MMS ~メタル・モンキー・サーガ~

千両文士

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【第五章:エデン第五区画/特殊物理学研究ラボ】

【第86話】

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「スピンスラッシュ!!」
 息の合った掛け声と共にサン博士を肩に乗せたまま跳ね上がり、腰と全身の捻りで縦旋回するモンキーマンとまさに剰那のタイミングで最大出力状態のグラビディブレイド&シチセイケンの斬撃波を解放するサン博士。
『……』
「……」
 華麗なまでの旋転一閃により輪切りにされた円筒形のバトルフィールドは斜めに入った切れ込みでずり落ち崩れて行く
『うわわわわわわ……』
 千両何某と言うマ〇ーフ〇ッカーが生み出した半重力システムやビーム兵器のようなマンネリ要素で既にSF世界観崩壊している事すら忘れ、ただひたすらに身を低くして切断面をズゴゴゴゴと滑り落ちてくばかりの円筒形バトルフィールドを上目遣いに眺める事しかできないピッグマン。
『ピッグマン君!! あれをごらんなさい!!』
 そんな中、ほふく前進しながらピッグマンに近づいてきたカッパマンはいつものハイテンションボイスで壁を指さしてくる。
『あっ、あれは 消えてるのかブウ?』
 キンカク&ギンカクの特殊物理兵器により生成されたブラックホール&ホワイトホールの入口、壁の白黒染みが蒸発するように自然消えていく様に気が付いたピッグマン。
『そうですぞ、同志よ!! さあここからは我々の出番、頼みますぞ!!』
『わっ、わかったブウ!!』
 このめちゃくちゃな戦いに巻き込まれて自分が鉄くずスクラップにされてしまうのはもう時間の問題。
 ならばもう、やるしかない……死の恐怖と生存本能の狭間で揺らぐ臆病なピッグマンはどうにか立ち上がり、特殊物理兵器・バショウセンを構える。

『きゃあああ!!』
 サン博士&モンキーマンのモンキー・グラビディスピンスラッシュで空間結合が一瞬にして破断されたワームホール。
 サン博士とモンキーマン達が索敵&カウンターに特化した無敵の円陣を組んだところでそもそも侵入不可能である以上、絶対安全地帯であったはずのワームホールは急速に縮小化と言う名の消滅カウントダウンを開始。
『うわああああ!!』
 その中に隠れて反撃のチャンスを伺っていた上位管理者アンドロイド姉妹、キンカク&ギンカクは空間もろとも消滅すると言う最悪の事態は回避すべく転げ滑るように緊急脱出する。
『出たわっ……!?』
『危ない、ギンちゃん!!』
 ワームホール消失寸前でどうにか脱出成功した姉妹。
『出てきたブウ!!』
『お命頂戴いたしますぞ!!』
 収縮するワームホールから吐き出されるように脱出し、シークレットラボ中空に飛び出したキンカク&ギンカクを待ち構えていたのは2体の人型戦闘用アンドロイド、SYK―22・カッパマンとSYK―19・ピッグマン。
『くつ!!』
 サン博士に自身の潜伏するワームホールと出入口を完全把握されている以上、予測できた展開ではあるが自分達を仕留めるべく眼下で迫りくるのがカッパマンとピッグマンのみだったのは好機。
 カッパマンの内蔵兵器たるカッパオイルや三度笠、カッパワイヤーは軌道を見切って回避できる程度の物理兵器であり、ピッグマンは機動力ゼロでパワー特化で近接武器オンリー。
 その上特殊物理兵器アンドロイドとしてバショウセンも無効化出来るキンカク&ギンカクはサン博士の致命的な采配ミスを前に袖に手を入れる。
『死ねえ!!』
『バキュウン!!』
 戦闘用アンドロイドでも一発で全内部機構をショート破壊させるアンドロイド破壊特化兵器・超高圧電撃銃を抜き出したキンカク&ギンカクが落ちながら銃口を向けたその時だった。
『2……1……』
『!?』
 2人の間、1メートルも離れていない零至近距離で起爆カウントダウン中のパープルグレネード。
『……0!!』
 カウンドダウン終了と共にパープルグレネードが噴出したアンドロイドを強制機能停止させるガスで姉妹を包み込む。

【MMS 第87話につづく】
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