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第三章:『闇乃宮弐ノ闘戯場/水獣アオネコ』
【第12話】
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『にゃっはー!!』
『きるゆー!!』
『げひゃひゃひゃぁ!!』
そんな予測をあざ笑うかのように水中から飛び出し、頭上からの奇襲を仕掛けるアオネコ。
「3体!?」
弓矢、ナイフ、槍で武装した3体のアオネコが同時に襲い掛かって来ると言う予測不能展開に反応が遅れるタケル。
『エレメントプラス!! ヴォルトパンチ!!』
とっさにエレメントプラスしたデストロイアームを上に殴り上げた須田丸。
その衝撃で拡散した電撃波は網のように拡散し、3体のアオネコを感電させる。
『ギャピッ!!』
短い悲鳴を上げて落ちて行くアオネコの肉体は形をとどめたまま青いゲル液に変化し、水のなかでバラバラに溶解消滅してしまう。
「これは……あの水神紋技に違いない!! 2人共、すぐに上に逃げろ!!」
「ゴブガミさん!?」
「!?」
いつもニヤニヤヘラヘラして道化に徹しているゴブガミが初めて見せる武神の顔。
大戦扇を広げ構えて水面を睨み回す様に2人は思わず腰が引ける。
『かかれぇ !!』
『にゃああああん!!』
水面から同時に飛び出して来た10数体の武装アオネコは水上足場の3人に一斉に襲い掛かる。
「ゼド、何が起こってるの!?」
眼下の第二闘戯場で無限に湧いてくる敵を遠ざけ続けるべく石突きで攻撃するタケルとデストロイガトリング乱射する須田丸、大戦扇ではたきおとすゴブガミを見守る茜、
「わっ、私も……あんな水エレメント技は祖父の祖父のそのまた祖父からすら聞いたことも無い!」
茜からの問いかけに答えられないゼド村長。
「フウ姉さま、あのままでは主様が……」
「わかってるよ、ライちゃん!! とにかくあの無限湧きをどうにかしないと時間の問題だぜ」
主たるゴブガミの危機にどうしようもないカゼノミヤミコト眷族式神姉妹。
「ミズノミヤ!!」
「うむ、間違いないぞよ!! あの技は……水神紋を極めし雲隠の最終奥義ぞよ!!」
「雲隠!?」
チノミヤ様とミズノミヤ様の発したキーワードに12人の目線が探に注がれる。
「ミズノミヤ様、私は火神紋なのですが……?」
「それは分かっている、雲隠……かつて雲隠の一族はマヨイガの儀に挑みしもののふについて後世に残すべく多くの記録を行っていた」
動揺するミズノミヤノミコト様に代わり、重い声で語り出すチノミヤノミコト様。
「その中で特に重んじられていたのが各々の神紋の力を最大限に引き出し、新たな技を編み出した天賦の才を持つ者の記録だ」
「そんな物初めて聞いたわ!」
自宅に保管されていた御鐡院家史アーカイブを熟読した茜は全ての記憶を参照しつつ問い返す。
「カゼノモノよ、それは当然の話だ。この記録は両家の長と我らしか知らぬ場所に厳重保管され、雲隠・御鐵院両家の者でもごく少数しかその存在を知らされていなかった秘伝武術書だからな」
『……最終的にその記録に残された優れしもののふは7人。雲隠の一族はその7人のもののふを『迷処七天賦』として神格化し、タメシヤノミコトとマヨイガ五武神に次ぐ存在として扱っていた。
あのマヨイガエレメント技は水神紋を与えられしもののふ雲隠 水亨(くもがくれ みずあき)が編み出ししマヨイガ神紋技『水身御供(みずみごくう)』。己の肉体そのものを魔力操作して液体化させるのみならず周囲の液体を取り込んで操り、十分な体積量の水分があれば自律行動型の魔力分身として形成する事も可能とするモノだ』
眼下の第二闘戯場を見下ろしつつ無言で座っていたヤミネコの滑らかな解説に思わず聞き入ってしまう闇乃宮討伐隊メンバー達。
「ふむ、まさにその通りだが……何故、見知らぬそなたが一字一句違わぬ程に熟読出来ている? 事と次第によっては、五武神長として看過できぬぞ?」
ずんずんと向かってくるチノミヤノミコトに対し、立ち上がるヤミネコ。
眼下でジリ貧の戦いを強いられる3人と観客席でにらみ合うチノミヤノミコトと謎多き黒甲冑の男ヤミネコと言う展開に皆どうすべきかわからなくなる。
「チノミヤ殿!! この場で荒事はおやめくだ……『マヨイガ神技:水神結界!!』」
手近に武器があれば手にかけかねない一触即発な2人物理はもちろん言葉で止めるのは不可能と判断したミズノミヤノミコト様は何があっても大丈夫なように九字切りで結界を生成して皆を守る。
「ミズノミヤ様!?」
「雲隠、ひとまずは動くな!!」
『黙ってスマホを見ろ』
上も下も一触即発な第二闘戯場、最悪の事態に備えていたミズノミヤノミコト様が四次元振袖から取り出して後ろの3人に見せてくる紙切れ。
(なっ、なんや……いきなり? あれっ、マヨイガゲートに着信ありやで?)
