5 / 79
第二章:『闇乃宮・壱ノ闘戯場/火獣アカネコ』
【第5話】
しおりを挟む
「ツミレ!!」
「はいっ!! 『エレメントプラス・サンダー!!』」
大蝦墓に熱を食われて死ぬと言う恐怖のあまり大暴れする敵が足場となる円盤の端まで移動したタイミングで弓に矢をつがえたツミレは矢じりに電撃をエレメントプラス。
敵の足の骨と筋肉のわずかな隙間、神経のある箇所にエイムする。
『サンダーアロー!!』
『ぎゃああああ!!』
ツミレが全集中の狙いで放った矢は敵の足目掛けて一直線。
体内温度を下げられて動きが鈍っていた所に足の痛覚神経を貫く電気ショックに悲鳴を上げてバランスを崩すアカネコ。
『帯氷(たいひょう)!!』
『帯石(たいせき) !!』
『帯風(たいふう) !!』
『帯雷(たいらい) !!』
よろめきながらこちらに倒れて来る敵を前にすぐさま袖から出した小ぶりな鉄扇に火を除く4つのマョイガエレメントを帯びさせたタメシヤノミコト様。
『巨神扇撃(きょしんせんげき!!)』
巨大化させて一気に振り抜いたそれは大風を敵の巨躯に叩きつけ、同時にそれに含まれた電撃を帯びた雹と石つぶてを至近距離でお見舞い。
『あっ……ぐあっ……』
火獣の最大の攻撃手段にして自己再生も司る熱の力を翁に吸われ続けてカピカピになっていたアカネコは至近距離でぶっ放された散弾銃の如き一撃に耐え切れずそのままよろめきながら溶鉱炉に落ちる。
「ヤッ、ヤッタノカ……?」
「ああ、あいつもあそこに落ちたら助からないと言っていたからな……それよりヒノミヤノ殿はご無事か!?」
「ご安心ください、人魚族の長殿。火神たる我が主殿はあの程度の熱は……聞きませぬぞ」
敵もろとも溶鉱炉に落ちたヒノミヤノミコト様を心配するシルバーデストロイメンとゼド村長。
式神小鬼のタタラの指さす先で何事もなかったかのように溶鉱炉プールから鉄板上に登って来て大蝦暮から翁の姿に戻って行くヒノミヤ様に安堵の息を吐く。
「ヤミネコ殿、貴殿の仲間には申し訳ぬがこれで我らの勝利は決まったであろう。 早く盤上の3人をこちらに戻してはもらえぬか?」
『……勝利は決まった? 何を申す人魚族殿?』
試練の審判兼案内人として眼下の戦いを見守っていた黒甲冑男・ヤミネコはゼド村長の言葉に首をかしげる。
「いや、そなたの仲間は……」
『アカネコアッパー!!』
次の瞬間、眼下の溶鉱炉で溶鉄を派手にまき散らしながら打ち上げられる3人の乗った鉄板。
『覆氷壁(おおいのひょうへき)!!』
直撃すれば火傷では済まないドロドロの鉄が闘技場たる溶鉱炉プール内はもちろんスタンバイメンバー席にもまき散らされる状況下でミズノミヤ様はすぐさま九字切りを結んで巨大な氷塊ドームを生成しその場の全員を守る。
「ミズノミヤ様、助かりました……」
「ふむ、危ない所であった……」
降り注いた溶鉄から皆を守り切ったミズノミヤ様。
『ふははは、危なかったにゃ!!』
「!!」
元々巨大な二足歩行ライオンだったアカネコであるが、今や溶鉱炉に下半身を沈めて上半身だけ出せる10数メートル以上に巨大化。
こともあろうか真っ赤な炉で半身浴しながら膝に乗せた鉄板足場に頬杖を突きつつニヤニヤしている。
「おっ、お前……どうなっとるんや? 変なモンでも食うたんか? それとも……」
『その通りだニャ!! 俺様の能力は熱エネルギー吸収&強化。あのカエルジジィが俺ちゃんの体温を吸いまくってヒエヒエだったところにアツアツの溶鉱炉に落ちたから……一気に吸いすぎてこんなでっかくなったんだにゃ!! にゃはははは!!』
「それより主様に翁殿は!?」
「ツミレもどうなった!?」
闘技場内に居たはずの仲間の無事を確かめるべく溶鉱炉に駆けださんとするチノミヤノミコト様とゼド村長。
『安心するにゃ……あの魚娘はまだ無事にゃよ? オマエ、出て来るが良いにゃ?』
「……?」
『ボンバーネコファイア!!』
「きゃあああ!!」
口を大きく開け、吐き出すように射出した火球を壁にいくつも打ち込む巨大化アカネコ。
その衝撃で揺れる壁からはらりと現れたツミレは半円形の浮島鉄板上に落ちる。
「ツミレ!!」
「先生!! 無事だったのね」
「そうか、先生は……壁に突き立てた槍で踏ん張りつつシノビマントで身を隠していたのか!!」
ツミレ先生と共にマヨイガダンジョン修行に勤しんでいた雲隠家の双子は強敵から逃げたり身を隠す際に何度もお世話になった便利アイテム、保護色擬態布『シノビマント』を活用して身を隠しつつ一矢報いるチャンスを伺っていた先生の無事を喜ぶ。
