58 / 111
【第五章:エデン第五区画/特殊物理学研究ラボ】
【第58話】
しおりを挟む
「……エデン第五区画、旧特殊物理学技術研究施設。
エデン創設当初、世界最高峰の物理学者達が求める設備や特殊機材をヒアリングしたところ国家予算どころか天文学的予算が必要と言う事が判明。他の研究施設との兼ね合いで計画縮小も余儀なくされた」
エデン第二区画、レジスタンス軍第35部隊拠点となっている中央管理施設。
そのメインコンピューターからエデンネットワーク内のデータベースにアクセスしたコマンダー・ジャンヌはサン博士と修理&改造を終えた3体の戦闘用人型アンドロイドの前でその歴史的経緯と情報を読み上げる。
「だが、プロジェクトエデンの協力者である世界的資産家にして投資家アウル・グリッタリング及び日本の御鋼院財閥、その他諸々の支援者からの金銭的支援により当初のプラン通りの計画遂行に成功。
その後、世界各地から優秀な物理学者が招致され……何だこりゃ?」
突如文脈内に現れる謎の漢字の羅列。
おそらくその手の研究ジャンルや色々な専門用語の類なのであろうが物理学は専門外の一介の軍人でしかないコマンダージャンヌは思わず首をかしげる。
『コマンダー、博士ならわかるはずだブウ!! さあ、おねげえしますだ!!』
ヨイショのポーズでサン博士に解説を繋ぐピッグマン。
「ピッグマン、気持ちは嬉しいけど……私も説明できそうにないから遠慮させてもらうわ」
『ええっ!? 博士殿が!?』
『ピッグマン、博士に無礼だぞ!!』
大げさに驚いて見せるピッグマンを人型戦闘用アンドロイド三人衆リーダーとして一喝するモンキーマン。
「ありがとうね、モンキーマン。
言い訳するわけじゃないけど……今、私は27歳でこの戦争が始まった時は17歳だったの。
だから中学生や高校生クラスの物理学なら無問題なんだけど……ここの研究職の人達はそんな知識レベルでは太刀打ちすらできない物理学の世界的名門大学や大学院を卒業し、超高度専門知識のバケモノみたいな人達。
父ですらこの研究分野においては必要があれば逆に教えを乞う事も多々あったぐらいだし……もうここまで言えばわかるでしょ?」
レジスタンス軍の科学者として多くの功績を上げて来たエージェント・サンがそこまで言うのは多分二度とないであろう、アンドロイド三人衆&コマンダー・ジャンヌは返す言葉を失いただ黙り込む。
「コマンダー、来歴はもう十分。
それよりかつては人間の物であった設備をミクラ・ブレインがどのように利用し、いかなる研究が行われているのかと言う情報はあるかしら?」
「はい、その情報は……ありました。
ミクラ・ブレインが現在この施設で進めている研究は重力と言う概念に関わる物理学全般であり、ここのエリアを管轄する上位管理者アンドロイドはSYK-032-01・キンカクとSYK-032-02・ギンカクと言う2体のアンドロイドだそうです」
『キンカクにギンカク? それはかつてニホンのキョウトにあったと言う寝殿造りの邸宅ですかね?』
『カッパマン、オイラ的にはそいつは無いブウ。
コウガイジ様の部下として何回かお会いした事があるけどキンカク様とギンカク様はチャイナドレス姿の双子姉妹型アンドロイドだブウ。
金色のチャイナドレスの御方がキンカク様、銀色のチャイナドレスの御方がギンカク様だったはずだブウ』
「ピッグマン、その他の情報は?」
ピッグマンの発言をすぐに脳内メモに記録し、さらに尋ねるサン博士。
『ええと、オイラはコウガイジ様のお供で大型荷物の運搬をしただけだから……それ以上はわからんブウ』
申し訳なさそうにピッグマンは謝る。
「いいのよ、気にしないで。おそらくだけど、その2人の元ネタはあのひょうたんで有名な西遊記の金角と銀角ね……それが重力に関わる物理学研究施設の管理者と言う事は? そしてチンゲン先生のラストメッセージ内にあったあの図面内のアレはつまり……』
何かに気が付いたサン博士は椅子に腰を下ろして考え始める。
【MMS 第59話に続く】
エデン創設当初、世界最高峰の物理学者達が求める設備や特殊機材をヒアリングしたところ国家予算どころか天文学的予算が必要と言う事が判明。他の研究施設との兼ね合いで計画縮小も余儀なくされた」
エデン第二区画、レジスタンス軍第35部隊拠点となっている中央管理施設。