わけもわからないままスマホを取り出したマヨイガ神紋持ちの3人はマヨイガ保全管理で利用する御鐵院グループICT部門謹製アプリケーションに新着通知がある事に気が付く。
(この受信データはドキュメントだわ……だれがこんな物を?)
(随分重いデータだぞ、あれっ? これはまさか……)
ダウンロード完了した『現代語訳版 迷処七天賦』と言うデジタルドキュメントデータに3人は一瞬あっと叫びそうになるが、それが脳のシナプス指令である間にストップさせ無言で驚く。
(こっ、これはホンマもんか!?)
(とにかく私達はこれを読まなくてはならないわ!! 2人共早く!!)
チノミヤノミコト様とミズノミヤノミコト様の意図を察した3人はヤミネコに気取られないようにスマホのデジタルドキュメントデータをすぐさま読み始める。
【第13話に続く】
『きるゆー!!』
『げひゃひゃひゃぁ!!』
そんな予測をあざ笑うかのように水中から飛び出し、頭上からの奇襲を仕掛けるアオネコ。
「3体!?」
弓矢、ナイフ、槍で武装した3体のアオネコが同時に襲い掛かって来ると言う予測不能展開に反応が遅れるタケル。
『エレメントプラス!! ヴォルトパンチ!!』
とっさにエレメントプラスしたデストロイアームを上に殴り上げた須田丸。
その衝撃で拡散した電撃波は網のように拡散し、3体のアオネコを感電させる。
『ギャピッ!!』
短い悲鳴を上げて落ちて行くアオネコの肉体は形をとどめたまま青いゲル液に変化し、水のなかでバラバラに溶解消滅してしまう。
「これは……あの水神紋技に違いない!! 2人共、すぐに上に逃げろ!!」
「ゴブガミさん!?」
「!?」
いつもニヤニヤヘラヘラして道化に徹しているゴブガミが初めて見せる武神の顔。
大戦扇を広げ構えて水面を睨み回す様に2人は思わず腰が引ける。
『かかれぇ !!』
『にゃああああん!!』
水面から同時に飛び出して来た10数体の武装アオネコは水上足場の3人に一斉に襲い掛かる。
「ゼド、何が起こってるの!?」
眼下の第二闘戯場で無限に湧いてくる敵を遠ざけ続けるべく石突きで攻撃するタケルとデストロイガトリング乱射する須田丸、大戦扇ではたきおとすゴブガミを見守る茜、
「わっ、私も……あんな水エレメント技は祖父の祖父のそのまた祖父からすら聞いたことも無い!」
茜からの問いかけに答えられないゼド村長。
「フウ姉さま、あのままでは主様が……」
「わかってるよ、ライちゃん!! とにかくあの無限湧きをどうにかしないと時間の問題だぜ」
主たるゴブガミの危機にどうしようもないカゼノミヤミコト眷族式神姉妹。
「ミズノミヤ!!」
「うむ、間違いないぞよ!! あの技は……水神紋を極めし雲隠の最終奥義ぞよ!!」
「雲隠!?」
チノミヤ様とミズノミヤ様の発したキーワードに12人の目線が探に注がれる。
「ミズノミヤ様、私は火神紋なのですが……?」
「それは分かっている、雲隠……かつて雲隠の一族はマヨイガの儀に挑みしもののふについて後世に残すべく多くの記録を行っていた」
動揺するミズノミヤノミコト様に代わり、重い声で語り出すチノミヤノミコト様。
