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第二章:『闇乃宮・壱ノ闘戯場/火獣アカネコ』
【第7話】
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「なるほど、大人数で来いってえのはこういう意味だったんやね?」
ある意味当たり前ではあるがセーフティルーム復活ありのマヨイガダンジョンとは全く違う仕様、指名された3人が代表として戦うと言う特殊ルール……。
「翁殿のみならず我らが長があのような事になってしまうとは……」
武神に転生する以前のヒトであった頃から御傍に仕えてきた主を失ったショックで呆然とするばかりのチノミヤノミコト様。
「……いまさら思ったんだけど、あんたら神様って死ぬもんなのか? そう言う概念ってどうなの?」
「須田丸!!」
一生モノのトラウマ回避のためとは言え自身の胸でタケルに窒息ベアハッグを長時間食らわせてしまった茜はゼェゼェしているタケルの背中をポンポンして呼吸を整えさせつつ須田丸の不謹慎な言葉を諫める。
「それは難しい質問だねぇ、須田丸君。 ボクらみたいな神様は魂ベースとは言え肉体を持つ君達とは違う存在だからねぇ……ただ、人の魂と違ってボクらの魂そのものを消滅させる事は出来ないとは思うよ。」
「つまリタメシヤノミコト様とヒノミヤノミコト様、ツミレ先生の魂は私達には気づかれず今もどこかをふわふわと漂っている……って事ですか、ゴブガミ先生?」
「その通りだよエミちゃん!! ゴブガミ先生、エミちゃんに花丸100点あげちゃおう!!」
狩衣の四次元振袖に手を入れたゴブガミは人間界の教師として常備していた花丸ピンバッヂをエミに渡す。
「わ―い、ありがとう!!」
久しぶりに見たゴブガミのおふざけに苦笑いする茜に見守られつつニコニコ笑顔で花丸ピンバッデを胸に付けるエミ。
「ついでにタケル君も!!」
「どっ、どうも……」
俺、何も答えてないんだけど……と言う間も無く胸に付けられてしまった花丸ピンバッヂだが何故か悪い気がはしないタケル。
「はぁ……まあそなたのおふざけはいつもの事であるからもうツッコまんぞ。我らの宮ではそれら倒れしもののふの御霊はセーフティルームで蘇生する仕様であったのだが、見た所ここにはそのような施設は無さそうである。
だが我らの宮と同じく魂を外に逃さぬと言うのであれば主様含む3人の魂はどこかで無事なはずぞよ」
「つまり、ツミレ先生も……マヨイガでの俺達みたいに蘇生させられる。そういう事ですよね、 ミズノミヤ様!!」
「まあ理論上はそうなる。だが、戻る道が無い以上……先に進むしかないであろう。総大将殿、我らに指示を」
総大将たるタメシヤノミコト様が去りし今、副大将だった探がそこに収まれ。
ミズノミヤ様が言わんとする事を察した探は頷く。
「おほん、僕たち闇乃宮討伐隊の目的はこの宮に囚われている妻……いや、雲隠 美香を助け出す事であり退路無き以上、進むしかない。これよリチノミヤノミコト様を副大将とし、その最深部を目指す事となる。
どんな危険が待ち構えるかはわからないが……皆、僕についてきてくれ!!」
「おうっ!!」
ヒノモノ探の言葉にその場の全員が応じる。
『……あれっ?』
巨大な敵を倒すべく全身にエレメントプラス・ヴォルトをかけて捨て身突撃し、そのまま焼死したはずのツミレ。
目の前に薄ぼんやりな棒が見える空間で目覚めた彼女は妙にふわつく感覚と共に周りを見回す。
『ここは牢屋?……それに変な色のホタルっすね?』
距離感がいまいちよくわからないが、自分と同じく近くの牢屋(?)に閉じ込められているように見える赤い光球と白い光球をよく見ようとツミレは体を動かす。
『誰が変なホタルじゃ!! この無礼者!!』
『その声はヒノミヤノミコト様……翁殿!?』
赤い光球が点滅と共に叫ぶ声にツミレは驚く。
『ツミレ、ひとまずは無事で何よりです。 そして落ち着いて自分をよく観察してください』
『自分を観察……? あれっ、私のヒレは? 髪に腕に胸は……どこ?』
柔らかく穏やかな白光球の声を受けたツミレは自身の体を触ろうとするが腕そのものが無い事に気づく。
『……まさか、私も!? きゃああああ!!』
自身も淡い青光球になっていた事に気づき、悲鳴を上げるツミレ。
『白い人魂の貴女はタメシヤノミコト様ですよね!? どっ、どういう事ですか? 私、死んじゃったんですか?
