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第四章:『闇乃宮参ノ闘戯場/地獣キネコ』
【第21話】
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「フウ、チノモノを!!」
「はいっ!!」
フォーメーションチェンジで五武神が敵を羽交い締めにして押さえている間に突如地面に倒れて息を荒くする仲間に駆け寄るフウ。
「あっ、あかん……体が熱い!! 熱すぎて志〇雄シンジツやぁぁ!!」
助け起こす式神フウにいつものように小粋なネタジョークを発する英里子であるが、顔は真っ赤で目は焦点が定まらず呂律も回らない。
フウはこの第三闘戯場にどこか毒トラップでもあったのかと足元を警戒してしまう。
「おまぇ、何を仕込みやがった!!」
『仕込んだとは人聞きの悪い……おそらく地神紋のもののふ殿はチノミヤ殿が久方ぶりに解放した神力布に蓄えられていた膨大な魔力負荷に耐えきれなかったのでしょう。
流石の私も五武神様の力で強化されたお2人を同時に相手するのは中々大変だったので……私にとっては危ない所でした』
「くっ!!」
地神紋を持つとは言え人のもののふでは自身の魔力放出強化に耐えきれなかったのか……初めての共同戦線の作戦失敗に顔を歪めるチノミヤノミコト。
『私も恨みはありませんが主君の手前見逃すわけにはいきませぬ……死んでもらいますぞ、チノモノ殿』
「うぉぉぉぉぉ!!」
とにかくこいつを押さえねば、そう判断したチノミヤノミコト様は神力布に蓄えられた魔力でセルフ強化し続ける。
「くそっ、ホンマに指一本動かん、アカン、アカンやつやで……」
「あとお前の一発で終わらせられるはずだったのに……どうすればいいんだ!?」
チノミヤノミコト様が膨大な魔力を蓄えていらっしゃったとは言え敵が敵だけに筋肉で押さえ込めるのもそう長くない。かと言って今の英里子にゴーレムアムド再装着させて攻撃させるなんてのは無茶だ。
膝の上で苦しむ英里子を前に何もできないフウは自身の非力さを悔やむ。
その時だった
「フレーッ! フレーッ! え・り・こ!!」
「フレーッ! フレーッ! え・り・こ!!」
観客席から聞こえる須田丸とゼドの声に上を見やったフウ。
その最前列で2人がTHE・ERIKOのサインロゴTシャツ上に黒いバンカラ学ランを羽織り、見たことも無い勇壮な舞を見せる様に戸惑う。
「あれは、応援団やで……フウちゃん!!」
「あれがそうだと言うのか……!?」
かつて壇条学院オカルト研究会、マヨイガ探索隊が地乃宮でおこなったごぉれむ相撲三本勝負。
もののふ達がピンチの最中、特殊霊衣・ツメエリ黒ガクランを装着した人魚族が一世一代の大戦に挑む若きもののふの魂を鼓舞し、その力を開放する儀式を行ったと聞いていたフウは初めて見るその現物の勇壮さに息を呑む。
「フレーッ! フレーッ! ね、え、さまっ!!」
「ライちゃん!?」
「フレーッ! フレーッ! オッメエラ!!」
「シルバーくん!?」
「フレーッ! フレーッ!」
「ふれぇぃ、ふれえぃ!!」
「フレーッ! フレーッ! 部長!!」
「負けるな負けるな!! 呉井!!」
明らかに初めてで2人の熱血応援団長の動きについていけてない闇乃宮討伐隊メンバー達。
バラバラで統一感もクソも無い酷い代物ながら祝詞と共に拳を突き出す豪勇な戦舞れを見せつけられた英里子の中で絶対勝利の意思が燃え上がる。
「せや、動けんなら……フウちゃん、ウチとあんたの合体技や!!
「合体技だと!?」
「今からウチをその中に吸い込むんや!! 『クリエイト・ストーン!!』」
そう言いつつ地神紋の力で大量の岩を生成した英里子。
「なるほど、死ぬなよチノモノ!!『風吸封(ふうきゅうふう)』」
風袋の口を開き、周囲の岩と地面の砂もろとも英里子を吸引して行くフウ。
『あっ、あいつらは何をしているのだ? あれで我を殴ろうとでもいうのか?』
「どうやらそのようだな……ますます行かせんぞ!!」
『くそっ、放せ!! 離れろぅ!!』
チノミヤの剛腕拘束から逃れようとするキネコ。
『ハイディフェンス』『ハイディフェンス』
『ハイパワード』『ハイパワード』
(おいおい、この袋の中から聞こえる声はまさか……あのチノモノは何をする気だ!?)
袋の中から聞こえる不穏なサポートスキル詠唱に冷や汗をかくキネコ。
『ええで、フウちゃん!!』
「おらぁぁぁぁぁ!!」
英里子の合図を受け、大風袋を頭上で振り回しながらドカドカと突撃して行くフウ。
(これは顔面だ!!)