「双子ちゃんら何言うとるんや!! 全くようないで!! あれじゃあまな板の上の人魚そのものやないけ!!」
あぶり出したツミレの下半身を器用に指で押さえつつ、その腰の剣と矢に弓、防具を爪先でプチプチ外して火に投げ捨てて行くアカネコを前にムンク絶叫する英里子。
「早く助けに行かないと!! おい、ヤミネコ!! 僕とツミレさんをチェンジさせろ!!」
「いえ副大将殿、私が参ります!!」
探とゼドは審判のヤミネコに詰め寄る。
【第6話に続く】
「はいっ!! 『エレメントプラス・サンダー!!』」
大蝦墓に熱を食われて死ぬと言う恐怖のあまり大暴れする敵が足場となる円盤の端まで移動したタイミングで弓に矢をつがえたツミレは矢じりに電撃をエレメントプラス。
敵の足の骨と筋肉のわずかな隙間、神経のある箇所にエイムする。
『サンダーアロー!!』
『ぎゃああああ!!』
ツミレが全集中の狙いで放った矢は敵の足目掛けて一直線。
体内温度を下げられて動きが鈍っていた所に足の痛覚神経を貫く電気ショックに悲鳴を上げてバランスを崩すアカネコ。
『帯氷(たいひょう)!!』
『帯石(たいせき) !!』
『帯風(たいふう) !!』
『帯雷(たいらい) !!』
よろめきながらこちらに倒れて来る敵を前にすぐさま袖から出した小ぶりな鉄扇に火を除く4つのマョイガエレメントを帯びさせたタメシヤノミコト様。
『巨神扇撃(きょしんせんげき!!)』
巨大化させて一気に振り抜いたそれは大風を敵の巨躯に叩きつけ、同時にそれに含まれた電撃を帯びた雹と石つぶてを至近距離でお見舞い。
『あっ……ぐあっ……』
火獣の最大の攻撃手段にして自己再生も司る熱の力を翁に吸われ続けてカピカピになっていたアカネコは至近距離でぶっ放された散弾銃の如き一撃に耐え切れずそのままよろめきながら溶鉱炉に落ちる。
「ヤッ、ヤッタノカ……?」
「ああ、あいつもあそこに落ちたら助からないと言っていたからな……それよりヒノミヤノ殿はご無事か!?」
「ご安心ください、人魚族の長殿。火神たる我が主殿はあの程度の熱は……聞きませぬぞ」
敵もろとも溶鉱炉に落ちたヒノミヤノミコト様を心配するシルバーデストロイメンとゼド村長。
式神小鬼のタタラの指さす先で何事もなかったかのように溶鉱炉プールから鉄板上に登って来て大蝦暮から翁の姿に戻って行くヒノミヤ様に安堵の息を吐く。
「ヤミネコ殿、貴殿の仲間には申し訳ぬがこれで我らの勝利は決まったであろう。 早く盤上の3人をこちらに戻してはもらえぬか?」
『……勝利は決まった? 何を申す人魚族殿?』
試練の審判兼案内人として眼下の戦いを見守っていた黒甲冑男・ヤミネコはゼド村長の言葉に首をかしげる。
「いや、そなたの仲間は……」
『アカネコアッパー!!』
次の瞬間、眼下の溶鉱炉で溶鉄を派手にまき散らしながら打ち上げられる3人の乗った鉄板。
『覆氷壁(おおいのひょうへき)!!』
直撃すれば火傷では済まないドロドロの鉄が闘技場たる溶鉱炉プール内はもちろんスタンバイメンバー席にもまき散らされる状況下でミズノミヤ様はすぐさま九字切りを結んで巨大な氷塊ドームを生成しその場の全員を守る。
「ミズノミヤ様、助かりました……」
「ふむ、危ない所であった……」
降り注いた溶鉄から皆を守り切ったミズノミヤ様。
『ふははは、危なかったにゃ!!』
「!!」
元々巨大な二足歩行ライオンだったアカネコであるが、今や溶鉱炉に下半身を沈めて上半身だけ出せる10数メートル以上に巨大化。
こともあろうか真っ赤な炉で半身浴しながら膝に乗せた鉄板足場に頬杖を突きつつニヤニヤしている。
「おっ、お前……どうなっとるんや? 変なモンでも食うたんか? それとも……」
『その通りだニャ!! 俺様の能力は熱エネルギー吸収&強化。あのカエルジジィが俺ちゃんの体温を吸いまくってヒエヒエだったところにアツアツの溶鉱炉に落ちたから……一気に吸いすぎてこんなでっかくなったんだにゃ!! にゃはははは!!』
「それより主様に翁殿は!?」
「ツミレもどうなった!?」
闘技場内に居たはずの仲間の無事を確かめるべく溶鉱炉に駆けださんとするチノミヤノミコト様とゼド村長。
『安心するにゃ……あの魚娘はまだ無事にゃよ? オマエ、出て来るが良いにゃ?』
「……?」
『ボンバーネコファイア!!』
「きゃあああ!!」
口を大きく開け、吐き出すように射出した火球を壁にいくつも打ち込む巨大化アカネコ。
その衝撃で揺れる壁からはらりと現れたツミレは半円形の浮島鉄板上に落ちる。
「ツミレ!!」
「先生!! 無事だったのね」
「そうか、先生は……壁に突き立てた槍で踏ん張りつつシノビマントで身を隠していたのか!!」
ツミレ先生と共にマヨイガダンジョン修行に勤しんでいた雲隠家の双子は強敵から逃げたり身を隠す際に何度もお世話になった便利アイテム、保護色擬態布『シノビマント』を活用して身を隠しつつ一矢報いるチャンスを伺っていた先生の無事を喜ぶ。
「双子ちゃんら何言うとるんや!! 全くようないで!! あれじゃあまな板の上の人魚そのものやないけ!!」
あぶり出したツミレの下半身を器用に指で押さえつつ、その腰の剣と矢に弓、防具を爪先でプチプチ外して火に投げ捨てて行くアカネコを前にムンク絶叫する英里子。
「早く助けに行かないと!! おい、ヤミネコ!! 僕とツミレさんをチェンジさせろ!!」
「いえ副大将殿、私が参ります!!」
探とゼドは審判のヤミネコに詰め寄る。
【第6話に続く】
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
格闘系女子しののめラオ
弱キック
大衆娯楽
東雲果央(しののめらお)は家業の空手道場で師範代を務める女子高生。
たまたま出会った少女科学者エレーナを守るため、
変身スーツ「アクセラレーション・ギア」を身にまとい、
悪(?)の改造人間と死闘を繰り広げるのだった。
一子相伝の暗殺拳(自称)「救世七星流」の奥義が唸る!
……ノリと勢いで作った格闘アクション。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
Millennium226 【軍神マルスの娘と呼ばれた女 6】 ― 皇帝のいない如月 ―
kei
歴史・時代
周囲の外敵をことごとく鎮定し、向かうところ敵なし! 盤石に見えた帝国の政(まつりごと)。
しかし、その政体を覆す計画が密かに進行していた。
帝国の生きた守り神「軍神マルスの娘」に厳命が下る。
帝都を襲うクーデター計画を粉砕せよ!
兎獣人《ラビリアン》は高く跳ぶ❗️ 〜最弱と謳われた獣人族の娘が、闘技会《グラディア》の頂点へと上り詰めるまでの物語〜
来我 春天(らいが しゅんてん)
ファンタジー
🌸可愛い獣人娘🐇のアクション感動長編❗️
🌸総文字数20万字超を執筆済み❗️
🌸ハッピーエンドの完結保証❗️
🌸毎日0時、完結まで毎日更新❗️
これは、獣人族で最も弱いと言われる兎獣人の娘が
彼女の訓練士と共に、闘技会《グラディア》の頂点に立つまでの物語。
若き訓練士(トレーナー)のアレンは、兎獣人(ラビリアン)のピノラと共に
古都サンティカの闘技場で開催される闘技会《グラディア》に出場していた。
だが2年もの間、一度として勝利できずにいた彼らはある日の夜
3年目の躍進を誓い合い、強くなるための方法を探し始める。
20年前、最強と言われた兎獣人の訓練士をしていたシュトルと言う人物を訪ね
新たなトレーニングと、装備する武具について助言を得るために交渉する。
アレンはシュトルとの約束を果たすべく日々の労働に励み、
ピノラはアレンとの再会を胸にシュトルの元で訓練の日々を過ごした。
そしてついに、新たな力を得たピノラとアレンは
灼熱の闘技会《グラディア》の舞台へと立つ。
小柄で可憐な兎獣人ピノラは、並居る屈強な獣人族の選手たちを次々と倒し
その姿を見た人々を驚愕の渦へと巻きこんで行く❗️
躍動感ある緻密なアクション描写あり❗️
相思相愛の濃密な恋愛描写あり❗️
チート・転生なしの純粋ハイファンタジー❗️
可愛らしい兎獣人の少女が最高の笑顔を手に入れるまでの物語を
ぜひご覧くださいませ❗️
※1 本作は小説家になろう様、カクヨム様、アルファポリス様、ノベルアップ+様にて同時掲載しています。
※2 本作は各種コンテストへの応募および結果により、予告なく公開を停止する場合がございます。
※3 本作の作中およびPR等で使用する画像等はすべてフリー素材を使用しております。
作中音楽:魔王魂、DOVA-SYNDROME
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる