MMS ~メタル・モンキー・サーガ~

千両文士

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【第五章:エデン第五区画/特殊物理学研究ラボ】

【第66話】

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 エデン第五区画、中央管理施設内某所。
 敵の策を破り、特殊兵器実戦試験用アンドロイド・サンリキセンと対時するサン博士&モンキーマン達。
『ウフフ、あの状況から逆転するなんてやるじゃない……』
「ジェイン!!」
 お互いの手の内が割れた状態で第二ラウンド開始のゴングを待つ6体と1人を見下ろす位置で妖しげに響くドローン音声。
 エデン第一区画の旧迎賓館以来ながらも聞き間違いようの無いその声にサン博士は眼前の敵を見据えたまま叫ぶ。
『あら覚えていてくれたのね、嬉しいわフトウ博士!! そしてカッパマンも久しぶりね!!』
『リュート様を裏切った同じ穴のムジナとは言え……お前にだけは言われたくないぞ、ジェイン!!』 
 いつも瓢々として掴みどころの無いカッパマンはめずらしく感情を露にする。
『ばふぱふ状態になったカッパマンの嘴からしたたるオイルを間滑油として全身に塗りたくり、よく滑る状態で生じたピッグマンのヒップドロップによる下からの衝撃でコウキンジョウの拘束から脱出。
 すぐさまグラビディブレイドを振り抜いてシチセイケンの一閃を止めた……流石ですわねサン博士』
 2人の声を無視し、求められてもいない状況解説を始めるジェイン。
「ほぼその通りよ、ジェイン。でもその2文字を反復する4文字単語は古すぎるんじゃないかしら? 貴女に言ってもしょうがないけどそれは立派なセクシャルハラスメントよ」
『うふふ、セクシャルハラスメントとは懐かしいお言葉ですわね。
 私が八足歩行じゃない二足歩行なメイドアンドロイドだった平和な代を思い出しますわね……さて、サンリキセンの皆さん』
 サン博士とジェインがかつて平和を誰歌していた人類がインターネット上で昼夜問わず繰り広げていた言葉のマウントバトル、いわゆる 『論破』 を繰り広げる中、突如名前を呼ばれてびくりとするサンリキセン。
『もう分かっているとは思うけど、あなた達の戦闘用人工知能データが移植された新ボディは特殊物理兵器試験用アンドロイド。
 そして運良くも大事には至らなかったけど本体ではない戦闘用人工知能の判断ミスとして一度ペケがついている』
『そっ、その通りでございます、ジェイン様』
 サンリキセンのリーダーとしてコリキセンは敵を前にして武器を置き、頭叩の礼を取る。
『ならばそれを挽回する方法はもう分かっているわね?』
『もちろんでございます、ジェイン様!!
 われらサンリキセン兄弟、この命に変えてでもサン博士とモンキーマン、その他2人を討ち取る覚悟でございます!!』
『その他2人!? エロガッパはとにかくオイラはピッグマンだぞブウ!!』
『エロガッパとは何ですか、ピッグマン君!? 私はこんな怪奇な見た目でもジェントルマンですぞ!!』
『良き答えです、では期待していますよ……』
 ジェインのメッセージ中継者としての役目を終えたドローンはその他モブ扱いされた事を抗議するピッグマンとカッパマンを無視して通信切断し、どこかに飛び去って行く。

「カッパマン、貴方はあのへんなヒモ使いのシカ頭をお願い」
『わかりましたぞ、サン博士』
「ピッグマンはあのデカイうちわ持ちのヒツジ頭を」
『やったるブウ!!』
「モンキーマンは私と一緒にあの虎頭を倒すわよ」
『了解だぜ、博士』
 グラビディブレイドを鞘に納めたサン博士はフルチャージされた二丁電撃銃を構える。

『兄者……』
 三手に分かれてこちらに向かってくる1人と3体を前に、コリキセンに問う手負いのロクリキセン。
『うむ、かくなるうえは我ら三兄弟……奴らの策に乗るしかあるまい。 一人一殺だ、覚悟を決めろ』
『わかりましたぞ、兄者殿』
 コリキセン長兄の決断を受けてサンリキセンは各々の敵を前に三手に分かれて向かう。

【MMS 第67話につづく】
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