まああんな道連れ自滅攻撃で助かるわけがないですけど……でもこんな人魂じゃあ愛槍も持てないし美味しいご飯も食べられないじゃないですか!?』
パニックのあまりわぁわぁ叫んで半泣きになるものの、涙が出る目も無い青光球ツミレ。
『ツミレ、気持ちは分かりますがこの禁術で自由を封じられてしまった私達には何も出来ません……ここがどこかは分かりませんが、皆が無事で救出に来るのを待ちましょう』
『……はい』
タメシヤノミコト様とヒノミヤノミコト様と同じ小さな虫籠に入れられた青い光球・ヒトダマツミレはしょんぼりとした声で答える。
【第8話に続く】
ある意味当たり前ではあるがセーフティルーム復活ありのマヨイガダンジョンとは全く違う仕様、指名された3人が代表として戦うと言う特殊ルール……。
「翁殿のみならず我らが長があのような事になってしまうとは……」
武神に転生する以前のヒトであった頃から御傍に仕えてきた主を失ったショックで呆然とするばかりのチノミヤノミコト様。
「……いまさら思ったんだけど、あんたら神様って死ぬもんなのか? そう言う概念ってどうなの?」
「須田丸!!」
一生モノのトラウマ回避のためとは言え自身の胸でタケルに窒息ベアハッグを長時間食らわせてしまった茜はゼェゼェしているタケルの背中をポンポンして呼吸を整えさせつつ須田丸の不謹慎な言葉を諫める。
「それは難しい質問だねぇ、須田丸君。 ボクらみたいな神様は魂ベースとは言え肉体を持つ君達とは違う存在だからねぇ……ただ、人の魂と違ってボクらの魂そのものを消滅させる事は出来ないとは思うよ。」
「つまリタメシヤノミコト様とヒノミヤノミコト様、ツミレ先生の魂は私達には気づかれず今もどこかをふわふわと漂っている……って事ですか、ゴブガミ先生?」
「その通りだよエミちゃん!! ゴブガミ先生、エミちゃんに花丸100点あげちゃおう!!」
狩衣の四次元振袖に手を入れたゴブガミは人間界の教師として常備していた花丸ピンバッヂをエミに渡す。
「わ―い、ありがとう!!」
久しぶりに見たゴブガミのおふざけに苦笑いする茜に見守られつつニコニコ笑顔で花丸ピンバッデを胸に付けるエミ。
「ついでにタケル君も!!」
「どっ、どうも……」
俺、何も答えてないんだけど……と言う間も無く胸に付けられてしまった花丸ピンバッヂだが何故か悪い気がはしないタケル。
「はぁ……まあそなたのおふざけはいつもの事であるからもうツッコまんぞ。我らの宮ではそれら倒れしもののふの御霊はセーフティルームで蘇生する仕様であったのだが、見た所ここにはそのような施設は無さそうである。
だが我らの宮と同じく魂を外に逃さぬと言うのであれば主様含む3人の魂はどこかで無事なはずぞよ」
「つまり、ツミレ先生も……マヨイガでの俺達みたいに蘇生させられる。そういう事ですよね、 ミズノミヤ様!!」
「まあ理論上はそうなる。だが、戻る道が無い以上……先に進むしかないであろう。総大将殿、我らに指示を」
総大将たるタメシヤノミコト様が去りし今、副大将だった探がそこに収まれ。
ミズノミヤ様が言わんとする事を察した探は頷く。
「おほん、僕たち闇乃宮討伐隊の目的はこの宮に囚われている妻……いや、雲隠 美香を助け出す事であり退路無き以上、進むしかない。これよリチノミヤノミコト様を副大将とし、その最深部を目指す事となる。
どんな危険が待ち構えるかはわからないが……皆、僕についてきてくれ!!」
「おうっ!!」
ヒノモノ探の言葉にその場の全員が応じる。
『……あれっ?』
巨大な敵を倒すべく全身にエレメントプラス・ヴォルトをかけて捨て身突撃し、そのまま焼死したはずのツミレ。
目の前に薄ぼんやりな棒が見える空間で目覚めた彼女は妙にふわつく感覚と共に周りを見回す。
『ここは牢屋?……それに変な色のホタルっすね?』
距離感がいまいちよくわからないが、自分と同じく近くの牢屋(?)に閉じ込められているように見える赤い光球と白い光球をよく見ようとツミレは体を動かす。
『誰が変なホタルじゃ!! この無礼者!!』
『その声はヒノミヤノミコト様……翁殿!?』
赤い光球が点滅と共に叫ぶ声にツミレは驚く。
『ツミレ、ひとまずは無事で何よりです。 そして落ち着いて自分をよく観察してください』
『自分を観察……? あれっ、私のヒレは? 髪に腕に胸は……どこ?』
柔らかく穏やかな白光球の声を受けたツミレは自身の体を触ろうとするが腕そのものが無い事に気づく。
『……まさか、私も!? きゃああああ!!』
自身も淡い青光球になっていた事に気づき、悲鳴を上げるツミレ。
『白い人魂の貴女はタメシヤノミコト様ですよね!? どっ、どういう事ですか? 私、死んじゃったんですか?
まああんな道連れ自滅攻撃で助かるわけがないですけど……でもこんな人魂じゃあ愛槍も持てないし美味しいご飯も食べられないじゃないですか!?』
パニックのあまりわぁわぁ叫んで半泣きになるものの、涙が出る目も無い青光球ツミレ。
『ツミレ、気持ちは分かりますがこの禁術で自由を封じられてしまった私達には何も出来ません……ここがどこかは分かりませんが、皆が無事で救出に来るのを待ちましょう』
『……はい』
タメシヤノミコト様とヒノミヤノミコト様と同じ小さな虫籠に入れられた青い光球・ヒトダマツミレはしょんぼりとした声で答える。
【第8話に続く】
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