44 / 79
第六章:『闇乃宮五ノ闘戯場/風獣カゼネコ』
【第44話】
しおりを挟む
闇乃宮最深部・神ノ間。
『水神紋の娘よ、あの者らは一体どうしたと言うのじゃ?』
第五闘戯場、控室のオブジェクトの口を借りてルール変更の詔を下そうとしたものの、子供達の悲鳴のせいで話が進まなくなってしまったヤミノミヤノミコトこと死巫女ルイ。
困ったルイは隣の座敷牢内で人魂ツミレを閉じ込めた籠を胸元に押し込んで着物の前をぎゅっと閉ざした美香に問う。
「ええとですね……」
(アンタがコミュニケーションツールにつこうとるモンがホラーすぎるんや。もうちょいかわええモンに憑かんとあかんやろ)
『うむ、それでいいのか? ならば……』
チノモノ英里子の歯に衣着せぬ助言を受けてルイが行動に移そうとしたその時だった。
「待って、ルイ!! 向こうの様子がおかしいわ!!」
銅鏡の向こうで突如として生じた時空の歪みと共に第五闘戯場控室から消えて行く闇乃宮討伐隊メンバー達とその案内人ヤミネコと人質のシネコに気づいた時にはすでに遅し。
その場にいた合計9人は雲散霧消してしまう。
「雲隠にみんな!! どうやってここに!?」
第五闘戯場、上空で繰り広げられたセブンスソウル争奪(破壊)戦で暴走ナルカミノミヤにカゼネコを投げつけられ、バランスを崩した黒雲。
失速して墜落するそれをどうにか操舵し、地面をえぐってオーバーランさせながらもどうにか不時着させた式神ライの治療中だった茜は突如箱庭世界に現れた11人に驚く。
「茜おばさん!! 私達の所にヤミノミヤノミコトが現れたの、それで……気がついたらここにいて」
「ちくしょう、あいつめ!! はめやがったな!!」
『ウガァァァァァ!! グヤァァァァァ!!』
セブンスソウルの影響で3メートル級の超巨躯化&筋骨隆々マッスル化した小柄な少年五武神が全身に黒雷を纏い、黒いヤマアラシロングヘアーを振り乱しながら石柱を手当たり次第に破壊していく咆哮と破壊音が響く第五闘戯場、石柱箱庭世界に放り込まれたタケルは悪態をつく。
『雲隠の御子息殿、主様ではない。ワシのしわざじや。』
「カゼネコ!!」
不時着した操縦拝つき黒雲の横で座り込んだカゼネコに気が付いた闇乃宮討伐隊メンバーは各々の武器を抜く。
『ドウシ殿がかつて主様より賜りになったアレを数百年もの間、隠し持っていたのはとにかく……ああなってしまっては私一人の手に負える相手ではありませぬ。
それ故……第五闘戯場の主としてサンの郎党共のみならず最悪の事態に備えて兄者とシネコ君をお呼びしたのです』
『……』
『私はもうダメですが……囮や盾程度にはなります。兄者どうか、お願いです……ドウシ様を』
「まてよ、ジジイ」
『ナルカミノモノ様!?』
感傷的な展開に割り入り、魔力・体力全快薬の瓶を差し出す須田丸。
「暗黒卿、こいつはおめぇら猫共にも効くんだろ? アイツが俺らに気づく前に飲ませてやれ」
最後の数本となった天然の石柱破壊に手をかけつつある闇堕ちナルカミノミヤを指さしつつ須田丸は続ける。
『……どういうつもりだ?』
「どうもこうもねぇよ。 俺らだってナルカミノミヤには死なれちゃ困るし助けたいんだよ。
だからほら、さっさと回復しろ。それであいつをぶん殴って止めるぞ」
『ウドのデカブツ……あんたロックすぎんだろ』
「須田丸おじさん、カッコイイ……」
「須田丸くん、奴と生身での直接対決は危険だ……呉井さんが君に渡していたアレを使おう」
「奇遇だねぇ、雲隠のアニキ。俺も同じことを考えていたよ」
「ヒノモノ様、我々にもご指示を!!」
(普通なパニックに陥ってバラバラになってもおかしくないこの場をまとめあげるとは……流石は壇条学院オカルト研究会のリーダーだ!!)
