ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

文字の大きさ
上 下
60 / 79
第八章:『闇乃宮裏闘戯場/総大将激突!! 白聖炎VS黒死炎』

【第60話】

しおりを挟む
『ホワイトフレア・バインド!!』
『ダークフレア・バインド!!』
 魔力防壁内の場で重なり合う詠唱と同時に2人が放つ鞭型の魔力塊。
 探の白いソレとヤミネコの黒いそれは火花を飛ばしながら正面激突し、互いにしなり弾きあいながら各々の敵に向かって行く。
『火神紋強化!!』
 一瞬で探の火神紋オーバードライブでその力を増した白鞭は黒鞭を力で押しのけてヤミネコの喉元に一直線。
『はあっ!!』
 一度は弾き飛ばされたものの、すぐに態勢を取り戻したヤミネコの黒鞭もしなり動いて白鞭をすり抜け、探の喉元を狙う。
「きゃあああああ!!」
 あの速度では2人共回避できず、鋭い鞭の先端で喉を貫かれて相打ち。
 茜とミズノミヤ様は雲隠家の双子を抱きかかえるように回れ右させ、顔を胸に押し込む。

『みごとな寸止めですな、総大将殿』
 喉元寸前で止められた白鞭を前に鎧の面奥を赤く光らせつつ声だけで笑うヤミネコ。
「……お前こそこれが狙いだったんだろ? ヤミネコ」
 同じく喉元寸前で止められた黒鞭の先端と言う命の危機を前にもののふとして最上の悦びがわき出す探。
「茜さんや須田丸君も気づいているようだが……お前は何がしたいんだ?
 時間稼ぎだと言うなら何のために?」
『……』
「答えろ、ヤミネコ」

(タケル、落ち着くがよい……何かあったらわらわが守ってやるからな)
 普段の穏やかで優しい雲隠医院の先生とは思えぬ武士(もののふ)そのものな圧に怯える双子を抱きしめるミズノミヤ様。
『うむ、今の貴方様であればお話してもよろしいでしょう……ただ、場外でお待ちの皆様にもお聞きいただく必要がありますが故、少々お待ちください』
 そのまま身じろぎもせず口をつぐんだヤミネコに探は警戒維持したまま対時する。
『ムムッ!! オレサマナンカヘンダゾ!?』
「どうしたの、シルバーデストロイメン?」
 魔力不足故にボディを構成する液体金属を多量に生成できず、首から下げられるサイズのスピーカー、デストロイ・ミニスピーカーとして式神ライの首に下げられていた眷族魔物、シルバーデストロイメン。
『ナンカ……ナンカ……オレサ……マ、ヘンダ……ゾ、 ザッ……ザザーッ、ジジジジ、ザァーァァァァ』
「シルバーデストロイメン、どうしたんだ!?」
「シルバーどの!?」
 自身の眷族魔物の異常に気付いた五武神ナルカミノミヤと式神ライを囲む闇乃宮討伐隊メンバー。
 突如砂嵐しか流さなくなったシルバーデストロイメンをわけもわからぬまま見守る。
『サンの郎党様方、聞こえておりますか? 私はヤミネコでございます』
『なにっ!? お前私の配下に何をしたんだ!?』
 場内で総大将と対時する黒甲胃のヤミネコとその声で喋り出したデストロイ・ミニスピーカーを交互に見つつ問い返すナルカミノミヤ。
『ドウシ様、この度は申し訳ございません。私は今この場で総大将殿のみならず皆様にお聞きいただきたい事がありましてこのような形で配下様の体をお借りしたのです』
『聞いてもらいたい事……でございますか?』
 首をかしげる式神小鬼タタラ。
『はい、ヤミノミヤノミコト様の件は皆様ご存知のはずなのでこの場では割愛させていただきますが……ヤミノミヤノミコト様の御側でお守りする私、ヤミネコはかつてのクロでございます」
「クロだって!? お前、姉ちゃんが可愛がってたアイツだったのかよ!?」
 ヤミネコの正体に驚きの声を上げるナルカミノミャ様。
『はい、これまで皆様が対時した遊戯場の主となっていた5体も言うまでも無くルイ様と最期を共にした私と同じ猫でございますが……覚えていらっしゃいますか?』
 奇跡の墨女サンと死亜女ルイを知る当事者たる2人の武神は思わず顔を見合わせる。

『ほほほ、まさかそれで終わりとは言うまいな……水と地の神紋もののふよ』
 時をほぼ同じくして死座女ルイと美香&英里子が手合わせ中の闇乃宮最深部。
 闇与・焔で焼石となったヤミイワを受け止めるべく、ゴーレムに搭乗したもののそのまま身動きが取れなくなった英里子を挑発する死巫女ルイ。
『んなもん当然じゃ!! 誰に口を聞いとるんじやワレ!!』
 親友美香を守るべくゴーレムに搭乗して頭上の大岩を支えたまま叫び返す英里子。
『ではそなたからじゃ 闇与・雷』 
『アギャババババババ!! ギャァァァァァ!!』
 熱ダメージを軽減するべく焼け石に水で美香のエレメントプラスアクア&アイスを多重詠唱上乗せされ続けていたゴーレムは回避不可能な大ダメージを食らってしまう。

『さて、水神紋のもののふ殿は……?』
 そう言いつつ細目で笑いながら辺りを見回す死巫女ルイ。
『アイスミラージュ』
 詠唱と共にルイの眼前、何もない空間に突如出現した氷鎧の騎士。
 氷鎧の戦士は青白く輝く氷槍を構え、その穂先でルイの胸を刺し貫かんと回避不可能な距離で襲い掛かる。
『見事じゃ、もののふよ!!』
 あっばれとばかりに悦びの声をあげるルイはその心臓を狙う穂先を払い落とすことなく腕を後ろで組む。

【第61話につづく】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...