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第七章:『闇乃宮五ノ闘戯場/黒雷武神ナルカミノミヤ』
【第53話】
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闇乃宮内、第五闘戯場。そのバトルフィールドとなる仙境箱庭異世界。
「よしっ!!」
その中央にそびえ達、ナルカミノミヤの魔力供給で巨大な避雷針と化した超巨大裸婦像『清水ノ淑女(しみずのしゅくじょ)』内を下から上に泳ぎ進み、頭頂部から外に出た探。
神紋刀と麒麟を抜き放ったまま頭上の黒雷球を見上げる探が内包する高い魔力とその手に持った二刀流と言う金属に引き寄せられた黒雷は無茶苦茶に降り注ぐのを止め、すぐさま早い者勝ちとばかりに一転集中攻撃に切り替える。
『エレメントプラス・・・』
雷が発生してから落ちるまでの時間とこの場にいるのが強靭な肉体と高い耐性を持つ雷神紋持ちの須田丸であったとしても回避不可能&大ダメージ確定な刹那の生命の危機的状況下で静かにエレメントプラス詠唱開始する探。
『探さん、逃げてぇぇ!!』
『にゃあ!!』『にゃあああん!!』
この様子を闇神ノ間で見ていた美香はドラム缶風呂から飛び出して大型銅鏡にすがりついてスローモーション映像で探に迫る大量の殺人黒雷をどうにか止めようとガンガン叩きだしてしまい、そのお世話をしていた死巫女ルイの眷族黒猫達は全裸のまま大暴れする美香の背中に慌てて着物をかけつつ猫的にどうにか落ち着かせようと開封した高級猫缶&魅惑のペーストおやつ・ちゅるちゅるを運んでくる。
『美香、落ち着くのよ!! あの構えと詠唱は……』
「探さん、探さん!!」
『にゃあん!! にゃああん!!』
探がやろうとしている何かに気が付いたタメシヤノミコト様の言葉も届かない美香と黒猫軍団の祈りも虚しく、総大将を消し炭にせんとスローモーションで迫る黒雷。
もうダメだ、と美香含め(タメシヤノミコト様を除く)その場の全員が諦めかけたその時だった。
『サモン・ホワイトフレア!!』
未知の詠唱と共に右手の火神紋から浴れ出す輝く白炎。
それをエレメントプラスの要領で神紋刀と麒麟に纏わせた探はそのまま腕を交差させて背中に回し、上を向く。
『フレアスラッシュ!!』
詠唱&斬撃と共に上空に打ち出されるギガントサイズ火炎衝撃刃。
ラージドウエポン無しとは思えぬそのサイズ感はもちろんこれまで探がマヨイガもののふとして用いて来た赤炎や蒼炎と全く異なる魔力で作られたそれは滅茶苦茶に降り注ぐ黒万雷を一方的に打ち砕いて突き進み、天球を支配する黒雷球に迫る。
「よしっ、これなら……あれをぶっ壊せるぞ!!」
「流石はパパだわ!!」
五武神ナルカミノミヤとミズノミヤ様により作り出された水の巨大乙女下、地下安全地帯で父の勇姿を見ていた雲隠家の双子。
「おそらく私の祖父の祖父の曽祖父も見たことが無い奥義を雲隠殿が蘇らせるとは……」
「いやはや……わし、第五闘戯場の主としてアイツをしなくてよかったわい」
「第肆闘戯場の主として俺も同感だよ、ジジイ。 あんなん食らったらマジで死ぬわ……」
「……」
ゼド村長の感嘆定型文に続くカゼネコとシネコ、氷鏡を黙って見つつ考え込む黒甲冑のヤミネコ。
「まさか雲隠がかの奥義を顕現させるとは……まことに驚くしかないな」
『そうだね、 ミズノミヤ。正直僕も魔力と体力の限界だったし助かるよ……』
壇上学院オカルト研究会メンバーよりも前にマヨイガの儀に挑んだ偉大なる七先人、『迷処七天賦』の1人にして火神紋を授かりしもののふ、雲隠竜成(くもがくれたきなり)。
それが見出した究極の火神紋奥義『火与・加護神炎』は味方や自身へのエレメントプラスとして用いれば敵のエレメント攻撃を一定時間無効化に、自動急速回復と攻撃してきた魔物に自動反撃でダメージを与える加護。
武器へのエレメントプラスとして用いれば属性相性完全無視で魔物に超ダメージ。
唯一の弱点と言うべき五武神との神戦で無効化される事を除けばほぼ最強クラスの攻防一体チート奥義を直系の子孫が完全再現すると言う奇跡の現場に居合わせた2人の五武神は驚きと不安半々ながらも見つめる。
「オイ、オマエラ……オイ、オレカンジル。アイツナニカヘンダゾ」
第五闘戯場編、災厄と総大将との一騎打ちで雌雄を決するテンカウントに突入したそんな緊迫した状況下で響く機械音声。
一時的に外付け魔カエネルギー源となったシネコから離れた事でデストロイコアに最小限の魔力液体金属しか生成できなくなったシルバーデストロイメンは最低限の意思疎通を図るべく手の平サイズのミニスピーカー、デストロイ・ミニスピーカーにトランスフォームしており、半機械眷族魔物の言わんとすること理解できないその場の全員は顔を見合わせてしまう。
「シルバーデストロイメン、それはどういう意味なの?」
「ミズノミヤドノ、オレ、カミナリエレメントツカイ、ソシテハンブンヤミオチジョウタイ。
ダカラワカル……ウマクイエネエガアノキョダイライキュウ、シニモノグルイデクルゼ」
「???」