そう察したキネコは歯を食いしばる。
『ヘヴィストーンバッグハンマー!!』
『ぐぉうっ!!』
遠心力による加速付きで腹部に打ち込まれる強烈な石袋。
その衝撃に文字通りキネコの目玉が飛び出す。
【第22話に続く】
「はいっ!!」
フォーメーションチェンジで五武神が敵を羽交い締めにして押さえている間に突如地面に倒れて息を荒くする仲間に駆け寄るフウ。
「あっ、あかん……体が熱い!! 熱すぎて志〇雄シンジツやぁぁ!!」
助け起こす式神フウにいつものように小粋なネタジョークを発する英里子であるが、顔は真っ赤で目は焦点が定まらず呂律も回らない。
フウはこの第三闘戯場にどこか毒トラップでもあったのかと足元を警戒してしまう。
「おまぇ、何を仕込みやがった!!」
『仕込んだとは人聞きの悪い……おそらく地神紋のもののふ殿はチノミヤ殿が久方ぶりに解放した神力布に蓄えられていた膨大な魔力負荷に耐えきれなかったのでしょう。
流石の私も五武神様の力で強化されたお2人を同時に相手するのは中々大変だったので……私にとっては危ない所でした』
「くっ!!」
地神紋を持つとは言え人のもののふでは自身の魔力放出強化に耐えきれなかったのか……初めての共同戦線の作戦失敗に顔を歪めるチノミヤノミコト。
『私も恨みはありませんが主君の手前見逃すわけにはいきませぬ……死んでもらいますぞ、チノモノ殿』
「うぉぉぉぉぉ!!」
とにかくこいつを押さえねば、そう判断したチノミヤノミコト様は神力布に蓄えられた魔力でセルフ強化し続ける。
「くそっ、ホンマに指一本動かん、アカン、アカンやつやで……」
「あとお前の一発で終わらせられるはずだったのに……どうすればいいんだ!?」
チノミヤノミコト様が膨大な魔力を蓄えていらっしゃったとは言え敵が敵だけに筋肉で押さえ込めるのもそう長くない。かと言って今の英里子にゴーレムアムド再装着させて攻撃させるなんてのは無茶だ。
膝の上で苦しむ英里子を前に何もできないフウは自身の非力さを悔やむ。
その時だった
「フレーッ! フレーッ! え・り・こ!!」
「フレーッ! フレーッ! え・り・こ!!」
観客席から聞こえる須田丸とゼドの声に上を見やったフウ。
その最前列で2人がTHE・ERIKOのサインロゴTシャツ上に黒いバンカラ学ランを羽織り、見たことも無い勇壮な舞を見せる様に戸惑う。
「あれは、応援団やで……フウちゃん!!」
「あれがそうだと言うのか……!?」
かつて壇条学院オカルト研究会、マヨイガ探索隊が地乃宮でおこなったごぉれむ相撲三本勝負。
もののふ達がピンチの最中、特殊霊衣・ツメエリ黒ガクランを装着した人魚族が一世一代の大戦に挑む若きもののふの魂を鼓舞し、その力を開放する儀式を行ったと聞いていたフウは初めて見るその現物の勇壮さに息を呑む。
「フレーッ! フレーッ! ね、え、さまっ!!」
「ライちゃん!?」
「フレーッ! フレーッ! オッメエラ!!」
「シルバーくん!?」
「フレーッ! フレーッ!」
「ふれぇぃ、ふれえぃ!!」
「フレーッ! フレーッ! 部長!!」
「負けるな負けるな!! 呉井!!」
明らかに初めてで2人の熱血応援団長の動きについていけてない闇乃宮討伐隊メンバー達。
バラバラで統一感もクソも無い酷い代物ながら祝詞と共に拳を突き出す豪勇な戦舞れを見せつけられた英里子の中で絶対勝利の意思が燃え上がる。
「せや、動けんなら……フウちゃん、ウチとあんたの合体技や!!
「合体技だと!?」
「今からウチをその中に吸い込むんや!! 『クリエイト・ストーン!!』」
そう言いつつ地神紋の力で大量の岩を生成した英里子。
「なるほど、死ぬなよチノモノ!!『風吸封(ふうきゅうふう)』」
風袋の口を開き、周囲の岩と地面の砂もろとも英里子を吸引して行くフウ。
『あっ、あいつらは何をしているのだ? あれで我を殴ろうとでもいうのか?』
「どうやらそのようだな……ますます行かせんぞ!!」
『くそっ、放せ!! 離れろぅ!!』
チノミヤの剛腕拘束から逃れようとするキネコ。
『ハイディフェンス』『ハイディフェンス』
『ハイパワード』『ハイパワード』
(おいおい、この袋の中から聞こえる声はまさか……あのチノモノは何をする気だ!?)
袋の中から聞こえる不穏なサポートスキル詠唱に冷や汗をかくキネコ。
『ええで、フウちゃん!!』
「おらぁぁぁぁぁ!!」
英里子の合図を受け、大風袋を頭上で振り回しながらドカドカと突撃して行くフウ。
(これは顔面だ!!)
そう察したキネコは歯を食いしばる。
『ヘヴィストーンバッグハンマー!!』
『ぐぉうっ!!』
遠心力による加速付きで腹部に打ち込まれる強烈な石袋。
その衝撃に文字通りキネコの目玉が飛び出す。
【第22話に続く】
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