そのメインコンピューターからエデンネットワーク内のデータベースにアクセスしたコマンダー・ジャンヌはサン博士と修理&改造を終えた3体の戦闘用人型アンドロイドの前でその歴史的経緯と情報を読み上げる。
「だが、プロジェクトエデンの協力者である世界的資産家にして投資家アウル・グリッタリング及び日本の御鋼院財閥、その他諸々の支援者からの金銭的支援により当初のプラン通りの計画遂行に成功。
その後、世界各地から優秀な物理学者が招致され……何だこりゃ?」
突如文脈内に現れる謎の漢字の羅列。
おそらくその手の研究ジャンルや色々な専門用語の類なのであろうが物理学は専門外の一介の軍人でしかないコマンダージャンヌは思わず首をかしげる。
『コマンダー、博士ならわかるはずだブウ!! さあ、おねげえしますだ!!』
ヨイショのポーズでサン博士に解説を繋ぐピッグマン。
「ピッグマン、気持ちは嬉しいけど……私も説明できそうにないから遠慮させてもらうわ」
『ええっ!? 博士殿が!?』
『ピッグマン、博士に無礼だぞ!!』
大げさに驚いて見せるピッグマンを人型戦闘用アンドロイド三人衆リーダーとして一喝するモンキーマン。
「ありがとうね、モンキーマン。
言い訳するわけじゃないけど……今、私は27歳でこの戦争が始まった時は17歳だったの。
だから中学生や高校生クラスの物理学なら無問題なんだけど……ここの研究職の人達はそんな知識レベルでは太刀打ちすらできない物理学の世界的名門大学や大学院を卒業し、超高度専門知識のバケモノみたいな人達。
父ですらこの研究分野においては必要があれば逆に教えを乞う事も多々あったぐらいだし……もうここまで言えばわかるでしょ?」
レジスタンス軍の科学者として多くの功績を上げて来たエージェント・サンがそこまで言うのは多分二度とないであろう、アンドロイド三人衆&コマンダー・ジャンヌは返す言葉を失いただ黙り込む。
「コマンダー、来歴はもう十分。
それよりかつては人間の物であった設備をミクラ・ブレインがどのように利用し、いかなる研究が行われているのかと言う情報はあるかしら?」
「はい、その情報は……ありました。
ミクラ・ブレインが現在この施設で進めている研究は重力と言う概念に関わる物理学全般であり、ここのエリアを管轄する上位管理者アンドロイドはSYK-032-01・キンカクとSYK-032-02・ギンカクと言う2体のアンドロイドだそうです」
『キンカクにギンカク? それはかつてニホンのキョウトにあったと言う寝殿造りの邸宅ですかね?』
『カッパマン、オイラ的にはそいつは無いブウ。
コウガイジ様の部下として何回かお会いした事があるけどキンカク様とギンカク様はチャイナドレス姿の双子姉妹型アンドロイドだブウ。
金色のチャイナドレスの御方がキンカク様、銀色のチャイナドレスの御方がギンカク様だったはずだブウ』
「ピッグマン、その他の情報は?」
ピッグマンの発言をすぐに脳内メモに記録し、さらに尋ねるサン博士。
『ええと、オイラはコウガイジ様のお供で大型荷物の運搬をしただけだから……それ以上はわからんブウ』
申し訳なさそうにピッグマンは謝る。
「いいのよ、気にしないで。おそらくだけど、その2人の元ネタはあのひょうたんで有名な西遊記の金角と銀角ね……それが重力に関わる物理学研究施設の管理者と言う事は? そしてチンゲン先生のラストメッセージ内にあったあの図面内のアレはつまり……』
何かに気が付いたサン博士は椅子に腰を下ろして考え始める。
【MMS 第59話に続く】
1
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
クロノ・コード - 成長の螺旋 -
シマセイ
SF
2045年、東京。16歳になると国から「ホワイトチップ」が支給され、一度装着すると外せないそのチップで特別な能力が目覚める。
ハルトはFランクの「成長促進」という地味な能力を持つ高校生。
幼馴染でSランクの天才、サクラとは違い、平凡な日々を送るが、チップを新たに連結すれば能力が強くなるという噂を知る。
ハルトは仲間と共に、ダンジョンや大会に挑みながら、自分の能力とチップの秘密に迫っていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる