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第八章:『闇乃宮裏闘戯場/総大将激突!! 白聖炎VS黒死炎』

【第63話】

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『もうここまで話したとあれば隠し立てする必要もありません、御織院殿。
 私共の最終目的は……試練を終えても尚この世界に出入りしてくださる火神紋のもののふ殿に我らの世界へお招きし、そこで七天賦奥義を習得いただいた上で永遠の苦しみに囚われた主様を浄化救済していいただく事です』
 ここまできたらそれ以外は無いと思っていたがやはりそうだったか。
 場外の討伐隊メンバーは色々な意味で勝に落ちる。
「しかしあなた方は当初……我々を皆殺しにすると」
『ええ、当初はそのような予定はありませんでした。
 当初はサン様やお仲間様にも知られず事を運ぶべく私が迷処迷宮に赴いて火神紋のもののふ様の正室様がお一人の所をこちらにお連れし、火神紋のもののふ様に偽の脅迫をして単身救出に向かわせる事で穏便かつ極秘裏に進めようと考えておりました。
 ただ……ミズノミヤの眷属魔物達にすぐに発見され、大事になったが故に計画変更を余儀なくされこの度のような事態となった、というわけでございます』
 [……クロ、事情はわかった。ひとまずは姉さんのそばにずっといてくれてありがとう。
 そしてお前とあいつらに苦しみを背負わせすぎた事は本当に申し訳ないと思う。
 ルイの弟としてタメシヤノミコト様に代わり、謝らせてくれ」
 目に涙を浮かべながらデストロイ・ミニスピーカーに謝るナルカミノミヤ様。
「雲隠殿、もうおわかりかもしれないが……この不毛な戦いを止められるのは貴方しかいないのは明確だ。
 とても危険な戦いになるのは確実かもしれないが……最後まで協力していただけないだろうか?」
「……」
「ナルカミノミヤ様……」
 いつもニヤニヤしているナルカミノミヤ様が心痛のあまりボロボロの姿で土下座する様に思わず涙するエミ。
「あの、ナルカ……」
『ああ、仮に一人だったとしても僕は美香を助けるすためにここへ乗り込んだはずだ。
 ルイ救済計画が狂ったと言う意味では僕の責ではないのだが。みんな、危険な目にあわせてしまい本当に済まない……』
「何言ってるんだよ、アニキ!! いまさら水臭せえ事言うなよ……俺は剛のもののふだぜ?」
「そうだぞ、雲隠!! 華咲とは過去に色々あったとは言え……大切な仲間にして友だ!!
 ここで見捨てようものなら御鐵院一族、末代までの汚点ではないか!!」
『須田丸くんに茜さん……』
「主様の寵愛を賜りしミズノモノ殿の危機とあれば……我ら人魚族も馳せ参じる覚悟はございます!!」
「私もですぞ!!」
「私もですわ、雲隠様!!」
『……ジジッ、オレモイルゾ!! ワスレンジャネェ!!』
『ゼドさん、タタラ、ライさん……デストロイメン』
「私達もよ、パパ!! そうでしょ、お兄ちゃん!!」
「ああ、うっうん!?」
「エミにタケル……」
『ふむ、これほどまでに郎党共に信頼されていらっしゃるとは……流石は火神紋のもののふ殿にして総大将の器をお持ちの御方でございますな』
 仲間からの声援に胸が熱くなる探。
 その様を武人として礼賛するヤミネコはダークフレア・バインドを引き戻しつつ太刀を納める。
『雲隠殿、今の数合の手合わせで私が知る限りのホワイトフレアの基本はもう心得られたものと思われます。
 そしてこれより私がお見せするのは……私が貴方のご先祖様より見盗みましたその奥義でございます』
『なにっ!?』
 まさかの言葉で条件反射的に二刀流を腰に戻し、敵の喉元に迫っていたホワイトフレア・バインドを引き戻す探。
『貴方様には多くの強者と呼ぶにふさわしい御仲間がおりますが……それは我が主様とて同じこと。まずは私を超えていただきましょう、お覚悟!!』
「あの構えは……」
「ご存じなのですか、五武神様!?」
 闇の魔瘴気を吸い寄せてその鞘内に浸潤させはじめるヤミネコの太刀。
 腰を低くして力を入れ、脇に差した太刀に手を添えた構えを前に身構えるミズノミヤ様とナルカミノミヤ。
 この二柱は何かご存知だ、と気づいた闇乃宮討伐隊メンバーは尋ねる。
「いや、あのような技は見たことがないぞ!? あやつは何を言いだすのだ?」
「ええっ!?」
 二柱の予想を裏切る回答に総員ツッコミしてしまう闇乃宮討伐隊メンバーズ。
「雲隠、聞こえるか!? 私のカンだがおそらくそれは魔力衝刃ではない!!
 鞘の中を走らせて一気に抜き放つ抜き打ち、いわゆる抜刀だ!!」
 眼を白黒させているライの手の中にあったデストロイ・ミニスピーカーを掴んで、必死に叫ぶ茜。
「ただでさえ一撃破壊力特化のそれを刀として重さも圧倒的に劣るお前の二刀流で受け止めようものなら神紋刀はとにかく麟麟はへし折られてしまうぞ!! どうにか回避するんだ!!」
 決死の形相で叫ぶ茜の語気を前に探は腰の二刀にホワイトフレアの力を蓄積付与し始める。

【第64話につづく】
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