須田丸の男気と雲隠総大将の風格に魅了され、一致団結する闇乃宮メンバーとマヨイガメンバー。
二大戦闘特化型マヨイガエレメント使いとしてチノミヤノミコト戦やタメシヤノミコト様戦で見せつけたあのベストカップルっぷりを回想してしまった茜は自身も魔力回復薬を飲みつつ暴走ナルカミノミヤ戦に備える。
【第45話につづく】
『水神紋の娘よ、あの者らは一体どうしたと言うのじゃ?』
第五闘戯場、控室のオブジェクトの口を借りてルール変更の詔を下そうとしたものの、子供達の悲鳴のせいで話が進まなくなってしまったヤミノミヤノミコトこと死巫女ルイ。
困ったルイは隣の座敷牢内で人魂ツミレを閉じ込めた籠を胸元に押し込んで着物の前をぎゅっと閉ざした美香に問う。
「ええとですね……」
(アンタがコミュニケーションツールにつこうとるモンがホラーすぎるんや。もうちょいかわええモンに憑かんとあかんやろ)
『うむ、それでいいのか? ならば……』
チノモノ英里子の歯に衣着せぬ助言を受けてルイが行動に移そうとしたその時だった。
「待って、ルイ!! 向こうの様子がおかしいわ!!」
銅鏡の向こうで突如として生じた時空の歪みと共に第五闘戯場控室から消えて行く闇乃宮討伐隊メンバー達とその案内人ヤミネコと人質のシネコに気づいた時にはすでに遅し。
その場にいた合計9人は雲散霧消してしまう。
「雲隠にみんな!! どうやってここに!?」
第五闘戯場、上空で繰り広げられたセブンスソウル争奪(破壊)戦で暴走ナルカミノミヤにカゼネコを投げつけられ、バランスを崩した黒雲。
失速して墜落するそれをどうにか操舵し、地面をえぐってオーバーランさせながらもどうにか不時着させた式神ライの治療中だった茜は突如箱庭世界に現れた11人に驚く。
「茜おばさん!! 私達の所にヤミノミヤノミコトが現れたの、それで……気がついたらここにいて」
「ちくしょう、あいつめ!! はめやがったな!!」
『ウガァァァァァ!! グヤァァァァァ!!』
セブンスソウルの影響で3メートル級の超巨躯化&筋骨隆々マッスル化した小柄な少年五武神が全身に黒雷を纏い、黒いヤマアラシロングヘアーを振り乱しながら石柱を手当たり次第に破壊していく咆哮と破壊音が響く第五闘戯場、石柱箱庭世界に放り込まれたタケルは悪態をつく。
『雲隠の御子息殿、主様ではない。ワシのしわざじや。』
「カゼネコ!!」
不時着した操縦拝つき黒雲の横で座り込んだカゼネコに気が付いた闇乃宮討伐隊メンバーは各々の武器を抜く。
『ドウシ殿がかつて主様より賜りになったアレを数百年もの間、隠し持っていたのはとにかく……ああなってしまっては私一人の手に負える相手ではありませぬ。
それ故……第五闘戯場の主としてサンの郎党共のみならず最悪の事態に備えて兄者とシネコ君をお呼びしたのです』
『……』
『私はもうダメですが……囮や盾程度にはなります。兄者どうか、お願いです……ドウシ様を』
「まてよ、ジジイ」
『ナルカミノモノ様!?』
感傷的な展開に割り入り、魔力・体力全快薬の瓶を差し出す須田丸。
「暗黒卿、こいつはおめぇら猫共にも効くんだろ? アイツが俺らに気づく前に飲ませてやれ」
最後の数本となった天然の石柱破壊に手をかけつつある闇堕ちナルカミノミヤを指さしつつ須田丸は続ける。
『……どういうつもりだ?』
「どうもこうもねぇよ。 俺らだってナルカミノミヤには死なれちゃ困るし助けたいんだよ。
だからほら、さっさと回復しろ。それであいつをぶん殴って止めるぞ」
『ウドのデカブツ……あんたロックすぎんだろ』
「須田丸おじさん、カッコイイ……」
「須田丸くん、奴と生身での直接対決は危険だ……呉井さんが君に渡していたアレを使おう」
「奇遇だねぇ、雲隠のアニキ。俺も同じことを考えていたよ」
「ヒノモノ様、我々にもご指示を!!」
(普通なパニックに陥ってバラバラになってもおかしくないこの場をまとめあげるとは……流石は壇条学院オカルト研究会のリーダーだ!!)
須田丸の男気と雲隠総大将の風格に魅了され、一致団結する闇乃宮メンバーとマヨイガメンバー。
二大戦闘特化型マヨイガエレメント使いとしてチノミヤノミコト戦やタメシヤノミコト様戦で見せつけたあのベストカップルっぷりを回想してしまった茜は自身も魔力回復薬を飲みつつ暴走ナルカミノミヤ戦に備える。
【第45話につづく】
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

Link's
黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。
人類に仇なす不死の生物、"魔属”
そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者”
人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている――
アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。
ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。
やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に――
猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~
夢・風魔
ファンタジー
*タイトル少し変更しました。
全ての能力が平均的で、これと言って突出したところもない主人公。
適正職も見つからず、未だに見習いから職業を決められずにいる。
パーティーでは荷物持ち兼、交代要員。
全ての見習い職業の「初期スキル」を使えるがそれだけ。
ある日、新しく発見されたダンジョンにパーティーメンバーと潜るとモンスターハウスに遭遇してパーティー決壊の危機に。
パーティーリーダーの裏切りによって囮にされたロイドは、仲間たちにも見捨てられひとりダンジョン内を必死に逃げ惑う。
突然地面が陥没し、そこでロイドは『ステータスボード』を手に入れた。
ロイドのステータスはオール25。
彼にはユニークスキルが備わっていた。
ステータスが強制的に平均化される、ユニークスキルが……。
ステータスボードを手に入れてからロイドの人生は一変する。
LVUPで付与されるポイントを使ってステータスUP、スキル獲得。
不器用大富豪と蔑まれてきたロイドは、ひとりで前衛後衛支援の全てをこなす
最強の冒険者として称えられるようになる・・・かも?
【過度なざまぁはありませんが、結果的にはそうなる・・みたいな?】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる