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第三章:『闇乃宮弐ノ闘戯場/水獣アオネコ』
【第9話】
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(こっ、こわあ……)
(ボク、いくらセクシー美女でもああいう女のヒト(?)は嫌だなぁ……)
(強敵を相手に舌戦一本とるたあ……流石は英里子姉ちゃんだぜ!!)
第二闘戯場で対戦指名され、先に動いたら負けのにらみ合いの最中で突如始まった女と女の場外乱闘。
英里子の挑発で勝手に格を下げていくばかりの敵に物理的に斬り込むわけにもいかず様子を見守っていたイケメン(?)3人衆。
『上等だ、テメェ……次は必ずオマエを対戦指名し、ヒトカワ剥いで泣き叫ばせながら嬲り殺しにやる』
「ほぉ……その厨二悪役フレーズ悪ぅないやないの? キミ、ハ―レム作るより前にラノベとか少年マンガでも作って有名になったらどうや? ウチええ出版社紹介するで?」
『ヂッ……』
何を言っても揚げ足をとってきて屁理屈をこね回し、イラつかせるだけの下品で口の悪い女に何を言っても無駄だ。諦めたアオネコはイケメン確保と並ぶサディスティックな新目標を達成すべく盤上の3人に満面の笑顔で向き直る。
『と、言うわけで……殺りあいましょ、ボクくん』
『! !』
瞬時にナイフ2本を逆手持ちにし、中腰から4つんばいになったアオネコはしなやかな動きで地面を蹴って大跳躍。
前衛を担う須田丸とゴブガミの隙間を一瞬ですり抜けて後衛のタケルの懐に飛び込み、首の急所をクロススラッシュ一閃で搔っ切ろうとする。
『ヒートセンス!! シールドパリィ!!』
『にゃっ!?』
目の中に炎が燃え上がると同時に右腕の丸盾と左腕の鉄輪籠手で双凶刃を弾き飛ばしたタケル。
『エレメントショット・サンダー!!』
『ピギャッ!!』
懐に飛び込んで来た敵の攻撃をさばいたタケルは小さいながらも強力な電撃球を至近距離の敵の腹部にダイレクトショット追撃。
『エレメントプラス・ストーン!!』『パワード!!』
そのまま全身ビリビリな敵の両腕を瞬発的に掴んで動きを止めたタケルは自身の頭防具前面を石で覆いつつ自身をサポートスキルで強化。
『にゃっ!? それだけは……』
『イシアタマ!!』
目の前の少年が何をする気か察したものの、逃げることも出来ないアオネコ。
見た目、物理面においてそのままな石頭がその頭部に叩きこまれる。
「お兄ちゃん、ナイス!!」
兄に返り討ちにされ、強烈な頭突きで膝をついてしまったアオネコに観客席からグッジヨブするエミ。
「か―っ!! 両腕ホールドからの頭突き……あれは痛い、マジで痛い奴や!! タケル君かわええ系イケメンBOYやのにえげつない事やるわあ、マジでアカンわ……」
須田丸のプロレス技の師にして格闘技大好き女子の英里子は思わず額に手を当てる。
「黙れ、ショタコンメガネ……それよりあいつ、火のマヨイガ紋じゃなかったのか? 何で紋も無いのに雷と岩のエレメントプラスが使えるんだ?」
「誰がショタコンメガネや、お前こそピンクデカボ院やろ!!」
「ああ、僕や五武神様方もわからないのだが……タケルは何故か『水』を除く4つのマヨイガエレメントを全て使えてしまう特異体質なんだ」
「何だと、そんなの初めて聞いたぞ!?」
「うっ、ウチが悪かっ……かんにんや、デカ……ボ院」
売り言葉に買い言葉&仏の顔は一度まで、英里子をおしおきヘッドロックで処していた茜は探の解説に驚きの声を上げる。
「雲隠よ、そこから先はわらわが話そうぞ」
最前列で第二闘戯場を見守っていた4人の所に降りて来るミズノミヤノミコト様。
「タケルとエミはそもそもにして赤子の頃からマヨイガポータルに入れたのだが……その事は知っておるな?」
「はい、聞いておりますミズノミヤノミコト様」
「そればかりかタケルは神紋の武者を両親に持つ雲隠の嫡子としてその能力を自然開花。
それどころか齢にして五つの頃には父と同じマヨイガ紋を顕現させたのみならず、追加3つのマヨイガエレメントを使えるようになったのだ……これがどれほどのことかお主らにはわかるな?」
マヨイガ神紋を授かった後、今後のマヨイガ維持保全活動に活かすべく他のエレメントも習得できないか試した事もある茜と英里子は思わずうなずく。
「これまでにもメインとサブのような形で2つのマヨイガエレメントを使えるもののふはごく少数いたにはいたのだが……4つと言うのは主様もわらわ達も初めてでな。
ここまで数百年に一人レベルの天賦の才を見せつけられてしまえば武神たるわらわ達が各々マンツーマンでその扱いを教えるべきなのだが……試練の管理者として中立であらねばならぬ以上、それは出来ぬのだ」
「それを踏まえて僕と美香、そして武神様方を話し合った結果……全てのエレメントの扱いを心得ていて指導者としても優秀、なおかつ立場も中立に近いマーメイドウォーリァーのツミレさんがタケルとエミの指導者として選ばれたんだ……今まで黙っていて済まない」
ミズノミヤ様と共に話を締めくくった探は仲間に頭を下げる。
「そんなとんでもない!! 頭を上げてくれ、探!!」
「せやで雲隠さん!! あんたはなんも悪ぅないで」
タケルの天賦の才については両親が2人そろってマヨイガ神紋持な激レア夫婦であり、父方に至ってはマヨイガ管理者たる神職の血筋であると言う事実だけである程度納得出来る。
だが子供のころから望まぬマヨイガ入りを何度も繰り返してきた当事者の探にとっては息子や娘に同じ運命を背負わせるわけにはいかない……仲間としてここに至るまでの葛藤と遼巡が痛い程わかる2人は探を止める。
「パパに茜さんと英里子さん……あれ、あれ」
茜の戦巫女装束の袖を引き、3人に眼下の第二闘戯場を見るように促すエミ。
【第10話に続く】
(ボク、いくらセクシー美女でもああいう女のヒト(?)は嫌だなぁ……)
(強敵を相手に舌戦一本とるたあ……流石は英里子姉ちゃんだぜ!!)
第二闘戯場で対戦指名され、先に動いたら負けのにらみ合いの最中で突如始まった女と女の場外乱闘。
英里子の挑発で勝手に格を下げていくばかりの敵に物理的に斬り込むわけにもいかず様子を見守っていたイケメン(?)3人衆。
『上等だ、テメェ……次は必ずオマエを対戦指名し、ヒトカワ剥いで泣き叫ばせながら嬲り殺しにやる』
「ほぉ……その厨二悪役フレーズ悪ぅないやないの? キミ、ハ―レム作るより前にラノベとか少年マンガでも作って有名になったらどうや? ウチええ出版社紹介するで?」
『ヂッ……』
何を言っても揚げ足をとってきて屁理屈をこね回し、イラつかせるだけの下品で口の悪い女に何を言っても無駄だ。諦めたアオネコはイケメン確保と並ぶサディスティックな新目標を達成すべく盤上の3人に満面の笑顔で向き直る。
『と、言うわけで……殺りあいましょ、ボクくん』
『! !』
瞬時にナイフ2本を逆手持ちにし、中腰から4つんばいになったアオネコはしなやかな動きで地面を蹴って大跳躍。
前衛を担う須田丸とゴブガミの隙間を一瞬ですり抜けて後衛のタケルの懐に飛び込み、首の急所をクロススラッシュ一閃で搔っ切ろうとする。
『ヒートセンス!! シールドパリィ!!』
『にゃっ!?』
目の中に炎が燃え上がると同時に右腕の丸盾と左腕の鉄輪籠手で双凶刃を弾き飛ばしたタケル。
『エレメントショット・サンダー!!』
『ピギャッ!!』
懐に飛び込んで来た敵の攻撃をさばいたタケルは小さいながらも強力な電撃球を至近距離の敵の腹部にダイレクトショット追撃。
『エレメントプラス・ストーン!!』『パワード!!』
そのまま全身ビリビリな敵の両腕を瞬発的に掴んで動きを止めたタケルは自身の頭防具前面を石で覆いつつ自身をサポートスキルで強化。
『にゃっ!? それだけは……』
『イシアタマ!!』
目の前の少年が何をする気か察したものの、逃げることも出来ないアオネコ。
見た目、物理面においてそのままな石頭がその頭部に叩きこまれる。
「お兄ちゃん、ナイス!!」
兄に返り討ちにされ、強烈な頭突きで膝をついてしまったアオネコに観客席からグッジヨブするエミ。
「か―っ!! 両腕ホールドからの頭突き……あれは痛い、マジで痛い奴や!! タケル君かわええ系イケメンBOYやのにえげつない事やるわあ、マジでアカンわ……」
須田丸のプロレス技の師にして格闘技大好き女子の英里子は思わず額に手を当てる。
「黙れ、ショタコンメガネ……それよりあいつ、火のマヨイガ紋じゃなかったのか? 何で紋も無いのに雷と岩のエレメントプラスが使えるんだ?」
「誰がショタコンメガネや、お前こそピンクデカボ院やろ!!」
「ああ、僕や五武神様方もわからないのだが……タケルは何故か『水』を除く4つのマヨイガエレメントを全て使えてしまう特異体質なんだ」
「何だと、そんなの初めて聞いたぞ!?」
「うっ、ウチが悪かっ……かんにんや、デカ……ボ院」
売り言葉に買い言葉&仏の顔は一度まで、英里子をおしおきヘッドロックで処していた茜は探の解説に驚きの声を上げる。
「雲隠よ、そこから先はわらわが話そうぞ」
最前列で第二闘戯場を見守っていた4人の所に降りて来るミズノミヤノミコト様。
「タケルとエミはそもそもにして赤子の頃からマヨイガポータルに入れたのだが……その事は知っておるな?」
「はい、聞いておりますミズノミヤノミコト様」
「そればかりかタケルは神紋の武者を両親に持つ雲隠の嫡子としてその能力を自然開花。
それどころか齢にして五つの頃には父と同じマヨイガ紋を顕現させたのみならず、追加3つのマヨイガエレメントを使えるようになったのだ……これがどれほどのことかお主らにはわかるな?」
マヨイガ神紋を授かった後、今後のマヨイガ維持保全活動に活かすべく他のエレメントも習得できないか試した事もある茜と英里子は思わずうなずく。
「これまでにもメインとサブのような形で2つのマヨイガエレメントを使えるもののふはごく少数いたにはいたのだが……4つと言うのは主様もわらわ達も初めてでな。
ここまで数百年に一人レベルの天賦の才を見せつけられてしまえば武神たるわらわ達が各々マンツーマンでその扱いを教えるべきなのだが……試練の管理者として中立であらねばならぬ以上、それは出来ぬのだ」
「それを踏まえて僕と美香、そして武神様方を話し合った結果……全てのエレメントの扱いを心得ていて指導者としても優秀、なおかつ立場も中立に近いマーメイドウォーリァーのツミレさんがタケルとエミの指導者として選ばれたんだ……今まで黙っていて済まない」
ミズノミヤ様と共に話を締めくくった探は仲間に頭を下げる。
「そんなとんでもない!! 頭を上げてくれ、探!!」
「せやで雲隠さん!! あんたはなんも悪ぅないで」
タケルの天賦の才については両親が2人そろってマヨイガ神紋持な激レア夫婦であり、父方に至ってはマヨイガ管理者たる神職の血筋であると言う事実だけである程度納得出来る。
だが子供のころから望まぬマヨイガ入りを何度も繰り返してきた当事者の探にとっては息子や娘に同じ運命を背負わせるわけにはいかない……仲間としてここに至るまでの葛藤と遼巡が痛い程わかる2人は探を止める。
「パパに茜さんと英里子さん……あれ、あれ」
茜の戦巫女装束の袖を引き、3人に眼下の第二闘戯場を見るように促すエミ。
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