。
「よしっ、これで奴はあっちに行ったはずだ……英里子部長、聞こえますか」
 目の前からデストロイメンが雲散霧消したのを確認した探はステータス画面を開き、英里子に通信する。
『ほいほい、こちら英里子。聞こえてますよ?』
「そっちはどうですか?」
『ああ、でっかいのありがとうな! こいつ1体でかなり削れるからホンマ助かるわあ。そろそろこっちの魔物が強うなって数匹行くかもしれん、気を付けるんやで!』
「了解、モニタリングを続けてください」
「先輩! 来ましたよ!!」
 4人の目の前に現れた黒い渦。
「ゥギッ……ギギギィ」
 そこから出て来たのは全身を黒い剛毛で覆われ、黒曜石の槍を持った数匹の類人猿だ。
「あれはブラックランスエイプ……茜さん、倒しますよ!」
「了解!」
 槍のリーチ外から戦える遠距離戦担当の美香と茜は武器を構え、須田丸と探は援護態勢に入る。

「こいつらは何をやっているのかしら?」
 和ろうそくの灯る暗い板張りの間、大型銅鏡で鳴神乃宮の様子を見ていた3人の五武神。ミズノミヤとチノミヤ、ナルカミノミヤは鳴神乃宮の4つのボタンを押し終えたにも関わらず宮内でも最強クラスの魔物がわんさか出る回廊でサポートスキル『フェロモン』を使って魔物を呼びよせ、ひたすらそれを倒すと言う奇行に走りだしたもののふ達に首をかしげる。
「あれほど時間が無いと言っていたにも関わらず……私やナルカミノミヤに挑む前に装備強化でもするつもりなのだろうか?」
「いや、そんなのが無意味だとわからぬほど馬鹿ではあるまい……そもそもこれはどういう事だ?」
 ナルカミノミヤは銅鏡モニターを操作し、映像を地乃宮の大広間に変更。
 地乃宮の原生魔物と鳴神乃宮の強化魔物の大群が『地神之間』を開ける鍵となる巨大魔物・テラケラトプスに大挙して襲いかかっていく様に首をかしげる。
「テラケラトプスの近くに身を潜めたチノモノを倒さんと……いや、それは無いな」
 鳴神乃宮から強化魔物転送されたスーパーデストロイメンがスーパーデストロイミサイルとスーパーデストロイキャノンをテラケラトプスに容赦なく撃ち込んでいく様を確認したチノミヤは自身の推測を否定する。
「そもそもなぜ魔物があの場所に転送されるのだ? 宮内のもののふの最も近くに転送されるはずなのだが……チノモノはどこに居るのだ?」
 チノミヤは自身の管理する宮内の映像を切り替えて英里子を探す。
「セーフティルームに居ないと言う事は……おそらくあの大広間のどこかだろう。
 だが、どこにいるんだ? あそこまで魔物がわちゃわちゃだと感知するのも難しいなぁ」
 チャラ男神・カゼノミヤとの交渉で『片方が陥落したら魔物強化連動は廃止。またテラケラプトスの強化復活は無し』と言う条件を認めたのはさておき、『トンデモ災厄女の異名を持つチノモノの策にはめられた』と言う事実を言い出せない自意識過剰な3人の神は黙り込んでしまう。

「『ボムボムのアイアンナックル!』 いやぁ何度見てもかっこええなぁ!!」
 そんな神々をあざ笑うかのようにセーフティルームからマヨイガエレメント技・アースチェンジで地面を掘り進み、テラケラトプスの陣取る地乃宮の広間天丼近くの壁内に設けた秘密基地内で英里子はスマホ漫画を周回読みしつつ固定済みアイテムスキャナー画面を見ている。

 討伐魔物の素材アイテム回収に欠かせないマヨイガ探索サポートシステム『アイテムスキャナー』。
 前々からノリと勢いと知的好奇心の赴くままにサポートスキルを手当たり次第に習得しまくっていた英里子は習得済みのアイテムスキャナー専用アップグレードスキル『ライフゲージ』(魔物の残り体力を視覚的に確認できる)と『コレクター』(討伐魔物の素材・アイテムを自動回収する)さらには『ウォッチャー』(遠隔操作で定点観測する)を使用。仕上げにスキャン範囲を拡大する『広範囲化・大』を利用して大広間を定点観測。
 小さなゴーレムを利用して巨大なテラケラトプスの全身に『狂化の香』を散布し魔物を同士討ちさせて魔物素材を大量収集しつつ地乃宮最大の強敵をじわじわと弱らせていく。
「この調子だと……もうすぐやろなぁ? 強化魔物として逝っちゃう奴らもおるやろしそろそろ雲隠さん達に連絡せんと!」
 エアディスプレイの向こうで大乱闘する魔物達を見ていた英里子は仲間に連絡すべく通信システムを起動させる。

【第47話に続く】
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