式神ライの手の中で一人トーキーするシルバーデストロイメンの言う事を信じるべきか否か……地下空間で総大将殿のサポートにあたる闇乃宮討伐隊メンバー&闇乃宮のボス猫二人衆はざわつく。
【第54話につづく】
「よしっ!!」
その中央にそびえ達、ナルカミノミヤの魔力供給で巨大な避雷針と化した超巨大裸婦像『清水ノ淑女(しみずのしゅくじょ)』内を下から上に泳ぎ進み、頭頂部から外に出た探。
神紋刀と麒麟を抜き放ったまま頭上の黒雷球を見上げる探が内包する高い魔力とその手に持った二刀流と言う金属に引き寄せられた黒雷は無茶苦茶に降り注ぐのを止め、すぐさま早い者勝ちとばかりに一転集中攻撃に切り替える。
『エレメントプラス・・・』
雷が発生してから落ちるまでの時間とこの場にいるのが強靭な肉体と高い耐性を持つ雷神紋持ちの須田丸であったとしても回避不可能&大ダメージ確定な刹那の生命の危機的状況下で静かにエレメントプラス詠唱開始する探。
『探さん、逃げてぇぇ!!』
『にゃあ!!』『にゃあああん!!』
この様子を闇神ノ間で見ていた美香はドラム缶風呂から飛び出して大型銅鏡にすがりついてスローモーション映像で探に迫る大量の殺人黒雷をどうにか止めようとガンガン叩きだしてしまい、そのお世話をしていた死巫女ルイの眷族黒猫達は全裸のまま大暴れする美香の背中に慌てて着物をかけつつ猫的にどうにか落ち着かせようと開封した高級猫缶&魅惑のペーストおやつ・ちゅるちゅるを運んでくる。
『美香、落ち着くのよ!! あの構えと詠唱は……』
「探さん、探さん!!」
『にゃあん!! にゃああん!!』
探がやろうとしている何かに気が付いたタメシヤノミコト様の言葉も届かない美香と黒猫軍団の祈りも虚しく、総大将を消し炭にせんとスローモーションで迫る黒雷。
もうダメだ、と美香含め(タメシヤノミコト様を除く)その場の全員が諦めかけたその時だった。
『サモン・ホワイトフレア!!』
未知の詠唱と共に右手の火神紋から浴れ出す輝く白炎。
それをエレメントプラスの要領で神紋刀と麒麟に纏わせた探はそのまま腕を交差させて背中に回し、上を向く。
『フレアスラッシュ!!』
詠唱&斬撃と共に上空に打ち出されるギガントサイズ火炎衝撃刃。
ラージドウエポン無しとは思えぬそのサイズ感はもちろんこれまで探がマヨイガもののふとして用いて来た赤炎や蒼炎と全く異なる魔力で作られたそれは滅茶苦茶に降り注ぐ黒万雷を一方的に打ち砕いて突き進み、天球を支配する黒雷球に迫る。
「よしっ、これなら……あれをぶっ壊せるぞ!!」
「流石はパパだわ!!」
五武神ナルカミノミヤとミズノミヤ様により作り出された水の巨大乙女下、地下安全地帯で父の勇姿を見ていた雲隠家の双子。
「おそらく私の祖父の祖父の曽祖父も見たことが無い奥義を雲隠殿が蘇らせるとは……」
「いやはや……わし、第五闘戯場の主としてアイツをしなくてよかったわい」
「第肆闘戯場の主として俺も同感だよ、ジジイ。 あんなん食らったらマジで死ぬわ……」
「……」
ゼド村長の感嘆定型文に続くカゼネコとシネコ、氷鏡を黙って見つつ考え込む黒甲冑のヤミネコ。
「まさか雲隠がかの奥義を顕現させるとは……まことに驚くしかないな」
『そうだね、 ミズノミヤ。正直僕も魔力と体力の限界だったし助かるよ……』
壇上学院オカルト研究会メンバーよりも前にマヨイガの儀に挑んだ偉大なる七先人、『迷処七天賦』の1人にして火神紋を授かりしもののふ、雲隠竜成(くもがくれたきなり)。
それが見出した究極の火神紋奥義『火与・加護神炎』は味方や自身へのエレメントプラスとして用いれば敵のエレメント攻撃を一定時間無効化に、自動急速回復と攻撃してきた魔物に自動反撃でダメージを与える加護。
武器へのエレメントプラスとして用いれば属性相性完全無視で魔物に超ダメージ。
唯一の弱点と言うべき五武神との神戦で無効化される事を除けばほぼ最強クラスの攻防一体チート奥義を直系の子孫が完全再現すると言う奇跡の現場に居合わせた2人の五武神は驚きと不安半々ながらも見つめる。
「オイ、オマエラ……オイ、オレカンジル。アイツナニカヘンダゾ」
第五闘戯場編、災厄と総大将との一騎打ちで雌雄を決するテンカウントに突入したそんな緊迫した状況下で響く機械音声。
一時的に外付け魔カエネルギー源となったシネコから離れた事でデストロイコアに最小限の魔力液体金属しか生成できなくなったシルバーデストロイメンは最低限の意思疎通を図るべく手の平サイズのミニスピーカー、デストロイ・ミニスピーカーにトランスフォームしており、半機械眷族魔物の言わんとすること理解できないその場の全員は顔を見合わせてしまう。
「シルバーデストロイメン、それはどういう意味なの?」
「ミズノミヤドノ、オレ、カミナリエレメントツカイ、ソシテハンブンヤミオチジョウタイ。
ダカラワカル……ウマクイエネエガアノキョダイライキュウ、シニモノグルイデクルゼ」
「???」
式神ライの手の中で一人トーキーするシルバーデストロイメンの言う事を信じるべきか否か……地下空間で総大将殿のサポートにあたる闇乃宮討伐隊メンバー&闇乃宮のボス猫二人衆はざわつく。
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