ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第八章:『闇乃宮裏闘戯場/総大将激突!! 白聖炎VS黒死炎』

【第59話】

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『ふむ、実によい一撃である……!!』
 神紋強化込みで超硬度と化したゴーレムアムドのフルパワーツインショットを受け止め、爽やかな笑顔で笑う死巫女ルイ。
「えっ?」
 クレイジー災厄女、英里子にデコピンさせると言う最悪の判断ミスにより、死巫女ルイが脳築をぶちまけて即死と言う最悪の完結を回避すべく駆け寄ろうとしたものの、動きが止まる美香。
「うそやろ……あかん!!」
 一撃でユーアーショックにしてお前はもう死んでいる……にしてやるで!! という殺意MAXの結末予測に反する結果に戸惑う英里子はマョイガもののふのカンですぐさま反撃回避バックジャンプする。
『ふむ、判断力もなかなかなものだ……よかろう、人のもののふ。わらわもそなたらと同じ土俵で戦ってやる……闇神技:ヤミイワ』
 ルイの詠唱と共に闇の奥から響いてくるドガンゴロンと言う音。
「この音は!?」
「前からや!!」
 2人の正面、ルイの背後から跳ねるように転がって来た庫気を纏う大岩は召喚者たるルイを避けて大ジャンプ。
 美香と英里子に頭上から迫る。
『クリエイト・アイスウォール!!』
 コンマ数秒でウォーターオーバードライブ状態になった美香は自身と英里子を覆うように幾重もの分厚い氷壁柱を生成。
『エレメントプラス・アイス!!』
 それにぶつかった大岩が動きを止めた所で追撃完封すべくエレメントプラス・アイスを事前詠唱しつつ魔力チャージ体勢に入る。
『闇与:焔』
「うそん!?」
「なんちゅうヤツや!!」
 ルイの詠唱で瞬時に青黒い炎を全体に纏った大岩は美香の氷壁にぶつかる前にその熱で氷壁を溶かし、蒸発させながら2人に迫る。
「美香ちゃん!! ウチがやったる、エレメントプラス頼むで!!」
『ゴーレムライド!!』
 自身のオリジナル技にして十八番、球体ボディに手足が生えたゴーレムを召喚生成して操縦席に乗り込んだ英里子は右腕を後ろに引き、テレフォンパンチの構えを取る。
『ゴーレムヘヴィパンチ!! あちいいいいいい!!』
 障石と化した大岩を正面から迎え撃つゴーレムの重量級巨腕。
 巨大な岩塊であるゴーレムを内部から感覚共有魔力操作している英里子はその熱に思わず叫ぶ。
「英里子ちゃん!! エレメントプラス・アクア!!」
 悲鳴を上げる親友を少しでも助けるべく美香はエレメントプラスでサポートする。

 ……時を同じくして闇乃宮内某所、ヤミネコの閉鎖次元空間内。
『ホワイトフレアショット!!』
『ダークフレアショット!!』
 空中で正面衝突し、相互魔力干渉で消滅する白炎球と黒魔球。
 魔力防壁で囲われた場内で激突する黒甲胃の武人・ヤミネコと火神紋使いのもののふ・雲隠探は各々の二刀と一刀で幾重に切り結ぼうと決着がつかず、必然的に魔法対決にもつれこんだ2人はお互いに距離を取って遠距離技で牽制しあいつつ、好機を伺いつづけていた。
「あやつ……何を考えておるのじゃ?」
「主様、どうなさいましたか?」
 ぶつかり合う2人を安全地帯から見守ることしか出来ない五武神ミズノミヤ様の疑問に応える眷族魔物にして人魚族のゼド。
「それはどういう意味だ、ミズノミヤさん?」
 ミズノミヤ様の言わんとする事が理解できず、ツッコミ質問してしまう須田丸。
「エミにタケル、そなたらの意見を聞きたい。あの者の動きに何か思う所はあるか?」
「私とお兄ちゃんですか、ミズノミヤ様!? ええと ううん」
 いきなり五武神様に問われて戸惑いつつもエミは2人が切り結ぶ場上をガン見したままダンマリを決め込む兄の代わりに感じていた事を言語化しようとする。
「なんと言おうか……あのダースベイダーさんは間違いなく全力じゃないと思います。
 むしろかなり意識的に魔力と力加減をコントロールしてパパのコンディションに合わせているようにさえ思えます」
「うむ」
「ゼドさんはご存知だと思うんですけど、ツミレ先生はマーメイドウォーリアーとしてお強いですよね? 数回ですけど先生が本気で戦う様を見たことはありますけど、私達の指導では怪我をさせずかつ全力を引き出せるようにかなりの力加減と調整をなさっていると思います。
 何となくですけど、ヤミネコさんは今そういうムーブをしているように見えるんです」
(なるほどな、その観点は無かった……俺にわからねえのも納得だぜ!!)
 かつて10数年前、親父を失った悲劇により幼馴染の英里子姉ちゃんと引き裂かれ、不良の掃きだめに放り込まれると言う急激な環境変化をサバイバルすべく独学&実地経験で突貫習得せざるを得なかった自身の我流喧嘩技。
 マーメイドウォーリアーのツミレに師事する事が出来たエミとタケルと違い師を持たぬ自分には感じ取れないのは当然だと須田丸は納得する。
「ミズノミヤ様、私からもよろしいでしょうか……あの者との手合わせの中で雲隠のあの白炎は確実に強くなっております。しかしあのヤミネコ、何がしたくてにこのような敵に稽古をつけるような行為に及んでいるのでしょうか?
 そしてなぜ主たるヤミノミヤノミコトは自身の不利に働く部下を看過しているのでしょうか……?」
「うむ御織院の娘よ、それはわらわにもわからぬ。だがこれが時間稼ぎであれ総大将殿自身……ひいては我ら全体にとって大きな利益となるのは間違いないであろう」
 ミズノミヤ様のしめで会話は終わる。

【第60話につづく】

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