「その中で特に重んじられていたのが各々の神紋の力を最大限に引き出し、新たな技を編み出した天賦の才を持つ者の記録だ」
「そんな物初めて聞いたわ!」
自宅に保管されていた御鐡院家史アーカイブを熟読した茜は全ての記憶を参照しつつ問い返す。
「カゼノモノよ、それは当然の話だ。この記録は両家の長と我らしか知らぬ場所に厳重保管され、雲隠・御鐵院両家の者でもごく少数しかその存在を知らされていなかった秘伝武術書だからな」
『……最終的にその記録に残された優れしもののふは7人。雲隠の一族はその7人のもののふを『迷処七天賦』として神格化し、タメシヤノミコトとマヨイガ五武神に次ぐ存在として扱っていた。
あのマヨイガエレメント技は水神紋を与えられしもののふ雲隠 水亨(くもがくれ みずあき)が編み出ししマヨイガ神紋技『水身御供(みずみごくう)』。己の肉体そのものを魔力操作して液体化させるのみならず周囲の液体を取り込んで操り、十分な体積量の水分があれば自律行動型の魔力分身として形成する事も可能とするモノだ』
眼下の第二闘戯場を見下ろしつつ無言で座っていたヤミネコの滑らかな解説に思わず聞き入ってしまう闇乃宮討伐隊メンバー達。
「ふむ、まさにその通りだが……何故、見知らぬそなたが一字一句違わぬ程に熟読出来ている? 事と次第によっては、五武神長として看過できぬぞ?」
ずんずんと向かってくるチノミヤノミコトに対し、立ち上がるヤミネコ。
眼下でジリ貧の戦いを強いられる3人と観客席でにらみ合うチノミヤノミコトと謎多き黒甲冑の男ヤミネコと言う展開に皆どうすべきかわからなくなる。
「チノミヤ殿!! この場で荒事はおやめくだ……『マヨイガ神技:水神結界!!』」
手近に武器があれば手にかけかねない一触即発な2人物理はもちろん言葉で止めるのは不可能と判断したミズノミヤノミコト様は何があっても大丈夫なように九字切りで結界を生成して皆を守る。
「ミズノミヤ様!?」
「雲隠、ひとまずは動くな!!」
『黙ってスマホを見ろ』
上も下も一触即発な第二闘戯場、最悪の事態に備えていたミズノミヤノミコト様が四次元振袖から取り出して後ろの3人に見せてくる紙切れ。
(なっ、なんや……いきなり? あれっ、マヨイガゲートに着信ありやで?)
わけもわからないままスマホを取り出したマヨイガ神紋持ちの3人はマヨイガ保全管理で利用する御鐵院グループICT部門謹製アプリケーションに新着通知がある事に気が付く。
(この受信データはドキュメントだわ……だれがこんな物を?)
(随分重いデータだぞ、あれっ? これはまさか……)
ダウンロード完了した『現代語訳版 迷処七天賦』と言うデジタルドキュメントデータに3人は一瞬あっと叫びそうになるが、それが脳のシナプス指令である間にストップさせ無言で驚く。
(こっ、これはホンマもんか!?)
(とにかく私達はこれを読まなくてはならないわ!! 2人共早く!!)
チノミヤノミコト様とミズノミヤノミコト様の意図を察した3人はヤミネコに気取られないようにスマホのデジタルドキュメントデータをすぐさま読み始める。
【第13話に続く】
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